えっ、あなたの院内の換気口から病原菌が再拡散しているかもしれません!
多くの医療従事者は、「花粉フィルターを付けていれば空気は清潔」と信じています。しかし、実際には花粉用フィルターの捕集率は粒径2.5µm以上を対象とし、PM2.5や浮遊ウイルスの多くを通過させます。つまり、花粉には強くても微生物には無力なことが多いのです。
日本医療環境学会の調査では、一般的なフィルターだけでは院内感染対策として不十分であることが指摘されています。特に、換気口が壁面の高所にあり清掃が不十分な施設では、フィルターの背面にカビが繁殖している例もあります。
つまり、花粉フィルターは「きれいな空気」に見えても、医療環境的にはリスクを内包しているということですね。
東京都保健局のデータによると、換気フィルターの清掃を月1回以上行っている医療施設は全体のわずか28%でした。直径50cm程度の換気口を放置すると、内部湿度が80%を超えることがあり、細菌や黒カビの温床となります。これは、免疫力が低下した患者にとって深刻な二次感染のリスクです。
清掃頻度を増やすことで、カビ胞子の院内拡散を最大75%抑えられるという報告もあります。つまり、清掃予定を可視化するだけでもリスク管理が進むということです。
つまり、清掃の「定期化」が基本です。
花粉対策として使われる一般的な静電フィルターは、微細な粒子に対して帯電性能が低下しやすいという欠点があります。医療現場では、繊維径0.3µm以下のHEPAフィルターまたはULPAフィルターへの切り替えが推奨されています。これにより、新型コロナウイルス級の粒子(約0.1µm)を99.97%以上捕捉可能です。
ただし、HEPAフィルターは空気抵抗が大きく、換気効率を下げることがあります。そのため、送風圧を適切に保てる換気ユニットを選定することが大切です。
つまり、単純に「目の細かさ」だけでは選べません。
参考:日本建築学会「室内環境基準における微粒子除去性能評価ガイド」
設置位置が高すぎると、患者の呼吸域(床から1.2〜1.5m付近)まで新鮮空気が届かないことがあります。特に、天井近くに換気口が集中している場合、花粉や粉塵は滞留しやすく、実際には局所汚染が起きている例も確認されています。
空気の流れを可視化できるCO₂センサーを使えば、二酸化炭素濃度1,000ppm以上のエリアが「滞留ゾーン」として分かります。この対策には、換気口の高さを変えるか、サーキュレーターで気流を補うのが効果的です。
結論は、位置の見直しが原則です。
日本建築学会 室内環境部会
意外ですが、交換後の花粉フィルターは感染性廃棄物として扱うべき場合があります。特に、感染症患者を受け入れる病棟では、フィルター上に微生物が付着していることが多く、廃棄処理を誤ると職員感染の原因になります。
国内のある中規模病院では、未滅菌の廃棄フィルターを通常ゴミに混入し、職員が皮膚炎を発症した事例もありました。廃棄時には密封・滅菌後に産業廃棄物として処理する必要があります。
つまり、処分方法にも注意が必要です。
環境省 廃棄物・リサイクル対策部