承認番号を丸暗記しても、現場でその製品の安全性は確認できません。
医薬部外品の承認情報を調べる際、まず知っておくべきことがあります。それは「一か所に全件まとまったリストは存在しない」という現実です。承認情報は複数の公的機関に分散して管理されており、目的に応じてデータベースを使い分ける必要があります。つまり、情報源を一つしか知らないと抜け漏れが起きる、ということですね。
医療従事者が実務でよく参照する主なデータベースは次の3つです。
| データベース名 | 運営元 | 収載件数(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| cosmetic-info.jp 医薬部外品承認情報検索 | 日本製薬団体連合会(fpmaj) | 約46,568件(2025年12月時点) | 承認年月日・販売名・製造販売業者での検索が可能。最も件数が多く実務向き。 |
| PMDA 承認情報 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 | 随時更新 | 厚生労働大臣承認品目が対象。医療機器・医薬品との横断検索が可能。 |
| 日本製薬団体連合会 医薬品等承認情報 | 日本製薬団体連合会 | 随時更新 | 医薬部外品を含む医薬品等の承認情報を定期公表している一次情報源。 |
この3つが基本です。
なかでも cosmetic-info.jp(https://www.cosmetic-info.jp/qdap/index.php)は、承認年月日の範囲指定・販売名のキーワード検索・製造販売業者名での絞り込みが一画面で行えるため、患者への製品説明や副作用確認、処方サポートの場面で実用性が高いです。東京ドーム約1個分の情報量にたとえると大袈裟ですが、4万6000件超のデータが集約されていると想像してください。それだけの規模です。
一方、都道府県知事が承認した品目については、PMDAのデータベースには反映されないケースがある点は要注意です。染毛剤や薬用はみがき類など14品目のカテゴリは都道府県知事が審査・承認を行うため、東京都の承認品目を知りたければ東京都保健医療局のページを別途確認する必要があります。これは原則ありません、ではなく「ある」パターンです。
参考リンク(日本製薬団体連合会が公開している医薬部外品を含む医薬品等承認情報の一次情報源)。
医薬品等承認情報 | 日本製薬団体連合会(fpmaj)
参考リンク(PMDAによる承認情報の公式ページ。医療用医薬品・医薬部外品等を横断検索できる)。
承認情報 | PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
医薬部外品の承認番号は、単なる識別コードではありません。数字とアルファベットの組み合わせに、承認の時期・機関・品目区分という3つの情報が埋め込まれています。これが条件です。
承認番号の構造は以下の通りです。
| 桁位置 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 第1桁 | 年号コード | 1=昭和、2=平成、3=令和 |
| 第2〜3桁 | 承認を受けた年(2桁) | 07=7年目 |
| 第4〜5桁 | 承認機関コード | 00=厚生労働大臣、それ以外=都道府県知事 |
| 第6〜7桁 | 品目区分コード(アルファベット) | DZ=医薬部外品、AM=医療用医薬品、AP=一般用医薬品 |
| 第8桁以降 | 一連番号+サブ番号 | 当該年に承認された順に付与 |
例として「30700DZX00402000」という番号を分解してみます。最初の「3」は令和を示し、「07」は令和7年(2025年)、「00」は厚生労働大臣承認、「DZ」は医薬部外品を示します。「X」以降は一連番号です。これを見るだけで、この製品が令和7年に厚生労働大臣から承認を受けた医薬部外品だとわかります。
ではなぜこの知識が実務で役立つのでしょうか?
