コットンのパジャマで寝ても、翌朝に疲れが残るのは素材のせいかもしれません。
テンセル(TENCEL™)とは、オーストリアのレンチング社が手がけるユーカリを原料とした再生繊維の商標名です。ユーカリは成長が早く、栽培に大量の水を必要としないため、環境負荷が低い植物です。製造工程で使用する溶剤は99.5〜98%の高率でリサイクルされており、2000年には欧州環境賞を受賞しています。
つまり、自然由来でありながら化学的に精製された「再生繊維」というカテゴリーに属します。コットンのような天然繊維でも、ポリエステルのような石油系化学繊維でもない、第三の選択肢です。
洋服のタグに「指定外繊維(テンセル)」と書かれているのを見たことがある方もいるかもしれません。これは家庭用品品質表示法の指定繊維に該当しないため「指定外」と表記されるのですが、決して低品質を意味するものではありません。むしろ比較的新しく先進的な素材であることを示しています。
テンセルはコットンやウール、シルクといった他の繊維と混紡されることが多く、それぞれのデメリットを補い合う形で製品化されます。パジャマ素材としての需要は年々高まっており、寝具ブランドから医療・介護向けウェアまで幅広く採用されています。
| 素材 | 柔らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 洗濯性 |
|---|---|---|---|---|
| テンセル | ◎ | ◎ | ◎ | △(要注意) |
| コットン | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
| シルク | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
| ポリエステル | △ | △ | ー | ◎ |
テンセルの吸湿性はコットンの約3倍、ウールの約2倍というデータもあります。これはつまり、素材そのものが睡眠中の体温管理に積極的に関わるということです。
なお、テンセル™はレンチング社の登録商標であり、パッケージに「TENCEL™」または「®️」マークの表記がないものは偽物の可能性があります。購入の際は商標表示を必ず確認してください。
テンセルの吸湿性・特徴についてより詳しい情報はこちらの記事も参考になります。
快眠タイムズ|テンセル™の素材感と特徴(上級睡眠健康指導士 監修)
医療従事者にとって、睡眠の質は業務パフォーマンスに直結します。夜勤後の昼間睡眠は体内時計と逆行するため、体温調節が乱れやすく、通常より多くの寝汗をかくことが知られています。
睡眠中、人体は脳を休息させるために体温を約1.5℃下げようとします。その過程でコップ一杯分、約200mlもの汗をかくのが自然なメカニズムです。コップ一杯というのは、飲食店でよく出てくる250mlのグラスの8割ほどの量です。この汗を素材が素早く吸収・放出できるかどうかで、眠りの深さが大きく変わります。
テンセル素材の吸湿性はコットンの約3倍です。これは汗で湿った状態が続かないことを意味し、不快感で目が覚めるリスクを減らします。夜勤明けの昼間の短い睡眠では、この「途中覚醒を防ぐ」効果が特に有益です。
また、テンセルは繊維表面がなめらかで低刺激です。医療従事者は消毒や手洗いで手肌が荒れやすく、皮膚バリア機能が低下している人も少なくありません。敏感になった皮膚には、摩擦の少ないなめらかな繊維が睡眠中の肌トラブルを防ぎます。これは大切なポイントです。
さらに、レンチング社の公式データによれば、テンセル素材では細菌の増殖が大きく抑制されるのに対し、合成繊維では同じ条件下で細菌が最大2,000倍に増殖することが確認されています。汗をかきやすい睡眠環境での衛生性という観点でも、医療の現場で感染予防の意識が高い職種にとって、テンセルは論理的な選択肢と言えます。
肌荒れが気になる方には、テンセル100%よりもコットンまたはポリウレタンとの混紡素材のほうが耐久性と肌へのやさしさを両立しやすいケースもあります。購入前に成分表示を確認するのが基本です。
テンセルパジャマを選ぶとき、最初に確認すべきは「テンセルの混率」です。テンセル100%はなめらかさと吸湿性が最大に発揮されますが、摩擦や縮みへの耐性が低くなります。テンセル50〜70%+コットンやポリウレタン混紡のものは、耐久性と着心地のバランスが取れており、毎日着用する医療従事者向けとして実用的です。
