モーラスパップ販売中止で知るべき代替品と対応策

モーラスパップの一部包装が販売中止となり、医療現場では代替品への切り替えや処方変更の対応が急務です。副作用・選定療養・後発品の供給状況など、今すぐ確認すべき情報とは?

モーラスパップ販売中止で医療従事者が今すぐ確認すべきこと

剥がした後も4週間は日光に当てると、患者が水ぶくれになります。


この記事の3ポイントまとめ
📦
一部包装が販売中止

モーラスパップ60mgの小包装(70枚入り)は2025年12月に出荷終了。280枚など大包装は継続販売中。処方・発注単位の見直しが必要です。

💊
後発品・代替品の供給状況に注意

選定療養の影響でケトプロフェン後発品の需要が急増し、帝國製薬の後発品は一時供給停止に。入手可能な代替品の確認が急務です。

☀️
光線過敏症リスクを再確認

ケトプロフェン外用剤の光線過敏症は1986年以降で2,028例報告。剥がした後も4週間の遮光指導が必要で、患者への説明が特に重要です。


モーラスパップ販売中止の経緯と対象包装の詳細

2025年10月2日、久光製薬から「一部包装販売中止のご案内」が正式に公表されました。今回の販売中止はモーラスパップ60mg全体の製造・販売が終わるわけではなく、あくまで特定の包装サイズが対象です。この点を正確に理解しておくことが、現場での混乱を防ぐ第一歩になります。


具体的に販売中止となるのは、モーラスパップ60mgの70枚入り小包装(7枚×10袋)です。出荷終了時期は2025年12月上旬が目安とされており、在庫状況によって多少前後する可能性があります。一方、280枚入りの大包装(7枚×40袋)については販売が継続されます。つまり、小包装が廃止されて大包装に集約される「包装集約」の措置です。


大包装への一本化は、供給の安定化や物流効率化を目的とした動きであり、昨今の医薬品業界全体で進む傾向と一致しています。一方で、現場側からすると「小分けのしやすい70枚入りが使いやすかった」という声も少なくありません。今後は280枚単位での発注・管理が基本となります。


併せて、久光製薬からは同じタイミングでナボールテープ15mg、ナボールテープL30mg、フェルビナクテープ70mg「久光」の一部包装についても販売中止のアナウンスがされています。


なお、モーラスパップ30mg(10cm×14cm)については今回の案内には含まれておらず、継続販売中です。処方変更が必要な場合は、まず対象包装がどれかを正確に特定することが必要です。


久光製薬公式:一部包装販売中止のご案内(2025年10月2日付PDF)


モーラスパップ 販売中止に伴う代替品・後発品の現状と選択肢

販売中止の対象包装が変わるだけであれば、代替品への切り替えは不要に思えますが、背景にあるケトプロフェン製剤全体の供給動向は注視が必要です。特に後発品の供給状況は、選定療養制度の影響が加わって複雑になっています。


2024年10月から長期収載品の選定療養が本格スタートしました。これにより、モーラステープ・モーラスパップを先発品として処方・調剤する際、患者が後発品との価格差の4分の1を追加負担する仕組みが導入されました。その結果として後発品への需要が急増したのですが、後発品の製造側がその急増に対応しきれなかった事例が起きています。


実際、2024年11月には帝國製薬がケトプロフェンテープ40mg「テイコク」とケトプロフェンパップXR120mg「テイコク」について一時供給停止を発表しています。選定療養の導入が後発品の供給不足を招くという、誰もが想定しきれなかった皮肉な事態が現場を直撃しました。




























商品名 区分 薬価(1枚) 3割負担目安(7枚)
モーラスパップ30mg 先発品 17.6円 約37円
ケトプロフェンパップ30mg「ラクール」 後発品 12.3円 約26円
モーラスパップXR120mg 先発品(1日1回型) 28.9円 約61円


代替品としては以下の選択肢が挙げられます。


- ケトプロフェンパップ30mg「ラクール」(後発品)
- ケトプロフェンパップ60mg「ラクール」(後発品)
- ミルタックスパップ30mg(別の先発品)
- ケトプロフェンパップ30mg「日医工」(後発品)


