真菌培養検査 算定要点を実務で外さないコツ

真菌培養検査の算定ルールと意外な落とし穴、加算の取りこぼしを最小限にする実務のポイントを整理しますが、日常業務のどこが一番リスクでしょうか?

真菌培養検査 算定の実務ポイント

真菌培養をセットで出しているのに、実は3割の症例で算定漏れか過剰算定になっているかもしれません。


真菌培養検査算定の落とし穴と対策
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真菌培養か簡易培養かの線引き

「とりあえず培養」で出した検体が、実は簡易培養扱いとなり、真菌培養を含む培養同定の算定ができないケースがあります。菌の有無確認だけなのか、同定まで含めた精査なのかをオーダー時に明示することが、180~225点レベルの取りこぼし防止につながります。

clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_1_1_6%2Fd018.html)
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複数部位採取と1検体算定のルール

同一起因真菌が疑われる複数部位から検体を採取した場合でも、主たる1部位のみ算定というルールがあり、うっかり複数算定すると返戻リスクが一気に高まります。これは細菌培養同定検査で明記されている原則で、真菌培養でも運用を合わせる施設が多いため、採取部位と算定件数の紐づけを看護師・検査技師と共有しておくことが重要です。

falco.co(https://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/060915.html)
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施設基準と加算の組み合わせ

検体検査管理加算や感染防止対策加算を届け出ている施設では、微生物学的検査全体の点数構造が変わり、真菌培養の位置づけも変わります。加算を取るための施設基準(専任の感染管理者、300床未満など)を満たしつつ、真菌培養を「微生物学的検査判断料」とセットで確実に算定しているかをレセプトレベルで確認することが、年間数十万円規模の差につながります。

chiringi.or(https://www.chiringi.or.jp/k_library/biseibutu_hp/20120225/3.pdf)


真菌培養検査 算定の基本構造と「細菌培養同定検査」との関係

真菌培養検査の算定を理解するうえで外せないのが、「D018 細菌培養同定検査」の枠組みです。 診療報酬上は「細菌培養同定検査」に細菌だけでなく真菌を含めて整理している検査案内が多く、例えば血液・穿刺液は225点、口腔・気道・呼吸器は180点、消化管は200点といった区分が並びます。 これらは「最適な培地を選び培養することで微生物を同定する」一連の検査としてまとめられており、真菌専用の別枠というより、同一の「培養・同定」の体系の中で扱われている点がポイントです。 wic-net(https://www.wic-net.com/material/document/13621/177)
つまり「真菌だから別の算定」と考えるより、「D018の範囲内で真菌を含めてどう位置づけるか」がスタートラインということですね。


真菌培養を行う場合でも、あらかじめ「菌の有無のみ」を確認する目的で出していると、簡易培養として扱われ、D018の1~5ではなく「6 簡易培養」相当の評価になる運用が示されています。 逆に同定まで行うことを予定して培養した検体であれば、陰性でも所定点数を算定できるというルールもあり、「目的」と「プロセス」が算定可否を左右します。 この目的の書き方ひとつで、180点から225点レベルの差が生じる場面があるのです。 test-directory.srl(https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/006662100)


また、真菌培養は結果が出るまでの所要日数が3~7日と長く、臨床側も検査室側も「とりあえず出しておく」傾向が強くなりがちです。 しかし、診療報酬では検体の区分(呼吸器、消化管、血液・穿刺液など)ごとに点数が違うため、「どの部位のどの目的の培養か」を明確にしておかないと、レセプト点検で「部位と点数が合わない」と指摘されるリスクが高まります。 部位分類の整理が基本です。 data.medience.co(https://data.medience.co.jp/guide/medical_fees_D018-000.html)


最後に、真菌培養検査は微生物学的検査判断料の対象にもなり得るため、培養の実施料だけを見ていると判断料の算定漏れが生じます。 尿・糞便等から微生物学的検査まで7区分のいずれかに属し、該当区分ごとに検体検査判断料を算定できる仕組みです。 つまり「培養実施料+判断料」が基本形ということですね。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/detail.php?pk=1274)


この部分は、診療報酬点数表と検査案内を突き合わせて読むと整理しやすいです。
D018 細菌培養同定検査の点数構造と部位区分(Medience 検査案内)


