口腔ケアを適切に行わないと誤嚥性肺炎のリスクが1.55倍に増大します。 rishou(https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/1_40mouthcare_pdfslide.pdf)
サブスタンスpは迷走神経と舌咽神経の知覚枝の頸部神経節で合成される神経ペプチドです。この物質は咽頭、喉頭、気管の粘膜に放出され、嚥下反射と咳反射を正常に働かせる役割を担っています。 almediaweb(https://www.almediaweb.jp/glossary/1074.html)
正常な状態では、大脳基底核で産生されるドパミンがドパミン受容体に結合すると、それに誘発されてサブスタンスpが咽頭に放出されます。つまり、ドパミン神経系によって上位から調節されている仕組みです。 miki-hari(https://www.miki-hari.com/goenseihaien/)
このメカニズムは食べ物を飲み込むときだけでなく、誤って唾液などが気管に入りそうになった際の咳反射にも関与しています。つまり誤嚥を防ぐ二重の防御機構ということですね。 miki-hari(https://www.miki-hari.com/goenseihaien/)
サブスタンスpの分泌低下は嚥下反射および咳反射を障害し、誤嚥の原因となります。特に問題なのは、むせが生じにくい「不顕性誤嚥」が起こることです。 kamagaya-hp(https://www.kamagaya-hp.jp/archives/4584/)
パーキンソン病や脳血管性疾患、認知症などによってサブスタンスpが低下すると、気づかぬうちに口の中の雑菌を含んだ唾液などを気管に誤嚥してしまいます。これが毎日繰り返し起こることで誤嚥性肺炎を発症するのです。 houmonshika(https://www.houmonshika.org/oralcare/c90/)
年間約13万人の方が肺炎(誤嚥性肺炎を含む)で亡くなっており、その大部分に不顕性誤嚥が関与していると言われています。特に65歳以上の高齢者が肺炎死亡者の95%以上を占めており、高齢化に伴って肺炎の死亡率も高くなります。 takanohara-ch.or(https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/01/di201912.pdf)
大脳基底核付近の脳梗塞は嚥下反射をさらに悪化させます。この部位が障害されると誤嚥性肺炎のリスクはさらに高まるということです。 houmonshika(https://www.houmonshika.org/oralcare/c90/)
ACE阻害薬はサブスタンスpの分解酵素を阻害するため、サブスタンスpが蓄積して嚥下反射と咳反射を回復させます。アンジオテンシン変換酵素は本来アンジオテンシンⅠの切断を行いますが、類似ペプチドであるサブスタンスpも切断してしまうのです。 jpn-geriat-soc.or(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/josei/pdf/amako_03.pdf)
高血圧症の高齢者をACE阻害薬投与群と他の降圧薬(Ca拮抗薬やβ遮断薬)投与群に分けて2年間追跡した研究があります。前者の肺炎発症が7%(9/127)、後者が18%(56/313)であり、ACE阻害薬の投与によって肺炎発症が3分の1に減少しました。 kansensho.or(https://www.kansensho.or.jp/sisetunai/kosyu/pdf/q074.pdf)
複数の施設でACE阻害薬の肺炎予防効果が一致して報告されています。Ca拮抗薬と比較して有意に肺炎の発症を減少させるというエビデンスがあるということですね。 jpn-geriat-soc.or(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/josei/pdf/amako_03.pdf)
ただし、神経変性疾患において嚥下機能を改善するかはまだ不明な点もあります。少数例(10例)ですが嚥下造影所見を改善することが報告されている段階です。 jsdnnm(https://www.jsdnnm.com/column/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A4%89%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8Bace%E9%98%BB%E5%AE%B3%E8%96%AC202208/)
既に降圧薬を服用している高齢の患者さんがいる場合は、主治医と相談してACE阻害薬への変更を検討するのも一つの選択肢です。
食事の温度も重要な要素です。水や汁物は誤嚥しやすいのでとろみをつけるのが基本ですが、体温に近い温度だとさらに誤嚥しやすくなります。 neurosamasama.hatenadiary(https://neurosamasama.hatenadiary.jp/entry/2024/02/20/073621)
