PA++++の意味と医療従事者向け正しい選び方

日焼け止めに記載されている「PA++++」は何を意味するのか?UVA防御の仕組みからSPFとの違い、医療現場でも見落とされがちな正しい使い方まで徹底解説。あなたの紫外線対策は本当に効果が出ていますか?

PA++++の意味とSPF・選び方・使い方を正しく理解する

SPF50+・PA++++の日焼け止めを毎日塗っても、量が足りないとSPF10相当の効果しか出ません。


この記事の3つのポイント
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PA++++とは何か

「Protection Grade of UVA」の略。PPD値16以上のUVA防御力を持つ最高ランク。2013年に日本で新設された区分です。

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使用量不足で効果は激減する

規定量(2mg/cm²)の半分しか塗らないと、SPF50+・PA++++の製品でも実際の防御力はSPF10程度まで落ちることが知られています。

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医療従事者こそ意識すべき理由

屋内勤務でも窓越しのUVAは通過します。光老化の約80%は紫外線が原因とされており、院内でも適切な選択が重要です。


PA++++の意味を基礎から正確に理解する


PA++++という表示は「Protection Grade of UVA(プロテクション・グレード・オブ・UVA)」の略で、日焼け止め製品がUVA(紫外線A波)をどの程度防げるかを示す日本独自の指標です。「+」の数が多いほど防御力が高く、現在の日本の基準ではPA++++が最高ランクに位置します。


PAの評価は、PPD(Persistent Pigment Darkening:持続型即時黒化)という値をもとに算出されます。PPD値とは、UVAを照射したときに肌が黒化するまでの時間を、日焼け止めなしの状態と比較して数値化したものです。具体的な対応は以下の通りです。


表示 PPD値 防御の目安
PA+ 2以上4未満 効果がある(屋内の短時間外出)
PA++ 4以上8未満 比較的効果がある(日常的な通勤・通学)
PA+++ 8以上16未満 十分に効果がある(屋外での軽い活動)
PA++++ 16以上 極めて高い効果(炎天下・マリンスポーツなど)


PA++++という最高区分は、2013年1月から日本化粧品工業連合会(JCIA)が新設した比較的新しい表示です。それ以前の最高表示はPA+++でした。研究によってUVAの有害性がより詳細に明らかになったことを受け、市場のニーズとともに基準が改定されました。


意外な事実があります。PAは日本独自の表示方法であり、海外製品では必ずしも同じ基準が使われていません。欧州ではPPD値そのものを表示することが多く、アメリカではUVA表示の方式が異なります。海外製品を使う際に「PA表示がない=UVA防御なし」と誤解する方もいますが、それは正確ではありません。製品の成分や処方を確認することが大切です。


つまり、PA++++はUVAに対する最高レベルの防御力を示す表示ということですね。


医療従事者として患者さんに日焼け止めを案内する機会がある方は、PA表示の仕組みをこの機会に正確に押さえておくと、より適切な情報提供が可能になります。


参考:日本化粧品工業連合会によるPA表示改定に関するリリース(PDF)
日本化粧品工業連合会 紫外線防止効果測定法基準の改定とPA++++表示の導入(PDF)


PA++++とSPFの違い・UVAとUVBが肌に与えるダメージ

日焼け止めには必ず「SPF〇〇」と「PA+〜++++」の両方が表示されています。この2つはよく一緒に語られますが、それぞれが対応する紫外線の種類がまったく異なります。


SPFは「Sun Protection Factor」の略で、主にUVB(紫外線B波)を防ぐ効果の指標です。UVBは波長が280〜315nmと短く、皮膚の表皮層に作用して日焼けによる赤み(サンバーン)や炎症を引き起こします。SPFの数値は「何も塗らない状態と比べて、赤みが出るまでの時間を何倍に延ばせるか」を表しており、SPF30は約97%、SPF50は約98%のUVBをカットします。