真菌培養検査 算定で見落としがちな「簡易培養」との排他関係

真菌培養検査の算定で意外と知られていないのが、「培養同定」と「簡易培養」の排他関係です。 点数表の解釈では、同一検体で一般培養と嫌気性培養を行った場合、嫌気性培養は加算として算定できますが、同一検体で簡易培養を併せて行った場合には「簡易培養は算定できない」と明記されています。 これは真菌を含めた培養同定検査にもそのまま影響します。 data.medience.co(https://data.medience.co.jp/guide/guide-11010006.html)


臨床現場では「まず簡易培養でざっと見て、必要なら真菌培養も」とオーダーしているケースがあります。これは使い勝手としては自然ですが、算定の観点から見ると「同一検体での併用」とみなされ、簡易培養分が算定不可となるパターンに該当しやすいです。 つまり、検査室のオーダーフロー次第で、「簡易培養の点数を丸々捨てている」ことがあるわけです。 osaka-kessei(http://osaka-kessei.jp/kensa_pdf/114.pdf)


逆に、「最初から同定まで行う前提」で培養を組めば、菌が陰性でもD018の所定点数で算定できます。 これは、真菌感染症が疑われる免疫不全患者や深在性真菌症が疑われるケースで、陰性であっても検査の意義が大きい場面にフィットします。結論は「何を目的とした培養かをオーダーで明示する」です。 knowlety(https://knowlety.jp/ika/r6-d018/)


実務上の対策としては、真菌が疑われる症例のオーダーセットを見直し、「簡易培養+真菌培養」を安易に同一検体にまとめないことが有効です。 例えば、菌の有無だけを見たいスクリーニング検査は簡易培養に限定し、深部感染が疑われる場合は最初から真菌を含む培養同定として出すなど、検査目的ごとにオーダーを分けるような運用にするだけで、返戻や査定を避けつつ点数も確保しやすくなります。 こうしたフローの整理が原則です。 kml(https://kml.kyoto/wp-content/uploads/2022/06/2022-2023_inspection_19.pdf)


このテーマは、検査室の運用説明資料にも詳細があります。
D018 細菌培養同定検査の算定ルール(診療報酬・解釈)


真菌培養検査 算定と複数検体・複数部位の取り扱い

真菌感染が疑われる症例では、同じ患者から複数の部位・複数回の検体を採取することが日常的です。例として、口腔内のカンジダが疑われるが、血流感染も否定できないケースでは、口腔スワブと血液培養を同時に提出することがあります。ここで重要なのが、「複数検体をどこまで算定できるか」というルールです。 falco.co(https://www.falco.co.jp/rinsyo/detail/060915.html)


解釈には、「症状等から同一起因菌によると判断される場合で、同一目的で異なる複数部位や同一部位の複数箇所から検体を採取したときは、主たる部位または1箇所のみ算定する」と記載されています。 これは、同じ真菌を想定した複数のスワブ検体を出している場合、レセプト上は1件しか認められないことを意味します。つまり「たくさん採ってたくさん出せば点数も増える」という感覚は通用しないのです。 osaka-kessei(http://osaka-kessei.jp/kensa_pdf/114.pdf)


一方で、血液に関しては2か所以上から採取した場合に限り、「血液または穿刺液」を2回算定でき、その際に嫌気培養加算も2回算定できるとする記載があります。 たとえば深在性真菌症を疑う血液培養を左右の末梢から同時採取した場合、適切な条件を満たせば、225点×2回分の算定が可能になるわけです。 血液培養だけは例外です。 kml(https://kml.kyoto/wp-content/uploads/2022/06/2022-2023_inspection_19.pdf)


このルールは、真菌もターゲットにした血液培養であっても、基本的に同じ枠組みで理解されます。 したがって、複数サイトからのスワブ検体については「主たる1箇所」を明確にしつつ、血液については採取部位と本数をカルテに明記し、「2か所以上」条件を満たす症例では積極的に2回算定を検討することが、査定を避けながら点数を確保するうえで重要になります。 つまり部位ごとの扱いを分けることが条件です。 kekkaku.gr(https://www.kekkaku.gr.jp/academic_journal/pdf/data_79/data_79_3/p153-287.pdf)


この辺りは検査センターの算定解説にも具体例があります。
培養同定(一般細菌・真菌)における複数検体の扱い(SRL 検査案内)


真菌培養検査 算定と施設基準・加算(検体検査管理加算・感染防止対策加算)

