医療従事者の9割以上がビタミンD不足または欠乏状態にあることが、国立国際医療研究センターの研究で判明しています。
ビタミンD3(コレカルシフェロール)とビタミンD2(エルゴカルシフェロール)は、どちらも「ビタミンD」というカテゴリに属する脂溶性ビタミンです。化学的には側鎖の構造だけが異なり、基本骨格は共通しています。この「わずかな差」が、体内での挙動に大きな影響をもたらします。
D3の主な由来は動物性です。皮膚の7-デヒドロコレステロールが紫外線(UVB:290〜320nm)に曝露されると、プレビタミンD3を経てD3が合成されます。食品では、サーモン・サバ・マグロなど脂肪の多い魚に豊富に含まれており、タラ肝油(大さじ1で約1,360IU)はその代表格です。市販のサプリメントでは羊毛のラノリンから抽出されたものが主流であり、地衣類由来のヴィーガン対応D3も近年増えています。
一方、D2の由来は植物・菌類です。酵母やきのこ類のエルゴステロールに紫外線を照射して生成されます。干ししいたけやきくらげがD2の代表的な食品源であり、UV処理を施したマッシュルームはD2含量が大幅に増加します。D2は日光による皮膚合成は行われません。食品添加物として認められており、強化食品(シリアルなど)にはD2が使用されることがあります。
結論はシンプルです。植物性・動物性という由来の違いが、日常的な食事指導や患者のライフスタイルに合ったサプリ選択にそのまま直結します。ヴィーガンや動物性食品を避ける患者にはD2、またはヴィーガン対応D3が適切な選択肢となります。
厚生労働省eJIM(医療関係者向け):ビタミンD ファクトシート(D2・D3の由来・供給源・推奨摂取量など、医療者向けの詳細情報が掲載されています)
D2もD3も、小腸での吸収は受動拡散とキャリアタンパクを介した二経路で行われます。吸収効率に大きな差はなく、両者とも食事中の脂肪と同時摂取することで吸収が促進されます。腸管での吸収量は加齢や肥満による影響をほとんど受けないことも、両者に共通した特徴です。
代謝経路は同じです。D2・D3ともに、まず肝臓で25-ヒドロキシビタミンD〔25(OH)D〕に変換され、次いで腎臓で活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンD〔1,25(OH)₂D=カルシトリオール〕となります。ビタミンDの充足状態の評価指標として用いる「血清25(OH)D値」は、D2由来の25(OH)D2とD3由来の25(OH)D3の合計値です。
生物活性の差はここに表れます。D3由来の1,25(OH)₂D3は、ビタミンD結合タンパク(DBP)との親和性がD2由来の1,25(OH)₂D2よりも高いことが示されています。これが補充後の血中濃度の維持期間の差につながっており、研究では「D3は血清25(OH)D値を、D2よりも大きく上昇させ、より長く高値を維持する」ことが複数の試験で確認されています。ある比較試験では、高用量投与においてD3がD2より総ビタミンD値と遊離ビタミンD値を2倍増加させたという報告もあります。
ただし、吸収・利用のしやすさが「D3はD2の2倍」というほど圧倒的な差ではないとする専門家もいます。これが原則です。日常的な補充目的ではどちらも有効ですが、欠乏の是正スピードと血中濃度の持続性という観点からは、D3が優位と理解しておくとよいでしょう。
血中25(OH)Dの半減期は約2〜3週間(約15〜30日)と比較的長く、一方、活性型ビタミンD〔1,25(OH)₂D〕の半減期は約1日と短いことも覚えておく重要なポイントです。ビタミンD状態の評価に1,25(OH)₂Dが使われない理由がここにあります。
田中クリニック「今さら聞けないシリーズ ビタミンD②」:活性型ビタミンDへの代謝経路、DBP親和性の差、VDRを介した作用メカニズムについて詳しく解説されています)
ビタミンDの充足状態を臨床評価する際、測定するのは血清25(OH)D濃度です。1,25(OH)₂D(活性型)は副甲状腺ホルモン・カルシウム・リン酸によって厳密に制御されているため、欠乏の評価指標には適していません。重度のビタミンD欠乏でなければ1,25(OH)₂D値が低下しないことも多く、見落としの原因になります。25(OH)Dの測定が重要です。
判定基準について、内分泌学会は臨床上の充足として30ng/mL(75nmol/L)以上を推奨しています。一方、米国科学・工学・医学アカデミー(NASEM)のFNBは20ng/mL(50nmol/L)以上をほとんどの人で充足と位置づけています。日本の目安としては骨粗鬆症診療の観点から30ng/mLが推奨基準として広く参照されており、20ng/mL未満が欠乏、20〜30ng/mLが不足と定義されることが多い状況です。
D3補充後の方が、D2補充後に比べて25(OH)D3の上昇が速く、持続期間が長いことが示されています。これは先述のDBP親和性の差によるものです。補充量と25(OH)D上昇の関係については、600IU/日以下の低用量では40IU増加するごとに約0.92ng/mL上昇し、1,000IU/日以上では40IUあたり約1nmol/L(0.4ng/mL)の上昇が期待できるとされています。ただし、25(OH)Dのベースラインが低いほど補充への反応が大きく、既に充足している人では上昇幅が小さくなります。