後発品への切り替えは基本です。ただし各社の供給状況は日々変動するため、医薬品供給状況データベース(DSJP)などで最新情報を確認するのが原則です。DJSPへのアクセスは定期的に行い、出荷調整品目リストをチェックする習慣をつけておきましょう。


データインデックス:モーラスパップ30mgの先発品・後発品一覧


モーラスパップ 販売中止を機に再確認したい光線過敏症リスクと患者指導のポイント

湿布を剥がしたその日から日光を避ければ大丈夫、と患者が思っているとしたら要注意です。


モーラスパップの有効成分であるケトプロフェンは、光線過敏症を引き起こすことで知られており、これは「剥がした後も続くリスク」という点が重要です。ケトプロフェンは真皮に浸透・滞留するため、パップを剥がしてから数週間〜数ヶ月後に日光に当てただけで光線過敏症が発現した事例が報告されています。



  • ケトプロフェン外用剤による光線過敏症:1986年〜2010年5月の間に2,028例(重篤47例)報告

  • テープ剤が最多で1,770例に上る

  • ケトプロフェン外用剤使用患者の27%が他者に譲り渡した経験あり(久光製薬 安全性情報No.37)

  • 光線過敏症のうち8.9%が「譲り渡し」によって起きた事例

  • 光線過敏症の発現リスクを知っていた患者は51%のみ(アンケート調査 n=373)


つまり、患者の約半数はリスクを理解しないまま使っている可能性があります。処方・調剤の際の説明は「一応伝えた」ではなく、理解を確認するところまで行うことが重要です。


具体的な遮光期間と遮光方法の説明は以下のように整理できます。



  • 使用中はもちろん、<strong>剥がした後も少なくとも4週間は貼付部位を日光に当てない

  • 曇りの日・窓ガラス越しの日光でも光線過敏症が起こりえる

  • 白い服・薄手の服は紫外線を透過させるため、濃色の服・UVカット繊維を推奨

  • 首や手の甲などの露出部位には「PA++++」のUV-Aカット日焼け止めも有効


また、モーラスパップは医療用医薬品であり、処方された本人のみが使用できます。「余ったから家族に」という行動は法的にも問題があるうえ、予期せぬ光線過敏症事故の原因になり得ます。患者指導の中でこの点を明確に伝えることも医療従事者の責任範囲です。


メトロ調剤薬局コラム:湿布と光線過敏症、その対策と注意点(数値データ・参考文献付き)


モーラスパップ 販売中止と選定療養制度が重なる時代の処方対応フロー

現場で混乱しやすいのが「包装変更の対応」と「選定療養の説明」が同時に求められる場面です。これはセットで整理しておくと現場がスムーズになります。


2024年10月に施行された長期収載品の選定療養制度では、後発品がある先発品を患者の希望によって処方した場合、先発品と後発品の価格差の4分の1を患者が追加自己負担します。モーラスパップ(先発品)もその対象です。



  • 患者が後発品を希望 → ケトプロフェンパップ(後発品)に変更、追加負担なし

  • 患者が先発品を希望 → モーラスパップのまま処方可能だが、価格差の1/4を追加負担

  • 医師が医学的に先発品必要と判断した場合 → 選定療養の対象外(追加負担なし)


処方変更を行う際に注意が必要なのが、「包装の変更(70枚→280枚)」と「銘柄の変更(先発→後発)」を同時に行うケースです。患者への説明内容が複数重なるため、「なぜ見た目が変わったのか」という疑問が生じやすくなります。処方変更の理由をシンプルに伝えられる準備をしておくことが大切です。


また、後発品に切り替えた場合でも、有効成分はケトプロフェンで同一のため、光線過敏症のリスクは変わりません。後発品に切り替えたから指導内容が軽くなるわけではなく、むしろ「新しい薬を出された=何か違う」と患者が思い込んで光線過敏症リスクを軽視するケースも起こりえます。つまり代替品への切り替え時にも指導の徹底が条件です。


