薬価収載されているにもかかわらず、後発品を選ぶと先発品より薬剤費が高くなるケースがあります。
イコサペント酸エチル粒状カプセル モチダは、持田製薬が製造販売する高純度EPAの後発医薬品です。先発品である「エパデールS」と同じ有効成分であるイコサペント酸エチル(EPA)を含有しており、高脂血症(家族性高脂血症を含む)および閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善を効能・効果として持ちます。
薬価は規格によって異なります。主な収載規格は以下の通りです。
| 規格 | 薬価(1カプセルあたり) | 備考 |
|---|---|---|
| 300mg | 約6.40円 | 小児・低用量対応 |
| 600mg | 約11.30円 | 標準的な1回用量規格 |
| 900mg | 約15.20円 | 1回投与量をまとめた規格 |
これが薬価の基本です。
薬価は薬価基準告示により定期改定されるため、最新の薬価は厚生労働省が公表する「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」または医薬品医療機器情報提供ホームページ(医薬品医療機器総合機構:PMDA)の電子添文・薬価情報を参照することが必須です。2024年度薬価改定以降の単価変動にも注意が必要です。
処方箋を書く際、「1日投与量3,600mg(900mg規格×4カプセル)」と「600mg規格×6カプセル」では1日薬剤費が異なります。これは使えそうです。規格の選択が患者負担額に直結するため、医師・薬剤師の双方が規格ごとの薬価差を把握しておく必要があります。
参考情報として、最新薬価の確認には以下の公式情報源が役立ちます。
薬価基準収載品目リストおよび後発医薬品情報(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/topics/2024/04/tp20240401-01.html
後発医薬品加算に関する算定は複雑です。イコサペント酸エチル粒状カプセル モチダを処方する際、「一般名処方加算」「後発医薬品使用体制加算」「薬剤料の算定」の3つが絡み合うため、計算ミスが起きやすい場面の一つです。
一般名処方とは、商品名ではなく「イコサペント酸エチル粒状カプセル600mg」のように成分名と規格で処方する方法です。一般名処方を行った場合、処方箋料に一般名処方加算1(3点)または加算2(1点)が算定できます。つまり薬剤費以外の点数にも影響するということですね。
ただし注意が必要なのは、後発品への変更可処方と一般名処方を混同しないことです。
エパデールSには後発品(イコサペント酸エチル粒状カプセル モチダなど)が存在するため、一般名処方加算の対象となります。処方箋全体で後発品のある品目すべてを一般名処方しているかどうかで、加算1か加算2かが決まります。これが条件です。
薬局での薬剤師による後発品変更調剤も、この流れに連動します。処方箋に「変更不可」の記載がない限り、薬剤師判断で後発品への変更が可能であり、その際の薬剤費はイコサペント酸エチル粒状カプセル モチダの薬価で算定されます。患者への十分な説明と同意が前提になることは言うまでもありません。
保険請求上の詳細ルールは以下の資料が参考になります。
保険調剤の理解のために(日本薬剤師会):https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/dispensing/
「粒状カプセル」という剤形は、他のEPA製剤と比較して患者の服薬しやすさに関わる重要な特徴を持っています。意外ですね。
イコサペント酸エチル粒状カプセルは、カプセル内部に小さな粒状の内容物が充填された形態です。通常の軟カプセル剤と異なり、大きさが比較的コンパクトで嚥下しやすい設計になっています。高齢者や嚥下機能が低下した患者においては、薬剤の大きさは服薬継続に直結します。
ただし、粒状カプセルには注意点もあります。
一包化対応の可否は薬局ごとに確認が必要です。
EPAは多価不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性が低いという特性があります。開封後の保管状況が品質に影響するため、患者指導の際に「直射日光を避けた涼しい場所での保管」と「開封後は早めに服用」を明示することが重要です。電子添文(PMDA)での最新の保管条件の確認を習慣にするとよいでしょう。
電子添文・最新情報の確認先(PMDA):https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
後発品を採用すれば必ずコスト削減になるとは限りません。これが処方選択で見落とされやすい落とし穴です。
先発品エパデールSと後発品であるイコサペント酸エチル粒状カプセル モチダを薬価で比較した場合、後発品の薬価は先発品の概ね70〜80%程度に設定されているのが一般的です。しかし実際の薬剤費は、1日投与量と規格の組み合わせによって変わります。
たとえば1日投与量が1,800mg(標準投与量の下限)の場合を考えます。
規格の選び方だけで1日約3円、月換算で約90円の差が生じます。少額に見えても長期処方の患者が多い脂質異常症管理では積み重ねが大きくなります。厳しいところですね。
さらに、市場では複数の後発品メーカーが同一成分で参入しているケースがあります。薬価が同一でも、各社の薬価は改定のタイミングで微妙にずれることがあるため、年度をまたぐ処方継続時は最新薬価の再確認が必要です。
後発品の薬価一覧の比較には、医薬品データベースサービス(例:ファルマスタッフ薬価検索、日経メディカル薬価サーチ等)を活用することで効率よく確認できます。これは使えそうです。
多くの医療従事者が見落としているのが、薬価改定タイミングと長期処方の「価格ズレ」リスクです。
日本では薬価改定は原則として毎年4月に実施されています(2021年度から毎年改定制に移行)。これは後発品にも適用されます。つまり、4月をまたぐ90日分処方や180日分処方を発行した場合、処方箋発行時の薬価と患者が実際に薬局で支払う時の薬価が異なる可能性があります。
これが意外と問題になるケースがあります。
患者から「前回と薬代が変わった」と言われた経験のある医療従事者は少なくないはずです。イコサペント酸エチルのような長期投与が前提の慢性疾患治療薬では、この問題が起きやすい状況が揃っています。具体的には、脂質異常症は年単位での投薬継続が標準的であり、90日処方が広く使われているからです。
対処法はシンプルです。3月に長期処方を発行する際は、4月改定後に薬価が変動する可能性を患者に一言添えておくだけで、患者の混乱を大幅に防ぐことができます。口頭でも診察時のメモ1行でも十分です。これが原則です。
また、薬価改定情報を4月1日以前に把握しておくには、厚生労働省告示の事前公表(通常3月中旬〜下旬)を確認する習慣をつけることをお勧めします。PMDAの薬価基準収載情報ページは無料で最新情報を確認できるため、定期的にブックマークしておくと実務に役立ちます。
薬価基準改定の最新告示(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/kouhatu-iyaku/index.html
薬価の変動は患者の継続服薬意欲にも影響します。「値段が上がったから減らしていた」という患者報告は珍しくありません。薬価情報の把握は単なる算定管理にとどまらず、治療効果を守るための情報提供にも直結するということですね。