

歯科医師でもエピペンを処方できますが、未登録のままだと処方できません。
エピペン(アドレナリン注射液0.15mg・0.3mg)は、承認条件として処方できる医師・歯科医師があらかじめ登録されていることが義務付けられています。 つまり、医師・歯科医師という国家資格を持っているだけでは不十分で、「エピペン登録医」として製薬会社(ヴィアトリス製薬合同会社)のシステムに登録されていることが処方の前提条件です。
登録医制度が設けられている背景には、エピペンの「安全性と有効性を十分に理解し、適切な指導ができる医師のみが処方する」という承認条件があります。 アナフィラキシー補助治療剤という緊急性の高い薬剤だからこそ、処方医が正しい使用方法を患者に指導できる体制を確保する必要があるわけです。
登録の対象となるのは、医師と歯科医師です。 看護師・薬剤師・その他の医療従事者は処方権を持たないため、登録医制度の対象外ですが、エピペンを処方された患者への使用指導や講習会の運営においては中心的な役割を担います。
参考)輝け! CAI! 第3回深谷亜矢さん(看護師、CAI) - CAI認定機構

登録の作業自体は30分程度で終わります。
参考)新潟市ワクチン接種マニュアル:エピペン登録手順(2021年)
処方医師登録は以下のステップで進めます。
1. エピペン公式サイト(med.epipen.jp)にアクセスし「新規登録」をクリック
2. 医師・歯科医師として必要事項を入力し、会員登録を完了させる
3. エピペン®オンライン登録講習を受講する(約20分)
4. 処方医師登録フォームに必要事項を入力して送信
5. メールで「登録完了」の通知を確認する
オンライン講習は20分程度のeラーニング形式で、アナフィラキシーの病態・エピペンの適応・使用方法・患者指導のポイントなどが網羅されています。 作業時間は短いですが、最新の公式案内に従って登録完了メールを確認することが必要です。
参考)当院は、エピペン(アナフィラキシー補助治療剤)を処方できる医療機関です | 東京のリウマチ専門医 湯川リウマチ内科クリニック
公式サイトでは、登録完了メール受信後、すぐに処方・常備が可能と案内しています。会員登録と処方医師登録の完了を取り違えないでください。施設でエピペンの処方体制を整えたい場合は、患者が来院する前に余裕を持って登録を済ませておくことが原則です。
参考:エピペン処方手順の公式PDF(ヴィアトリス製薬)
エピペン処方手順 改訂版(med.epipen.jp)

保険適用の対象となる患者の条件は以下の通りです。
参考)エピペン処方について
重要なのは「アレルゲン検査の結果にかかわらず、医師が必要と判断すれば処方できる」という点です。 アレルギー検査で陰性であっても、臨床的なリスク評価に基づいて処方が可能です。これは知らずにいると処方の機会を逃しかねないポイントです。
また、エピペンは他の在宅自己注射薬と異なり、初診時から処方でき、自己注射指導管理料を算定できる特例となっています。 通常の在宅自己注射では導入前に入院または週2〜3回以上の外来による教育期間が必要ですが、エピペンはその要件が免除されています。 これは使えそうです。
参考:保険適用・処方条件の詳細解説
エピペン処方条件と費用(oki.or.jp)

看護師や薬剤師は処方はできませんが、専門資格を取れば中心的な指導者になれます。
「アレルギー疾患療養指導士(CAI:Certified Allergy Instructor)」は、看護師(准看護師)・薬剤師・管理栄養士が受験できるアレルギー専門の認定資格です。 受験資格は「該当の国家資格を持ち、週38時間45分以上かつ2年以上の勤務経験があること」などとされています。
CAI資格を持つ看護師は、エピペンが処方された患児とその保護者への指導、練習用トレーナーを使ったトレーニング実施、地域の学校・保育施設への出張講習など、処方後の教育・啓発活動において中心的な役割を担います。
参考:CAI(アレルギー疾患療養指導士)の詳細
CAI認定機構 リーフレット(caiweb.jp)

医師法違反を恐れて教職員がエピペンを打たないことは、むしろ子どもの命を危険にさらします。
参考)日本学校保健会:アレルギー疾患のガイドライン・関連資料
エピペンが処方されている児童・生徒が自ら注射できない状況にある場合、その場に居合わせた教職員がエピペンを注射することは医師法違反にならないとされています。 根拠は「医行為を反復継続する意図がない一時的な行為」という解釈で、文部科学省のガイドラインにも明記されています。
同様に、救急救命士についても、エピペンが処方されているアナフィラキシー患者の代わりに投与することが認められています。 医療従事者でない人でも「その場に居合わせた」状況での使用が特例として許容されているわけです。
参考)【公式】エピペンサイト|アナフィラキシー補助治療剤 - アドレナリン自己注射薬 エピペン®注射液|ヴィアトリス製薬株式会社|マイランEPD合同会社
この知識は医療現場でも重要です。エピペン処方時の患者・保護者指導において、「学校や職場でも周囲の人が打ってくれる」という安心感を伝えることが、治療の継続性とアドヒアランス向上につながります。指導の際には「処方した患者本人だけでなく、周囲の人間も使える状況を作る」という観点を必ず含めるようにするのが原則です。
| 対象者 | エピペンに関われる範囲 | 根拠・条件 |
|---|---|---|
| 医師・歯科医師(登録医) | 処方・使用指導 | オンライン講習修了+登録医登録が条件 |
| 看護師・薬剤師(CAI) | 患者・施設への指導・講習 | CAI資格取得で専門的指導が可能 |
| 教職員・保育士 | 緊急時の代行投与 | 医師法違反にならないとの行政解釈 |
| 救急救命士 | 処方済み患者への代行投与 | 特例として認められた医療行為 |
参考:学校のアレルギー疾患に関する資料(日本学校保健会)
日本学校保健会:アレルギー疾患のガイドライン・関連資料
エピペン処方や登録医制度を確認する医療者へ:初期対応の資料を公的手順・登録要件と照合して参照できます。
アナフィラキシー 救急・集中治療

エピペンの処方箋を初めて受け付けたときは、処方医の氏名だけでなく、所属施設・診療科もそろえて登録状況を確認します。メーカーの『登録医情報の取り扱いについて』には、製品を届ける前に登録医であることを確認する必要があり、氏名、施設名、診療科、施設住所、電話番号が、取扱代理店・特約店・医療機関・保険薬局の薬剤師へ提供されると記載されています。
登録の有無が分からないときは、処方元と取扱卸・メーカーの窓口に照合を依頼し、確認した日と連絡先を記録します。検索結果に医師名が出ないだけで未登録と決めつけたり、以前の勤務先の情報だけで現在の所属を判断したりしないことが大切です。登録確認と、患者が使用方法を理解しているかの確認は別に行います。
| 段階 | 確認内容 |
|---|---|
| 処方元の特定 | 医師氏名・施設名・診療科 |
| 登録状況の照合 | 処方元・取扱卸・メーカー窓口で確認 |
| 交付前 | 患者・保護者の理解と練習状況を確認 |
出典:メーカー:エピペン登録医情報の取り扱い / エピペン公式サイト:オンライン登録講習の案内
追加画像は説明用のイメージです。製品の外観や手技の詳細は、実際の製品と公式資料で確認してください。