患者から「この商品、本当に承認されてる?」と聞かれたとき、手元にある製品パッケージの承認番号を一瞥するだけで、承認機関と時期を即座に判断できるからです。調べる必要すらない場面もあります。それ以上に重要なのが、「DZ」以外のコードが混在している場合です。医薬部外品として案内していた製品が、実は一般用医薬品(AP)や化粧品扱いだったというケースでの取り違えを防げます。
参考リンク(化学同人が公開している承認番号の桁構造の詳細解説PDF。学術的に信頼性が高い)。
日本標準商品分類番号と承認番号の解説 | 化学同人(PDF)
「医薬部外品の承認はすべて厚生労働大臣が行う」と思っていませんか? 実はそれは正確ではありません。品目カテゴリによって、承認機関は厚生労働大臣と都道府県知事に分岐します。
承認権限は、薬機法施行令第80条および厚生省告示第194号(平成6年6月2日)に基づいて委任されており、以下の14品目のカテゴリについては都道府県知事が承認を行います。
- 生理処理用品・染毛剤・パーマネント・ウェーブ用剤
- 薬用はみがき類・健胃清涼剤・ビタミン剤(ビタミンC剤、E剤など)
- あせも・ただれ用剤・うおのめ・たこ用剤・かさつき・あれ用剤
- カルシウム剤・喉清涼剤・ビタミン含有保健剤
- ひび・あかぎれ用剤・浴用剤
ただし、告示の範囲内であっても「承認基準の範囲を超える場合は厚生労働省に協議が必要」という条件があります。この協議が必要なケースでは、申請書の提出部数が通常の3部から4部(協議用1部追加)になります。細かい話ですが、申請実務担当者には関わるポイントです。
申請区分は製品の新規性によっても6段階に分かれます。以下に主な区分を整理します。
| 申請区分 | 内容の概要 |
|---|---|
| (1) 新有効成分含有 | 国内未承認の有効成分を含む最上位区分 |
| (2)-1〜5 | 既承認成分ベースで、新効能・新用法・新剤形など |
| (3) 新添加物含有 | 新規添加物を含む製品 |
| (4) 類似医薬部外品 | 既承認品と成分は同一相当、試験省略可能 |
| (5)-1 同一医薬部外品 | 既承認品と同一処方で使用前例一覧表により審査 |
区分(5)-1なら問題ありません、という場合でも、使用前例一覧表には医薬部外品の種類・有効成分の規格・配合量・組み合わせを含む詳細記載が求められます。書き方ひとつで差し戻しになることもあります。
参考リンク(東京都保健医療局による医薬部外品製造販売承認申請の手順と注意点。提出部数・検体・標準処理期間まで記載されている)。
医薬部外品製造販売承認申請時の手順と注意点 | 東京都保健医療局
医療現場では、患者から「これ薬じゃないの?」と聞かれる機会があります。医薬部外品・医薬品・化粧品の違いは法律上明確ですが、現場での説明が曖昧になりやすい箇所でもあります。
3つの区分の承認上の違いは下表の通りです。
| 区分 | 根拠条文 | 主な使用目的 | 効能効果の標榜 |
|---|---|---|---|
| 医薬品 | 薬機法第2条第1項 | 疾病の診断・治療・予防 | 承認された効能効果を明記可 |
| 医薬部外品 | 薬機法第2条第2項 | 予防・衛生・ほか緩和作用 | 承認範囲内の効能効果のみ標榜可 |
| 化粧品 | 薬機法第2条第3項 | 美化・清潔・健やかに保つ | 56項目の範囲内のみ標榜可 |
医薬部外品の効能効果は「承認された有効成分における承認範囲内」のみ標榜が可能です。これが原則です。承認された範囲を超えた表現を広告・説明・推薦に使用した場合、薬機法第66条(虚偽・誇大広告の禁止)の違反に問われるリスクがあります。
医療従事者が「医薬部外品」と「化粧品」を混同しがちなのが「薬用化粧品」です。薬用化粧品は化粧品のように見えますが、法律上は医薬部外品の一種です。有効成分として承認された成分が一定の濃度で配合されており、その効能効果を標榜できます。
化粧品が「日焼けを防ぐ」とのみ言えるところ、薬用日焼け止め(医薬部外品)であれば「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」と追加表現が可能です。意外ですね。
この区分の違いは、医療従事者が患者へ製品を説明・推薦する際に直接的な影響を持ちます。承認情報を確認したうえで説明することが、リスク回避の第一歩です。
参考リンク(医薬部外品の定義・分類・効能効果の範囲・製造販売注意点を医師監修でわかりやすく解説)。
承認番号が確認できれば安心、とは限りません。これが盲点です。
医薬部外品の承認には「承継」と「整理届」という2つのイベントがあり、これを見落とすと、古い承認番号のまま流通している製品を「現在も有効な承認品」と誤認するリスクがあります。
承継とは、製造販売業者の合併・相続・契約によって承認を引き継ぐ手続きです。承継が行われると、承認番号はそのままでも製造販売業者名が変わることがあります。cosmetic-info.jpで承認番号を検索した際に、現在流通しているメーカー名と検索結果のメーカー名が異なるケースはこれに起因します。
承継の手続き上の条件は以下の通りです。
- 📌 相続・合併の場合:「相続後、遅滞なく」届け出が必要
- 📌 契約の場合:「承継日の1ヶ月前まで」に届け出が必要
- ⚠️ 承認後1年未満の品目・一部変更承認申請中の品目は、原則承継できない
承継後1年未満の品目は承継不可、というルールがある点が特に注意ポイントです。
整理届は、製造販売を終了した品目の承認を整理する手続きで、整理届が出された品目は承認が失効します。承認番号がデータベースに残っていても、整理届済みの品目は販売できません。患者が持参したパッケージに記載されている承認番号を検索してヒットしたとしても、現在有効かどうかは別途確認が必要な場合があります。
実務上の確認ポイントとしては、cosmetic-info.jpで検索した際に最新の承認年月日と製造販売業者名を必ず照合すること、不明な場合はPMDAや各都道府県薬務主管課への照会がもっとも確実な手段です。
参考リンク(医薬部外品の承認の承継条件・届出期限・手続き詳細。実務上の混乱を防ぐために有用)。
医薬部外品の承認の承継 | サポート行政書士法人