パスタロンローション販売中止と代替品の選び方

パスタロンローション10%が2026年3月に販売中止となりました。医療従事者として処方変更や代替品選択に迷っていませんか?最新情報と対応策を解説します。

パスタロンローション販売中止で知っておくべき対応と代替品

パスタロンローション10%の在庫がなくなっても、ウレパールローションに変えれば成分は同じだから患者への影響はゼロだと思っていませんか?実は、剤形ごとの基剤の違いや適応の微妙な差が、患者の使用感とアドヒアランスに直結するリスクがあります。


📋 この記事の3ポイント要約
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販売中止の時期と経緯

パスタロンローション10%は2025年10月1日に告知され、2026年3月1日付で在庫消尽後の販売中止となりました。同じく20g×50包装は2021年3月に先行中止されており、段階的な撤退でした。

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代替品の選択肢

同一成分の先発品としてウレパールローション10%(大塚製薬工場)が存在します。後発品では尿素クリーム10%「日医工」(池田薬品)、尿素クリーム10%「SUN」(サンファーマ)なども選択肢です。

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切り替え時の注意点

単純に「尿素10%」で代替品を選ぶ際、ローション剤形にこだわる必要がある部位(頭皮・広範囲など)かどうかの確認が必須です。軟膏・クリームへの変更は患者の同意と使用指導が別途必要です。


パスタロンローション販売中止の経緯と時系列

パスタロンローション10%は、佐藤製薬株式会社が製造販売していた尿素10%配合の角質軟化・保湿外用製剤です。まず2020年2月17日に「20g×50」包装の一部包装中止が告知され、2021年3月に在庫消尽となりました。


その後、残存していた「20g×20本(400g)」「50g×10」「250g×1」などの包装は継続販売されていましたが、2025年10月1日付けで佐藤製薬から正式な販売中止の案内が発出され、2026年3月1日が実施日とされました。これが原則です。


告知から実施まで約5か月というスケジュールで、在庫消尽後は一切の供給がない形になります。薬価上のデータでは1g当たり4.10円(パッケージ400g換算で1,640円)という薬価が設定されていましたが、これも消尽後は適用外となります。


厚生労働省の薬価基準においても、同薬の削除品目として登録されており、経過措置対象品目として扱われた経緯があります。なお、パスタロンクリーム20%(25g×10包装)についても出荷停止状態となっており、経過措置満了予定時期は2027年3月末と予告されています。


つまり、パスタロン全体としてラインアップが縮小されている流れです。現時点で継続されているのはパスタロンソフト軟膏20%などの一部にとどまっており、医療機関・薬局ともに処方設計の見直しが求められる局面です。


ここが大事なポイントです。「先発品が中止になっても後発品がある」という認識だけでは不十分で、ローション剤形が必要な患者に対して、軟膏・クリーム系の後発品に機械的に切り替えると、使用場面のミスマッチが生じる恐れがあります。


【佐藤製薬公式】販売中止・一部包装中止のご案内PDF(2025年10月1日付)
※パスタロンローション10%を含む複数品目の中止スケジュールと代替品リストが記載されています。


パスタロンローション10%の効能・成分と処方上の位置づけ

パスタロンローション10%の有効成分は、1g中に尿素100mg(10%)です。尿素は人体にもともと存在する天然保湿因子(NMF)の一成分であり、外用での主な作用は次の2点です。①角質溶解・剥離作用と、②水分保持作用です。


角質溶解作用とは、皮膚の最外層である角質細胞同士の結合を緩め、硬くなった部分を柔らかくすることです。水分保持作用とは、角質層内に水分を引き寄せて保持し、乾燥を防ぐことです。二刀流の効果というわけです。


添付文書上の効能・効果は「老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬、魚鱗癬、頭部粃糠疹」と幅広いです。このうちローション剤が特に優れているのが、頭皮(頭部粃糠疹)や広い範囲への塗布です。


クリームや軟膏と比較したローション剤形の利点は、液状に近く広範囲への塗布が容易なことと、頭皮のように毛髪がある部位にも浸透させやすい点です。また、べたつき感が少ないため、患者のアドヒアランスが上がりやすいという特徴もあります。


用法は通常1日数回、患部に適量を塗擦します。炎症・亀裂・ただれがある部位への使用は禁忌で、目や粘膜への接触も避けることが必須です。


なお、尿素は濃度が高い(20%)ほど角質溶解作用が強くなります。かかとや肘・膝のように角質が非常に厚い部位には20%製剤が適し、比較的軽度な乾燥やデリケートな部位には10%製剤が選ばれます。これが基本です。


【ケアネット】パスタロンローション10%の効能・副作用ページ
※添付文書情報・副作用データ・薬理情報が一覧できます。


パスタロンローション販売中止後の代替品と選択ポイント

販売中止後の代替品として、佐藤製薬自身はパスタロンソフト軟膏20%を「同効薬」として案内しています。ただし、剤形がローションから軟膏に変わるうえ、尿素濃度も10%から20%に上がります。そのまま代替品として使えるわけではありません。