真菌培養検査そのものの点数だけに目を向けていると、施設全体で取り得る加算を見落としがちです。まず押さえておきたいのが、検体検査管理加算(Ⅱ~Ⅳ)や国際標準検査管理加算の仕組みです。 これらは、検体検査の品質管理に関する施設基準を満たし、地方厚生局長への届け出を行った保険医療機関であれば、検体検査ごとに40点などの加算を上乗せできるというものです。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/detail.php?pk=1274)


微生物学的検査に属する真菌培養も、この加算の対象となり得ます。 例えば、真菌培養を含むD018の検査を1日10件行う中規模病院で、検体検査管理加算や国際標準検査管理加算40点を取りこぼしていると、1日400点、1か月20日稼働として8000点、1年間で約9万6000点(約9万6000円相当)の差になります。数字で見ると、かなり痛いですね。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/detail.php?pk=1274)


さらに、感染防止対策加算1・2の施設基準では、専任の感染管理者の配置や、300床未満であることなどの条件が設定されています。 これらの加算を算定している病院では、院内感染対策の一環として微生物検査を充実させることが求められ、真菌培養の件数が自然と増える傾向にあります。 この結果、真菌培養の算定ルールを理解しているかどうかが、加算の効果を最大化できるかどうかを左右します。 eiken.co(https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/2017_10/004.pdf)


実務面では、レセプト点検やDPCデータの分析時に「微生物学的検査判断料」「検体検査管理加算」「感染防止対策加算」と「真菌培養の件数」を紐づけてチェックするのがおすすめです。 目的は、真菌培養が多い診療科(血液内科、呼吸器内科、集中治療など)で算定漏れがないかを早期に把握することです。つまりデータで追うことが基本です。 chiringi.or(https://www.chiringi.or.jp/k_library/biseibutu_hp/20120225/3.pdf)


施設基準の概要は、厚労省資料や感染対策関連学会の資料が参考になります。
感染防止対策加算と微生物検査の関係(Modern Media 解説)


真菌培養検査 算定をめぐる代表的な落とし穴と「守りの実務」

真菌培養検査の算定では、返戻・査定に直結しやすい「落とし穴」がいくつかあります。1つ目は、菌が検出されなかった場合の取り扱いです。薬剤感受性検査については「結果として菌が検出できず実施できなかった場合には算定しない」とする記載がありますが、一方で培養同定検査は同定を予定していた培養であれば、陰性でも算定してよいとされています。 つまり、同じ陰性でも扱いが異なるということです。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_1_1_6%2Fd018.html)


2つ目は、真菌以外の微生物検査との重複です。例えば病原性大腸菌の抗原定性検査を行った場合、該当する専用の実施料を算定するときには、細菌培養同定検査の点数は別に算定できないとする例があります。 真菌が疑われる消化管感染症で、「とりあえず全部出す」として複数の培養・抗原検査を並べると、結果として算定不可の検査が紛れ込む可能性があります。 どれを主として算定するかの選択が条件です。 miyagi.med.or(https://www.miyagi.med.or.jp/h_center/information/kensa2020_2022/kensa11.pdf)


3つ目は、検査管理加算や判断料の算定漏れです。真菌培養は単価が高く件数も限られるため、レセプト全体の中で存在感が薄くなりがちですが、検体検査管理加算や微生物学的検査判断料を組み合わせると、1件あたりの収益インパクトは決して小さくありません。 「高リスク・低頻度」の典型なので、標準オーダーセットやレセプトチェッカーにルールを組み込むのが現実的な対策です。 kml(https://kml.kyoto/wp-content/uploads/2022/06/2022-2023_inspection_19.pdf)


守りの実務として有効なのは、次の3つのアクションです。
・真菌培養を含む培養同定検査のオーダーセットを見直し、「目的(同定までか、スクリーニングか)」を明示する項目を追加する。
・複数部位採取のルールと血液2か所採取の例外を、電子カルテのコメントテンプレートや看護師向けマニュアルに組み込む。
・月1回程度、微生物学的検査のレセプトとDPCデータを抽出し、検査管理加算や判断料の算定状況を確認する。


これらは、「返戻を避けつつ、取り得るものは確実に取る」ための最低限の守りの一式といえます。 つまり仕組みで守るという発想です。 chiringi.or(https://www.chiringi.or.jp/k_library/biseibutu_hp/20120225/3.pdf)


このパートの具体例は、地域医師会や検査センターが公開している資料が参考になります。
微生物学的検査の算定上の注意点(大阪地域資料)


最後に、現場の状況を踏まえたうえで、いま一番整理したいのは「どの診療科の真菌培養オーダーを優先的に見直したいか」です。