SSRIを服用中の患者にトリプトファンサプリを勧めると、セロトニン症候群で入院になります。
「トリプトファン サプリ DHC」で検索すると、DHCの「リラックスの素」がよく表示されます。しかしこの製品は、トリプトファンを主成分としていません。
DHC「リラックスの素」(30日分)の実際の成分は、2粒(640mg)あたりテアニン120mg・大豆レシチン10mg・ビタミンE 6.8mgです。テアニンは緑茶由来のアミノ酸であり、トリプトファンとは別の化合物です。つまり「トリプトファン サプリ DHC」という検索意図で購入しても、トリプトファンそのものは摂取できません。これは見落としやすいポイントです。
では、DHC製品でトリプトファンに関連する成分を含むものはあるでしょうか。DHCの「グッドナイト」シリーズにはGABA・テアニン・トリプトファンを複合配合したものも展開されており、そちらはトリプトファンを含有します。ただし、その含有量は製品によって異なるため、成分表示で「L-トリプトファン ○○mg」という記載を必ず確認することが基本です。
つまり「DHC=トリプトファン配合」とは限りません。患者や同僚からサプリについて相談を受けた際は、製品名だけでなく成分表の内容量まで確認する習慣が重要です。
参考:DHC公式「リラックスの素 30日分」成分情報
https://www.dhc.co.jp/goods/2218.html
トリプトファンはヒトの体内では合成できない必須アミノ酸のひとつです。これが基本です。食事やサプリから摂取したL-トリプトファンは、脳内で段階的に代謝されます。
変換の流れは次の通りです。まず日中に「L-トリプトファン → 5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)→ セロトニン」という経路で神経伝達物質セロトニンが合成されます。次に、夜間に光刺激が減少すると「セロトニン → メラトニン」へと変換され、睡眠リズムを整えるホルモンが分泌されます。この変換にかかる時間は14〜16時間前後とされており、サプリを夜だけ飲めばすぐ眠れるというわけではありません。
この代謝経路において補酵素として不可欠なのがビタミンB6とナイアシン(ビタミンB3)です。ビタミンB6が不足していると、トリプトファンからセロトニンへの合成効率が著しく低下します。サプリを選ぶ際にトリプトファン単体ではなく、ビタミンB6やナイアシンが同時配合されているかどうかを確認する理由がここにあります。
WHOの推奨摂取量は成人で体重1kgあたり4mgです。体重60kgの成人なら1日240mg相当が目安となります。これは通常の食事(乳製品・大豆製品・鶏肉など)で十分まかなえる量ですが、ストレスや不眠が続く場合は消費量が増加するとも指摘されています。
参考:セロトニンとトリプトファンの関係(山形県総合保健センター)
https://www.y-koseiren.jp/column/season/3224
「睡眠改善のためだから夜に飲む」という選択は一見合理的に見えます。意外ですね。しかし、前述の変換経路を考慮すると、睡眠目的であっても最も効果的なタイミングは「朝」です。
朝に摂取したトリプトファンは、午前中から日中にかけてセロトニンへと変換されます。そのセロトニンが夕方以降にメラトニンへ変換されることで、夜の自然な眠りを促します。トリプトファン→メラトニンの変換に14〜16時間かかるため、就寝直前に飲んでも即座に睡眠ホルモンが生成されるわけではありません。
ただし、目的によって最適なタイミングは異なります。
炭水化物と一緒に摂取することでインスリン分泌が促進され、競合アミノ酸が筋肉に取り込まれてトリプトファンの脳内移行率が上がるという報告もあります。朝食にヨーグルト・バナナ・全粒パンなどと合わせる摂り方は、食事由来のトリプトファン活用法としても参考になります。
参考:品川メンタルクリニック「セロトニン サプリ」解説記事
https://www.shinagawa-mental.com/othercolumn/62269/
トリプトファンは食品由来の必須アミノ酸ですが、サプリメントによる高用量摂取には明確なリスクがあります。フランス食品衛生安全庁(AFSSA)のレポートでは、トリプトファン3g〜6g/日を短期間摂取した場合でも、無気力・吐き気・頭痛などの悪影響が報告されており、最小毒性量(LOAEL)は3g/日と評価されています。一般的なサプリ製品の含有量(1日200〜500mg)では過剰摂取になりにくいですが、複数製品の併用や長期高用量摂取には注意が必要です。
