ジアゼパム散アメル販売中止と代替品への切替対応

ジアゼパム散1%「アメル」は2021年に販売中止が発表され、2025年4月に薬価基準から削除されました。経過措置期間の終了後、現場での切替対応や向精神薬管理の注意点を正確に把握できていますか?

ジアゼパム散アメル販売中止と代替品への切替・管理対応

あなたが「後発品なので代替品はすぐ見つかる」と思っているなら、薬価差が最大2倍近くになり保険請求に影響が出ます。


この記事のポイント
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販売中止と薬価削除のタイムライン

ジアゼパム散1%「アメル」は2021年7月に販売中止発表、在庫消尽は同年12月頃。経過措置期間は2025年3月31日で終了し、2025年4月に薬価基準から正式削除された。

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代替品と薬価差の確認が必須

先発品のセルシン散1%(9.70円/g)・ホリゾン散1%(11.50円/g)が主な代替候補。アメルの薬価6.30円/gと比較すると最大約1.8倍の差があり、処方変更時の患者負担と保険請求への影響確認が必要。

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向精神薬としての管理義務を再確認

ジアゼパムは第三種向精神薬に該当し、麻薬及び向精神薬取締法に基づく適切な管理・廃棄・記録が求められる。販売中止に伴う残薬廃棄の手続きを正確に行わないと法的リスクが生じる。


ジアゼパム散アメル販売中止の背景と経緯

ジアゼパム散1%「アメル」は、共和薬品工業株式会社(大阪市北区)が製造販売していたジアゼパムの後発医薬品(ジェネリック)散剤です。薬価は1g当たり6.30円で、先発品と比較して安価な選択肢として多くの医療機関・保険薬局で採用されていました。


2021年7月、共和薬品工業は「諸般の事情」を理由にジアゼパム散1%「アメル」の販売中止を発表しました。背景には、同社が複数品目で抱えていた製造上の問題があります。2021年10月には、同社の三田工場・鳥取工場において製造方法や製造手順書の不備が新たに発覚し、84品目を出荷調整するとともに、52品目について在庫消尽後に供給を一時停止すると公表しています。


在庫消尽の時期は2021年12月頃と案内されました。つまり、現場レベルでの実質的な入手困難はすでに数年前から始まっていたということです。


その後、ジアゼパム散1%「アメル」は経過措置品目として薬価基準に残留する形となり、経過措置期間は2025年3月31日をもって満了しました。結論は、2025年4月に薬価基準から正式に削除されたということです。現在は保険請求上、この品目を使用して請求することはできません。


販売中止の発表から薬価削除まで約4年の経過措置期間がありましたが、実際の在庫消尽はずっと早い段階であったため、多くの施設ではすでに切替対応を済ませているはずです。ただし、経過措置期間の終了を見落とし、処方箋や院内採用薬リストの更新が遅れていた場合は要注意です。


PMDA 添付文書情報(ジアゼパム散1%「アメル」製造販売中止に伴う経過措置関連)


ジアゼパム散アメル販売中止後の代替品と薬価比較

ジアゼパム散1%「アメル」の公式な代替製品として案内されているのは、先発品のホリゾン散1%(丸石製薬株式会社、薬価13.40円/g→現行11.50円/g)とセルシン散1%(T's製薬、現行9.70円/g)です。


薬価を具体的に比較すると、次のようになります。




























製品名 製造販売元 区分 薬価(1%1g)
ジアゼパム散1%「アメル」 共和薬品工業 後発品(削除済) 6.30円
セルシン散1% T's製薬 準先発品 9.70円
ホリゾン散1% 丸石製薬 準先発品 11.50円


セルシン散1%への切替でも1g当たり約3.4円の差、ホリゾン散1%では約5.2円の差が生じます。少量処方であれば大きな問題になりにくいですが、慢性疾患などで一度に多量処方する患者では積算すると差額が目に見えてきます。これは使えそうです。


切替先として、同じ一般名(ジアゼパム)の散剤であるため有効成分・含量・剤形はすべて同一です。つまり、同一成分・同一規格への切替なら問題ありません。ただし、先発品への切替となるため処方箋の記載内容によっては疑義照会が必要になるケースもあります。


また、多くの病院・薬局では「ジアゼパム散1%「アメル」→セルシン散1%へ採用切替」という形で内規を整備しています。滋賀医科大学医学部附属病院など複数の施設が同様の対応をとっており、実績のある切替パターンです。施設ごとに薬事委員会の承認を経て採用切替を正式に記録しておくことが原則です。


KEGG MEDICUS ジアゼパム製品一覧(セルシン散・ホリゾン散の薬価確認に)


ジアゼパム散アメル切替時の処方箋・院内手続き上の注意点

代替品へ切り替える際には、処方箋の記載方法と院内手続きのどちらも正確に対応しなければなりません。厳しいところですね。


まず処方箋の観点から整理します。ジアゼパム散1%「アメル」が販売中止・薬価削除となった後も、「一般名処方」で「ジアゼパム散1%」と書かれている処方箋であれば、セルシン散1%やホリゾン散1%への変更は薬剤師の判断で対応可能です。一方、「ジアゼパム散1%「アメル」」と銘柄指定で記載されていた処方箋が残っている場合は、処方医への変更依頼または疑義照会が必要です。銘柄指定のまま他剤に変更して調剤すると、保険請求上のリスクになります。