一方、PAが守るUVAは波長が315〜400nmと長く、皮膚の奥深い真皮層まで到達できます。真皮層にはコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を支える線維が存在しており、UVAはこれらを長期間にわたって破壊します。その結果として現れるのがシワ・たるみ・シミといった「光老化(フォトエイジング)」です。


ここが重要なポイントです。UVAはUVBと違い、窓ガラスを透過します。


これは、屋内で長時間勤務する医療従事者にとって見落としがちなリスクです。病院や診療所の窓際に座っている時間が長い方は、「室内にいるから安心」と思っていても、UVAによる光老化は着実に進行している可能性があります。曇りの日でも、薄い雲であれば晴天時の80〜90%程度の紫外線が届くとされています。


肌老化の原因について興味深いデータがあります。ある研究では、皮膚の老化のうち約80%が「光老化」、つまり紫外線によるダメージで説明できると報告されています(富山産業保健推進センター「光老化」資料)。残り20%が遺伝的な自然老化とされており、日常的な紫外線対策が肌の若さを保つうえで非常に大きな意味を持つとわかります。


SPFが高くてもPA値が低ければ、UVBは防いでもUVAによる光老化は進んでしまいます。これが条件です。両方の表示をバランスよく確認して製品を選ぶことが必要不可欠です。


参考:光老化とUVAの関係について(富山産業保健推進センター)
老化を防いで強い肌へ〜光老化って知ってますか?〜(PDF)


PA++++の日焼け止めでも効果が出ない「使用量不足」の落とし穴

PA++++・SPF50+の高性能製品を使っているのに、なぜか肌が焼ける——。この経験を持つ方は少なくありません。その原因の多くは、使用量不足にあります。


日焼け止めのSPF・PA値は、「1平方センチメートルあたり2mg」という規定量を塗布した状態で測定された数値です。これはかなりの量で、顔全体(約500cm²)に対して約1g、500円玉大の量に相当します。しかし実際の使用では、多くの方がこの量の半分以下しか塗っていないとされています。


その結果、何が起きるでしょうか?


SPF50+の製品を規定量の半分しか塗らないと、実際に発揮される防御効果はSPF10程度まで低下するとも言われています。これは「塗っているのに焼けた」という経験の主な原因のひとつです。PA値についても同様で、表示値の効果を十分に引き出すためには規定量に近い塗布量が必要です。


英国のキングス・カレッジ・ロンドンの研究でも、日焼け止めを使用している人々が得られている防御効果は期待値の半分以下であることが示されており、主な原因として「塗る量の少なさ」が挙げられています。


正しい量が分からないという方には、以下の目安が参考になります。


  • 🧴 顔全体:500円玉大(クリームタイプ)またはパール2〜3粒分
  • 💪 腕1本:500円玉大×1
  • 🦵 脚1本:500円玉大×2
  • 👐 首・デコルテ:500円玉大×1


これはかなりの量ですね。量を確保するのが難しい場合、2回に分けて薄く重ね塗りする方法が効果的です。2回重ね塗りすることで、1回で塗り切るよりも均一に十分量を肌全体に届けられます。


もう一つ見落とされがちなポイントとして、塗り直しの問題があります。汗・皮脂・摩擦によって日焼け止めは時間とともに落ちていくため、SPF50+・PA++++の製品を使っていても、2〜3時間おきの塗り直しが必要です。「高い製品だから塗り直さなくていい」は誤解です。


参考:日焼け止めの適正量について(BBC日本語版)
日焼け止めローションの保護効果は期待値の半分以下——英キングス・カレッジ研究(BBC)


PA++++が示す4段階のうち自分に合う選び方——シーン別ガイド

PA++++が最高ランクとはいえ、すべての状況で必ずしも必要なわけではありません。PA値は用途と場面に合わせて選ぶのが基本です。


日常的な外出(通勤・外来業務・院内移動など)であれば、PA++〜PA+++、SPF20〜30程度の製品で十分な防御が得られます。これは重要なことです。過剰に高い製品は、肌への負担増(テクスチャーの重さ・成分刺激)になる場合があります。