また、トリプトファンを過剰に摂り続けると、代謝を担う肝臓や排泄を行う腎臓に負担がかかります。特に腎機能が低下している患者へのサプリ使用を指導する際は、血液検査のBUN(尿素窒素)値を参照することが一つの指標になります。
医療職として最も注意すべき副作用リスクとして「セロトニン症候群」があります。これは脳内セロトニン濃度の過剰活性化によって引き起こされる症候群で、精神症状(不安・興奮・錯乱)・自律神経症状(発熱・発汗・頻脈)・神経筋症状(振戦・ミオクローヌス・反射亢進)が三徴として知られています。
| 副作用・リスク | 閾値・条件 | 対応 |
|---|---|---|
| 無気力・吐き気・頭痛 | 3g/日以上(LOAEL) | 用量の見直し・一時中止 |
| 肝・腎機能への負担 | 長期高用量継続 | BUN・肝機能値のモニタリング |
| セロトニン症候群 | セロトニン作動薬との併用 | 即時中止・医師への報告 |
参考:食品安全委員会「フランス食品衛生安全庁トリプトファン評価」
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu02950750188
医療従事者が患者のサプリ使用を確認する際、最も重要な確認項目が薬との相互作用です。これは必須です。
特に警戒すべき組み合わせを以下に整理します。
精神科・心療内科でSSRIを処方されている患者が「眠れないのでDHCのサプリを飲んでいる」と話す場面は珍しくありません。その際、何が含まれているかを確認せずに「安全なサプリだから大丈夫」と案内するのは、医療職としてリスクがある対応です。リクナビ薬剤師の疑義照会事例でも「セロトニン作用薬との併用時は特に注意」と明示されています。
患者への指導の際は「現在服用中の薬の名前を確認してから判断する」という一手間を徹底することが、安全な指導の基本です。
参考:リクナビ薬剤師「薬の併用による副作用・疑義照会」
https://rikunabi-yakuzaishi.jp/contents/hiyari/187/
参考:Medical Tribune「医師85%が知らないセロトニン症候群」
ここまでの内容をふまえて、実際にトリプトファンサプリを選ぶ・推奨する際に確認すべきポイントを整理します。
まず最重要なのは、「L-トリプトファンの1日含有量」の確認です。WHOの推奨量(体重60kgで240mg/日)を補助する目的であれば200〜500mgが現実的な範囲です。ただし、既に食事から十分に摂取できている人が更に1,000mg超を摂り続ける必要性は通常ありません。添付の成分表で「1日あたりL-トリプトファン ○○mg」と明記されているものを選ぶことが原則です。
次に確認したいのが「ビタミンB6・ナイアシンの共配合」です。これらの補酵素なしにはトリプトファン→セロトニンの変換効率が大きく落ちます。特にビタミンB6の配合量は「1日1.5〜2mg程度」が目安です。
安全性の観点では、GMP認定工場(Good Manufacturing Practice)での製造かどうかを確認します。GMP認定は、製造工程全体の品質管理基準が担保されていることを示すものです。DHCを含む大手メーカーの製品は製造管理の信頼性は高い一方、先述のように「トリプトファン配合かどうか」は製品ごとに異なるため注意が必要です。
| 確認項目 | 目安・基準 |
|---|---|
| L-トリプトファン含有量 | 1日200〜500mg(目安) |
| ビタミンB6の配合 | 1日1.5〜2mg程度あると望ましい |
| ナイアシン(B3)の配合 | あると変換効率がより高まる |
| GMP認定工場での製造 | 品質管理の担保として確認 |
| GABA・テアニンの同時配合 | 睡眠目的なら複合配合が有利 |
| 添加物・アレルゲン表示 | 大豆・ゼラチンなど確認を |
コスト面では、1日あたり100円前後の製品が多く流通しています。高価格帯が必ずしも高品質とは限らず、含有量・成分構成・製造基準の3点で総合的に判断することが現実的です。
なお、DHC「リラックスの素」はトリプトファンではなくテアニン(120mg/日)がメイン成分です。緑茶由来のリラックス成分として一定の需要がある製品ですが、トリプトファンによるセロトニン・メラトニン経路への介入を期待する場合は、別途L-トリプトファン配合製品を選ぶ必要があります。これだけ覚えておけばOKです。
参考:my-best「トリプトファンサプリおすすめ人気ランキング(薬剤師選定)」
https://my-best.com/4361
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