薄く丁寧に擦り込むほど効果が上がると思って指導していませんか——実は量を減らすほど治療効果が落ち、症状が長引く可能性があります。
ステロイド外用薬の塗布量の目安として、現在の標準はFTU(Finger Tip Unit)です。
参考)https://www.ainj.co.jp/column/steroid/
1FTUとは、大人の人差し指の先端から第1関節までチューブを押し出した量で、約0.5gに相当します。 この量で大人の手のひら2枚分(体表面積の約2%)をカバーできるとされています。
参考)https://www.nihonatopy.join-us.jp/padyna/chiryo/gaiyouyaku.html
ローションタイプの場合は1円玉大が1FTUの目安となります。 剤形によって目安が変わるので、薬剤師・看護師が患者に指導する際は必ず確認が必要です。
| 部位 | 必要FTU(片側) |
|---|---|
| 顔全体 | 約2.5 FTU |
| 片腕全体(前腕〜上腕) | 約3 FTU |
| 片脚全体(大腿〜下腿) | 約6 FTU |
| 体幹(前面) | 約7 FTU |
これが基本です。
参考)https://hokuto.app/post/wKzFyTNZhmiNOJexMnYd
軟膏チューブ1本5gで、大人の手のひらサイズの面積を20枚分塗れる計算になります。 薄塗りして副作用を回避しようとする患者に対しては、「強弱は薬の強さで調整するもので、量を減らすことではない」と説明することがポイントです。
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
ステロイド外用薬は擦り込まないのが原則です。
塗布の手順は以下の通りです。
参考)https://www.shionogi-hc.co.jp/hihushiruwakaru/steroid-column/05.html
参考)https://www.himemaria.or.jp/maria/departments/pharmacy_trivia/trivia09.html
入浴後の塗布が推奨される理由は清潔さだけではありません。 皮膚温度が10℃から37℃に上昇すると、外用剤の経皮吸収率は10倍にアップするというデータがあります。 つまり、お風呂上がりに脱衣場で体がまだ温かいうちに塗るのがもっとも効率的な塗布タイミングです。
参考)https://www.inoue-hifu.com/column/2017/6159/
意外ですね。 入浴後5分以内を目安にする理由がここにあります。
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
広い範囲を塗る場合は、チューブから1cmほど押し出した量を患部全体に点状に置いてから手のひらで広げる方法が推奨されています。 体のしわの方向に沿って塗ると、皮膚への広がりが向上します。
参考)https://www.inoue-hifu.com/column/2017/6159/
ステロイド外用薬のランクは5段階(ストロンゲスト〜ウィーク)に分かれていますが、部位によって適切なランクが大きく異なります。
参考)https://hifuka-web.com/steroid_proper/page_01.html
これが原則です。
参考)https://hifuka-web.com/steroid_proper/page_01.html
参考)https://hifuka-web.com/steroid_proper/page_01.html
顔は体幹と比べて吸収率が数倍〜十数倍高いとされており、同じランクを使い続けると皮膚萎縮や毛細血管拡張のリスクが跳ね上がります。 「症状が強いから顔にも強いランクを」という思い込みは、医療従事者でも起こりやすい誤りです。
参考)https://shirasaki-hifuka.com/blog/?p=2299
逆に手のひらや足の裏は角層が厚く毛包脂腺系がないため、吸収が悪い部位です。 ここにミディアムやウィークを使っても十分な効果が得られないケースがあります。 厳しいところですね。 部位ごとの使い分けを患者に指導する際は、「強いから悪い」「弱いから安全」という単純な図式を崩すことが重要です。
参考)https://hifuka-web.com/steroid_proper/page_01.html
保湿剤とステロイド外用薬を併用する場合、どちらを先に塗るべきかは患者からよく受ける質問です。
参考)https://www.matuyaku.or.jp/med_info/mondou/2023/01.html
結論は保湿剤を先に塗るのが基本です。