一方、炎天下でのフィールドワーク、夏の屋外スポーツ、登山・マリンスポーツなどでは、PA++++・SPF50+の製品が適しています。こうした場面では汗や水で落ちやすいため、ウォータープルーフタイプを選ぶことも有効です。


シーン 推奨SPF 推奨PA
屋内業務・短時間の外出 SPF20〜30 PA++〜+++
通勤・日常的な外出 SPF30〜50 PA+++
屋外での長時間活動・夏のレジャー SPF50+ PA++++
スキー・スノーボード(雪の反射あり) SPF50+ PA++++


冬のウィンタースポーツについては特に注意が必要です。雪はUVを強く反射するため、雪上ではビーチに近い紫外線量になることがあります。「冬だから大丈夫」という思い込みが、思わぬ日焼けにつながることがあります。


また、PA++++とPA+++の差はどれほどあるのでしょう?PPD値に換算すると、PA+++は8〜15、PA++++は16以上です。数字だけ見ると倍の差があるようですが、日常的な使用ではPA+++でも十分なシーンが多くあります。PA++++が特に威力を発揮するのは、長時間連続して強い紫外線を浴びる場面です。


肌質別の注意点についても触れておきます。紫外線散乱剤(酸化亜鉛・酸化チタン)を使ったノンケミカルタイプは、敏感肌・アトピー肌の方に適しています。ただし白浮きしやすい傾向があります。紫外線吸収剤タイプは高いSPF・PA値を出しやすく、テクスチャーが軽いですが、ごく一部の方に接触皮膚炎を起こすことがあるため、皮膚疾患をお持ちの方は事前に皮膚科医に相談することをお勧めします。


PA++++を正しく活かす——医療従事者が見落としがちな紫外線対策の盲点

医療従事者は多忙な業務の中でスキンケアに割く時間が少ないことが多く、日焼け止めを「とりあえず塗る」だけになりがちです。しかし、PA++++の正しい知識を活かすことで、実際の防御効果は大きく変わります。


一つ目の盲点は「屋内だからUVA対策は不要」という思い込みです。前述の通り、UVAはガラスを透過するため、窓際での業務が多い方は要注意です。外来の待合室、医局の窓際、日当たりの良い廊下など、見落としやすい場所でUVAは降り注いでいます。これは盲点ですね。


二つ目は「一年中同じ製品でいい」という誤解です。UVBは夏に強くなりますが、UVAは年間を通じてほぼ一定量が降り注いでいます。そのため、光老化対策として考えるならPA値への意識は12ヶ月間維持することが原則です。


三つ目は「塗り忘れた翌日にたくさん塗れば補える」という誤解です。紫外線ダメージは蓄積型であり、翌日に多く塗ることで過去のダメージを帳消しにすることはできません。毎日継続的に使用することが重要です。


もし日焼け止めを塗り直せない環境にいる場合(手術中、長時間の処置中など)、日焼け止め効果のある粉体タイプのファンデーションやUVカットパウダーを活用する方法があります。直接塗り直せない状況でも、部分的に効果を補うことが可能です。


また、紫外線対策は日焼け止めだけに頼るのではなく、複数の手段を組み合わせることで総合的な防御力が高まります。


  • 🧢 帽子・サングラス:顔・目への直接照射を物理的に減らす
  • 👕 UVカット素材の衣類:・体幹への紫外線を遮断する
  • 🌿 ビタミンC・ナイアシンアミド含有スキンケア:メラニン生成を抑制し、光老化を内側からケア
  • ☕ 抗酸化成分を含む食事(緑黄色野菜・ナッツ類):活性酸素によるダメージを軽減


日焼け止めは外からの守りの最前線として機能しますが、その効果を最大化するためには正しい量・正しいタイミング・定期的な塗り直しという「使い方」が何より重要です。PA++++という数値は、正しく使ってこそ意味を持ちます。PA++++なら問題ありません——ではなく、「正しく使ったPA++++なら十分に機能します」というのが正確な理解です。


参考:紫外線による健康影響(環境省)
環境省「紫外線による健康影響」解説資料(PDF)




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