季節ごとの素材選びも重要なポイントです。
サイズ選びも見落としがちです。医療現場でのフィットしたユニフォームの着用が長いため、体感的にパジャマもジャストサイズを選びがちですが、睡眠時は血行促進のためにも一段階ゆとりのあるサイズが適切です。着丈・袖丈の長さも、寝返りのしやすさに影響します。
また、前開きタイプかセパレートタイプかという点も、医療従事者に特有の視点として重要です。夜勤から帰宅して疲労が蓄積した状態での着替えは、できるだけシンプルな構造が負担になりません。かぶりタイプよりも前開きボタン式のほうが着脱がスムーズで、半覚醒状態でも扱いやすいという声があります。
ウエストがゴム仕様のものを選ぶと、横になったときの締め付けが少なく、副交感神経が優位になりやすい環境を整えられます。シンプルに言うと、「寝入りの邪魔をしないパジャマ」を選ぶのが原則です。
テンセル素材のパジャマは、洗濯方法を誤ると数回で品質が著しく低下します。繊細な素材ゆえの注意点を必ず守ることが、コスパよく長く使い続けるためのコツです。
最も重要なのは「摩擦を避ける」という点です。テンセルは濡れた状態での摩擦に弱く、洗濯機で通常コースのまま洗ってしまうと、繊維表面が毛羽立ち白化してしまいます。一度白化すると、元の滑らかな光沢は戻りません。そのため洗濯機を使う場合は、必ず洗濯ネットに入れて、手洗い・弱水流コースで洗ってください。
初回洗濯で約2〜3%の縮みが発生することがあります。これはテンセルの特性によるもので、ほとんどは最初の洗濯後に生じます。そのため最初の洗濯は特に慎重に、冷水・手洗いコースで行うのが安全です。
乾燥後はシワが残りやすいので、取り出したらすぐに形を整えるのがポイントです。スチームアイロンを使う場合は低温設定にし、直接当てずにスチームのみをかけると繊維へのダメージを最小限にできます。
収納時の注意点もあります。テンセルはセルロース系素材であるため、湿った環境での長期保管はカビや虫食いのリスクがあります。夜勤シフトでなかなか使わない週が続く場合は、収納袋に除湿剤を入れるか、定期的に風通しのよい場所に出しておくだけで十分です。保管の手間は最小限で済みます。
テンセルの取り扱い方法について詳しく解説された資料はこちらも参考になります。
シェーンベルク丸十|リヨセル(テンセル)の取り扱いのポイント
テンセル素材パジャマには多くのメリットがある一方で、医療従事者ならではの使い方と組み合わさることで、思わぬ落とし穴が生まれるケースがあります。あまり語られない視点として、ここで整理しておきます。
まず「柔軟剤を使ってはいけない」という点は見落とされがちです。病院臭や汗の気になる医療従事者は柔軟剤を多用するケースがありますが、テンセル素材に柔軟剤を使うと繊維の吸湿機能が低下し、せっかくの吸汗・速乾性が半減してしまいます。柔軟剤不使用が基本です。
次に、「乾燥機が使えないこと」が多忙な医療従事者のライフスタイルとミスマッチになりやすい点も注意です。夜勤明けに洗濯してすぐ次の出番までに乾かしたいという場面では、乾燥機に頼れないことがストレスになることがあります。複数枚を用意しローテーションするか、速乾性の高い薄手のテンセル混紡タイプを選ぶことがその対策になります。
また、テンセルは「虫食いやカビが発生しやすい」という側面があります。これは自然由来素材ならではの特性です。長期間クローゼットに保管する際は、防虫剤や除湿剤のセットを忘れないようにしてください。対策は1アクションで完了します。
さらに、消毒アルコールや強い洗浄成分が付着した状態でのお手入れも注意が必要です。医療現場から帰宅した直後に手洗いをし、その手でパジャマを洗う際、高濃度の消毒成分がテンセルに触れると繊維の色落ちや劣化を促進することがあります。可能であれば手を中性洗剤で洗い流してから洗濯することを意識してください。
テンセルはデリケートな素材です。とはいえ、適切な手入れを続ければ長く使えます。長く使い続けるのが、コストパフォーマンスを最大化するただ一つのコツです。
テンセルの繊維としての特性や注意点を詳しく知りたい方はこちらのサイトも参照できます。

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