参考)https://www.shionogi-hc.co.jp/rinderon/faq/a15.html
先にステロイドを患部に塗ってから保湿剤を広範囲に重ねると、ステロイドが必要のない部位まで保湿剤と一緒に塗り広げられてしまいます。 その結果、副作用が起きる可能性が高まります。
塗る面積の広い保湿剤を先に全体へ。 そのあとステロイドを患部のみに塗る——この順序を覚えておけばOKです。
参考)https://www.shionogi-hc.co.jp/rinderon/faq/a15.html
ただし、医師からの個別指示がある場合はその限りではありません。 アトピー性皮膚炎の重症例や剤形によって順序が変わる場合もあるため、医師・薬剤師の指示を確認する姿勢が大切です。
参考)https://www.matuyaku.or.jp/med_info/mondou/2023/01.html
参考:保湿剤とステロイドの塗る順序についての詳しい解説
今月のくすり問答 第187回 — 松山市薬剤師会(保湿剤とステロイドの順番について)
ステロイド外用薬の使用頻度は、通常1日1〜2回が推奨されています。
参考)えいご皮フ科正しく使えばこわくない! ステロイド薬の不安を減…
朝・夜、肌が清潔で乾いた状態で塗るのが理想です。 症状が改善してきたら使用回数を減らし、よりランクの低い薬やノンステロイド薬に切り替えていくことが一般的な方針です。
ここで注目したいのがプロアクティブ療法の考え方です。 これは使えそうです。 従来の「症状が出たら塗る(リアクティブ療法)」から一歩進んで、症状が落ち着いた後も週1〜2回の維持塗布を行い、再燃を防ぐアプローチです。
参考)https://hokuto.app/post/wKzFyTNZhmiNOJexMnYd
| 療法の種類 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| リアクティブ療法 | 悪化時のみ塗布 | 急性期の炎症を抑える |
| プロアクティブ療法 | 寛解後も週1〜2回継続 | 再燃防止・慢性化予防 |
5〜6日間使用しても症状がよくならない、または悪化した場合は使用を中止し、医師に相談するよう患者に伝えることが必要です。 長期連用に関しては定期的な皮膚状態の確認が重要であり、「いつも通り塗っているから大丈夫」と患者が思い込まないよう、定期的なフォローアップが推奨されます。
参考)https://www.shionogi-hc.co.jp/hihushiruwakaru/steroid-column/09.html
参考:アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法と外用薬の使い方
ステロイド外用薬の基本&使い方(大塚篤司 近畿大学皮膚科学教室 主任教授)— HOKUTO
同じステロイドでも、剤形(軟膏・クリーム・ローション・泡スプレーなど)によって使い勝手と特性が異なります。
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
これだけ覚えておけばOKです。
| 剤形 | 特徴 | 向いている部位・場面 |
|---|---|---|
| 軟膏 | 保湿性高い・べたつく | 乾燥が強い部位・夜間 |
| クリーム | 伸びやすい・吸収良い | 広範囲・昼間 |
| ローション | さらっとしている | 頭皮・有毛部 |
| 泡スプレー | 液だれしにくい | 頭皮・広範囲 |
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
泡スプレータイプは「延びのよい泡状溶液でほぼべたつかない、液だれをしにくい」特徴を持ちます。 頭皮病変を持つ患者には特に有効な剤形ですが、「スプレー=薄まる」と思い込んで過少使用するケースも見られます。 いいことではありませんね。
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
入浴後5分以内に塗ることは全剤形に共通して推奨されており、体のしわに沿って手のひらで広げる手技は軟膏・クリーム・ローション問わず適用できます。 患者の生活習慣・患部の場所・季節(冬は乾燥が強まるため軟膏が向くなど)を考慮した剤形選択の指導が、アドヒアランス向上につながります。
参考)https://shouen-chintsu.com/materials/pdf/2402_gaiyouyaku.pdf
参考:ステロイド外用薬のランクと塗り方の詳細まとめ
ステロイド外用剤まとめ|強さランク・塗り方(FTU)・副作用 — 日本橋形成外科・皮フ科・美容外科