ローション剤形を維持したい場合の代替品として最も直接的なのが、ウレパールローション10%(大塚製薬工場・大塚製薬)です。同一の有効成分「尿素10%」を含むローション剤で、効能・効果もほぼ同じです。薬価は1g当たり3.9円で、パスタロンローション(4.1円)よりわずかに低いです。


| 製品名 | 製造販売元 | 尿素濃度 | 剤形 | 薬価(1g) |
|---|---|---|---|---|
| パスタロンローション10% | 佐藤製薬 | 10% | ローション | 4.10円(販売中止) |
| ウレパールローション10% | 大塚製薬工場 | 10% | ローション | 3.90円 |
| 尿素クリーム10%「日医工」 | 池田薬品 | 10% | クリーム | 2.90円 |
| 尿素クリーム10%「SUN」 | サンファーマ | 10% | クリーム | 2.90円 |
| パスタロンソフト軟膏20% | 佐藤製薬 | 20% | 軟膏 | 継続品 |


代替品選択で重要なのは、患者の使用部位と剤形ニーズの確認です。頭皮病変(頭部粃糠疹)や全身広範囲に処方している場合は、ローション剤形であるウレパールローション10%への切り替えが適切です。一方、かかと・手のひらなど角質が分厚い部位なら、尿素20%のクリームや軟膏に変更を検討する価値があります。


後発品への切り替えは医療機関・薬局間の連携で円滑に進めやすいですが、先発品同士の切り替え(パスタロン→ウレパール)でも基剤の微細な違いが使用感に影響する可能性があります。患者への説明は必ず行いましょう。これが条件です。


【データインデックス】パスタロンローション10%の先発品・後発品一覧
※同一成分の代替医薬品一覧と薬価情報が確認できます。


軟膏・クリーム・ローション:剤形の使い分けと患者への説明ポイント

パスタロンローション販売中止を機に、尿素外用剤の剤形選択を改めて整理しておくことは、医療従事者として患者に最適な処方を提供するために重要です。厳しいところですね。


一般に外用剤の剤形ごとの特徴は次のとおりです。



  • 🧴 <strong>ローション剤:水またはアルコール系の液状。広範囲・頭皮などへの塗布が容易。べたつきが少なく夏季や多汗部位にも向く。ただし保湿持続性はクリームや軟膏より低め。

  • 🫧 クリーム剤:水と油の乳化(O/W型が多い)。軟膏よりさらっとしており、日常生活中でも使いやすい。保湿性・角質への浸透のバランスが良い。

  • 💊 軟膏剤(ソフト軟膏):油性基剤が主体。皮膚保護作用が高く、ひび割れ・亀裂への被覆に有効。ただしべたつきが強く患者のアドヒアランスが下がりやすい。


アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、軟膏・クリーム・ローションなどの剤形選択は病変の性状や部位に合わせて行うことが推奨されています。つまり、販売中止だからといって剤形を問わず代替品を選ぶことは適切ではありません。


患者への説明時に特に重要なのが「なぜ薬が変わるのか」の説明です。「成分は同じです」「メーカーの都合で以前のお薬が製造されなくなりました」という2点をシンプルに伝えることで、患者の不安やアドヒアランス低下を防ぐことができます。


また、クリームやローションの違いについては「ベタつきの感じが変わることがありますが、効く成分は同じです」という説明が実用的です。これは使えそうです。


特に高齢者や皮膚が乾燥しやすい患者の場合、使用感の変化が継続使用の妨げになることがあります。変更後2週間程度で状態の確認を行うフォロー体制が望ましいです。


【日本皮膚科学会】アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(PDF)
※外用剤の剤形選択に関する推奨が記載されています。


パスタロンローション販売中止における医療従事者の具体的対応手順

販売中止への対応として、医療機関・薬局それぞれに必要なアクションがあります。後手に回ると患者に迷惑がかかります。ポイントは3つです。


① 現在の処方状況の棚卸し


院内または薬局でパスタロンローション10%を処方・調剤している患者数を確認します。定期処方でこの薬を使用している患者がいれば、次回来院・調剤のタイミングで代替品への切り替えを計画的に進める必要があります。2026年3月以降は在庫がなくなり次第入手不可のため、在庫の確認が急務です。


② 処方医・薬局間の連携による代替品の確認


薬局側でパスタロンローション10%の在庫が消尽した場合、処方医へ疑義照会を行い代替品を確認します。「ウレパールローション10%への変更可否」を確認するのが最も剤形を維持できる方法です。一般名処方箋(尿素10%ローション剤)であれば、薬局の判断でウレパールローション10%を調剤することも可能です。


③ 患者への事前説明と使用指導


切り替えにあたって、患者に対し以下の点を説明します。



  • ✅ 使用している薬が製造中止になったこと

  • ✅ 代替品は同じ成分・同じ濃度であること

  • ✅ 使用感(べたつき、伸び)がわずかに異なる可能性があること

  • ✅ 炎症のある部位・傷口には使用しないこと(従来通りの注意事項の確認)

  • ✅ 変更後に皮膚の状態が変わった場合はすぐに相談すること


また、頭皮疾患(頭部粃糠疹)に処方していた場合は特に注意が必要です。ローション剤形でなければ頭皮への塗布が非常に困難になるため、代替品もローション剤形を選択することが原則です。軟膏剤に変更した場合、患者が使いにくさから使用を中断してしまうリスクがある点を認識しておきましょう。


なお、佐藤製薬のメディカル情報サイト(medinfo-sato.com)では、販売中止案内PDFや代替品情報が随時更新されています。定期的に確認することが推奨されます。


※ウレパール・パスタロンなど主要保湿剤の剤形と処方の使い分けが解説されています。