しろぼんねっとQ&A:長期収載品の選定療養とモーラステープの処方対応(現場の疑問に答えるQ&A)


モーラスパップ 販売中止だけじゃない:現場が見落としがちな禁忌・相互作用の再確認

包装変更・後発品切り替えのタイミングは、処方全体の見直しをかける好機でもあります。


モーラスパップは外用剤ですが、有効成分のケトプロフェンは皮膚から体内に吸収されるため、飲み薬との相互作用を無視できません。見落とされやすいのが次の2点です。



  • メトトレキサート(MTX)との併用:関節リウマチで処方されるMTXと組み合わさると、MTXの副作用が増強されるリスクあり

  • ニューキノロン系抗菌薬との併用:けいれんリスクが微増するとの報告あり


禁忌にも注意が必要です。特に確認したい禁忌項目は以下の4点です。



  • ケトプロフェンまたはチアプロフェン酸・スプロフェン・フェノフィブラート・オキシベンゾン・オクトクリレンへの過敏症既往

  • アスピリン喘息(NSAIDによる喘息発作誘発リスク)

  • 光線過敏症の既往

  • 妊娠後期(胎児の心臓・血管への影響)


日焼け止めや香水に含まれる「オキシベンゾン・オクトクリレン」への過敏症が禁忌になっている点は見落としやすいです。この情報は必須です。アレルギー歴を問診する際には「日焼け止めでかぶれたことがあるか」という視点も加えると、リスクを早期に発見できます。


また、妊娠後期の患者への使用は禁忌ですが、妊娠初期・中期・授乳中については「安全性が確立されていない」ため、医師の判断で期間を限定した使用のみ行われます。自己判断での使用は避けるよう、患者への説明が必要です。


さらに、気管支喘息(アスピリン喘息以外)のある患者や、皮膚感染症のある患者については、慎重投与の対象です。湿布で皮膚感染が悪化するケースがあるため、貼付部位の皮膚状態の確認も忘れずに行いましょう。


巣鴨千石皮フ科:ケトプロフェン(モーラス)の副作用・光線過敏症・日常生活の注意点(医師監修)


医療従事者が知っておくべきモーラスパップ 販売中止後の独自視点:包装集約がもたらす現場リスクとは

「大包装に集約されただけ」と思っていると、現場に意外な落とし穴が生じます。


これはあまり語られませんが、包装集約によって70枚入りから280枚入りに変わると、調剤・在庫管理の単位が大きくなります。たとえば外来患者に少枚数ずつ処方する施設では、払い出し後の残余品が増えることになります。残余品の管理コストや廃棄リスクが上がるという現実があります。


特に調剤薬局や診療所など小規模施設では、在庫の回転率が変わることで保管スペースや期限管理に影響が出ます。湿布剤の有効期限は製品によりますが、未開封で概ね3年程度です。大包装を長期間かけて使う場合は、開封後の劣化にも目を向ける必要があります。開封後は袋のチャックをしっかり閉め、直射日光・高温を避けて保管することが基本です。


また、病院の入院フロアで使用する場合、患者一人あたりの使用枚数が少なければ、1袋分(7枚×10袋)より多く発注することで廃棄が増えるというジレンマもあります。入院での湿布処方は「1袋7枚」単位で出すケースが多いため、280枚入り(40袋分)の開封・分割を適切に管理することが求められます。


さらに、包装変更によってGS1コードや統一商品コードが変わります。電子カルテや薬歴システム上の商品コードが旧包装のままになっていると、調剤過誤や請求ミスに繋がる可能性があります。システム更新・マスタ変更の確認が漏れていないか、担当者間でのチェックを早めに行っておきましょう。


つまり「包装変更の確認はシステムとセット」というのが原則です。販売中止アナウンスが届いたら、在庫確認・発注単位の見直し・システムマスタ更新の3点を一括して対応する手順を整えておくことが、現場混乱を最小限に抑えるための実践的な対策です。


久光製薬 医療関係者向けサイト:最新のモーラスシリーズ供給情報・安定供給に関する情報一覧(定期確認推奨)