熱い食物は熱いなりに、冷たい食物は冷たいなりに食べることによってサブスタンスpが口腔から放出され、嚥下反射が改善されます。つまり温度差が刺激となるということですね。 neurosamasama.hatenadiary(https://neurosamasama.hatenadiary.jp/entry/2024/02/20/073621)
黒コショウの香り(black pepper oil)を嗅ぐことにより、1か月後にサブスタンスpが上昇し嚥下反射が改善することも報告されています。黒コショウのアロマパッチを利用するのも有効な方法です。 rishou(https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/1_40mouthcare_pdfslide.pdf)
嚥下障害のリスクがある患者さんには、食事に適度な温度差をつけ、カプサイシンやメンソールを含む食品を取り入れることで誤嚥予防につながります。
口腔ケアを歯ブラシで食後5分行うと、サブスタンスpが放出され嚥下反射を改善することが報告されています。口の中を刺激すると唾液の中に含まれているサブスタンスpの濃度が上がるのです。 angel-sika(https://www.angel-sika.com/houmon.php)
Yoneyamaらの研究によると、口腔ケアにより肺炎発症と死亡率が改善しました。さらに、歯のない人への口腔ケアによっても肺炎発症と死亡率を改善することが示されています。 rishou(https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/1_40mouthcare_pdfslide.pdf)
口腔ケアにより、きれいな唾液で口腔内の湿潤を保ち、サブスタンスpを放出して嚥下反射を改善します。その結果、肺炎発症数が減少し死亡率を改善するという流れです。 rishou(https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/1_40mouthcare_pdfslide.pdf)
唾液中のサブスタンスp量と嚥下内視鏡スコアには負の相関性が認められています。つまりサブスタンスpが多いほど嚥下機能が良好ということですね。 nenkai.pharm.or(http://nenkai.pharm.or.jp/139/pc/ipdfview.asp?i=675)
また、年齢と唾液中サブスタンスp量にも負の相関性があり、加齢に伴ってサブスタンスpが低下することが分かっています。ショウガ配合OD錠の服用により、唾液中サブスタンスp量が全ての年齢層で有意に上昇し、嚥下機能低下傾向のある高齢層において嚥下機能の改善が示唆されています。 nenkai.pharm.or(http://nenkai.pharm.or.jp/139/pc/ipdfview.asp?i=675)
逆に不適切な口腔ケアにより肺炎のリスクは1.55倍に増大します。毎日の口腔ケアを丁寧に行うことが誤嚥性肺炎予防の基本です。 rishou(https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/09/1_40mouthcare_pdfslide.pdf)
介護施設や在宅医療の現場では、食後の歯磨きを5分間しっかり行うことを習慣化することで、サブスタンスpの放出を促し誤嚥リスクを下げられます。
ドパミン抑制剤はサブスタンスpを低下させ、嚥下障害を引き起こす可能性があります。ドパミン受容体に結合してサブスタンスpの放出を誘発する経路が遮断されるためです。 misato.kenwa.or(http://misato.kenwa.or.jp/05shinryou/02staff/data/2020/20nst01.pdf)
抗精神病薬の中にはドパミン受容体を遮断するものがあり、これらは嚥下反射を低下させるリスクがあります。また、ジストニア(口腔領域で筋肉がつっぱってしまう)やアカシジア(静座での食事摂取困難)といった副作用も嚥下や咀嚼を困難にします。 misato.kenwa.or(http://misato.kenwa.or.jp/05shinryou/02staff/data/2020/20nst01.pdf)
誤嚥性肺炎の予防には栄養状態の改善や、不必要に睡眠薬・鎮静薬を使いすぎないことが重要です。睡眠薬や鎮静薬は意識レベルを低下させ、反射機能を鈍らせる可能性があるからです。 takanohara-ch.or(https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/01/di201912.pdf)
頭部挙上などの胃食道逆流の予防も大切で、肺炎球菌ワクチンの接種も推奨されます。胃食道逆流があると夜間に胃内容物を誤嚥しやすくなるためです。 takanohara-ch.or(https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/01/di201912.pdf)
服薬管理を行う際は、患者さんが服用している薬剤の中にドパミン抑制作用を持つものがないか確認し、嚥下障害のリスクを評価することが重要です。
ACE阻害薬の誤嚥性肺炎予防効果に関するエビデンス(日本感染症学会)