次に院内採用薬の整備についてです。薬事委員会などを通じて採用薬のデータベースおよびオーダリングシステム・電子カルテ上のマスタを更新していない施設では、処方が入力できない・または誤った品目が反映されるという問題が起きます。2025年3月末の経過措置満了に合わせてマスタ更新を済ませておくことが条件です。


さらに注意が必要な点として、在宅医療や外来への散薬調剤を行っている保険薬局では、自家製剤加算の算定が絡む場合もあります。切替に伴って加算の対象が変わるかどうか確認が必要な場面もあるため、担当薬剤師はその都度の確認を忘れずに行ってください。



  • 📋 一般名処方の場合:薬剤師判断でセルシン散1%またはホリゾン散1%へ変更可能

  • 📋 銘柄指定処方の場合:処方医への疑義照会または処方変更依頼が必要

  • 📋 院内採用薬マスタ:薬事委員会承認のうえ、電子カルテ・オーダリング更新を完了させる

  • 📋 2025年4月以降に旧品目コードで請求した場合:返戻・減点のリスクがある


厚生労働省:処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について(変更可否の判断根拠として)


ジアゼパム散が第三種向精神薬である点と管理上の注意

ジアゼパムは「麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)」において第三種向精神薬に分類されています。これは多くの医療従事者が日常業務で意識しているはずの点ですが、販売中止・切替という非日常的な場面では、管理上の対応が抜け落ちやすくなります。


ジアゼパム散1%「アメル」の在庫が施設内に残っている場合、その廃棄には法律上のルールが適用されます。向精神薬の廃棄については、第三種向精神薬は麻向法上は廃棄の届出こそ不要ですが、廃棄方法は「回収が困難な方法」でなければなりません。具体的には焼却・酸・アルカリによる分解・希釈・他の薬剤との混合などが挙げられます。


廃棄の記録については、法律上は第一種・第二種向精神薬のみ記録義務が明示されており、第三種向精神薬には明示的な記録義務はありません。しかし、日本薬剤師会および各都道府県の「薬局における向精神薬取扱いの手引」では、記録と2年間の保存を推奨しています。万が一の調査・監査に備える意味でも、記録を残しておくことが原則です。


向精神薬の廃棄記録に残す項目は次のとおりです。



  • 📌 廃棄した向精神薬の品名(販売名)

  • 📌 廃棄した数量

  • 📌 廃棄した年月日


なお、散剤であるジアゼパム散の場合は、バラ包装での在庫管理をしていた施設も多いため、残量の正確な把握と帳簿上の整合性を合わせて確認してください。「帳簿残量と現物が合わない」という状況は、麻向法上の問題になりかねません。これは必須の確認作業です。


厚生労働省:薬局における向精神薬取扱いの手引(廃棄・記録の要件確認に)


ジアゼパム散アメル販売中止から学ぶ後発品供給リスクへの備え

ジアゼパム散1%「アメル」の販売中止は、後発医薬品業界全体が抱える構造的な問題を反映しています。意外ですね。同社は2021年に製造方法・手順書の不備により84品目の出荷調整・52品目の供給停止を公表しており、ジアゼパム散はその流れの中で最終的に販売中止に至った品目のひとつです。


後発医薬品の供給不安は、2021年以降に業界全体で広がった問題です。複数のジェネリックメーカーが相次いで品質問題・製造不正を抱えたことで、医療現場では代替品の入手困難が慢性化しました。ジアゼパム散は向精神薬という特性から他の一般薬以上に切替の慎重さが求められた品目でもあり、現場の負荷は小さくありませんでした。


こうした経験をふまえて、今後の備えとして医療機関・薬局に求められる対応は以下のとおりです。



  • 🔍 採用薬品リストの定期的な見直し(年1回以上):販売中止・供給停止情報を製薬会社サイトや業界ニュースで早期に把握する

  • 🔍 経過措置品目の期限管理:経過措置満了日をカレンダーに登録し、満了前3か月を目安に切替準備を完了させる

  • 🔍 代替品の事前選定と薬事委員会承認:販売中止情報が出た段階で、すぐ薬事委員会に諮れるよう代替品候補とエビデンスを準備しておく

  • 🔍 向精神薬は管理帳簿の精度向上:品目の入れ替わりが生じる際は、特に在庫確認と帳簿の突き合わせを丁寧に行う


厚生労働省は後発医薬品産業の少量多品目生産の適正化を進めており、今後も品目整理による販売中止案件は増加が予想されます。「なんとなく在庫が入ってこなくなった」という状況に気づいてから動くのでは遅い場面も出てきます。早め早めの情報収集と院内の意思決定フローを整えておくことが、現場を守ることにつながります。


データインデックス:薬価基準削除と経過措置(経過措置の仕組みを理解するための参考情報)