25(OH)D値が125nmol/L(50ng/mL)を超えると潜在的な有害作用の可能性があり、150nmol/L(60ng/mL)超では特に注意が必要とされています。過剰症では高カルシウム血症が生じ、食欲不振・悪心・嘔吐・筋力低下・不整脈などが起こり、さらに進行すると血管・腎臓・肺などへの石灰化も招きます。意外ですね。D3の方が長く血中に維持されるということは、過剰になった場合の持続リスクもD2より高いという側面があります。
日本では2018年9月から、骨粗鬆症に対する25(OH)D値の血清濃度測定が保険適用となっています。患者の補充状況をフォローアップする際に積極的に活用できる制度です。
日常の補充目的では、D3がファーストチョイスです。ヴィーガン・植物性食品のみを摂取する患者にはD2、もしくはヴィーガン対応D3(地衣類由来)を提案します。これが基本です。
高用量での欠乏是正という場面では、従来はD2の大量製剤(50,000IU製剤など)が用いられることがありました。これはD2の高用量製剤が入手しやすかったという歴史的経緯によるものです。ただし研究では、高用量においてもD3の方がD2より有効であるとする報告が増えており、現在では高用量D3製剤の選択肢も広がっています。
推奨摂取量については、日本の食事摂取基準(2020年版)では成人の目安量が8.5μg(340IU)/日、上限量が100μg(4,000IU)/日に設定されています。米国NCI(内分泌学会)では1日1,500〜2,000IU(37.5〜50μg)の補充が必要な場合もあるとしています。注意が必要なのは上限値で、長期的に4,000IU/日(100μg/日)を超える継続摂取は健康への悪影響リスクが上がると判断されています。
一方、令和元年の「国民健康・栄養調査」では、日本人の1日あたりのビタミンD摂取量(中央値)は約3.4μgにとどまり、目安量の半分以下という現状があります。国立国際医療研究センターの調査では、紫外線の多い6月時点でも医療従事者の45.9%がビタミンD欠乏(20ng/mL未満)、44.9%が不足(20〜29ng/mL)と判定され、充足していたのはわずか9.3%でした。
患者指導においては「D2もD3も脂質と一緒に摂取することで吸収が向上する」という点を必ず伝えましょう。油脂を含むソフトジェルカプセルタイプのサプリを推奨するのが合理的です。食後の服用が現実的に吸収率を底上げするためのシンプルな対策になります。
また、日焼け止めの常用は皮膚でのビタミンD合成を大幅に低下させることが、前述の医療従事者研究でも確認されており、日焼け止めを常用する患者はサプリや食事からの摂取を意識的に増やす必要があります。
健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団):「ビタミンDの働きと1日の摂取量」(日本の推奨量・目安量、欠乏症、過剰症、食品中の含有量について分かりやすくまとめられています)
ビタミンD3・D2に関して、医療現場で最も起きやすい混乱の一つは「天然型ビタミンD(D2・D3)」と「活性型ビタミンD(カルシトリオール・アルファカルシドール)」の混同です。これは患者だけでなく、医療従事者間でも認識がずれていることがあります。
天然型のD2・D3はサプリメントや食品の形で摂取でき、肝臓と腎臓を経て初めて活性化されます。一方、活性型ビタミンD製剤(例:アルファロール®、ロカルトロール®など)は医薬品として処方されるものであり、腎機能が低下していてもD3変換を経ずに直接効果を発揮します。食品添加への使用が許可されていないのは活性型ビタミンDのみです。
この違いを患者に説明せずにいると、「病院で活性型を処方されているからサプリは不要」と誤解されるケースが生じます。逆に、腎不全患者がD3サプリを大量に摂取しても、活性化できずに効果が出ないケースもあります。処方薬との併用時は必ず確認が必要です。
2017年だけで世界中で4,350以上の論文がPubMedに登録されるほど研究が盛んであり、ビタミンDはがん・心血管疾患・感染症・免疫機能・精神疾患との関連で注目されています。特に2017年にBMJに掲載されたメタ解析(25試験・11,321人対象)では、ビタミンD補充が急性呼吸器感染症リスクを有意に低減し、ビタミンD欠乏者(25nmol/L以下)への補充で効果がより大きいことが報告されました。これは使えそうです。
医療従事者が自身の健康のためにD3サプリを選ぶ場合も、処方薬との相互作用(コルチコステロイド、コレスチラミン、リファンピシンなどはビタミンDの代謝に影響)を確認したうえで、1日1,000〜2,000IUを目安に、脂質を含む食事とともに服用するのが現実的な方法です。また、血清25(OH)D値を定期的にモニタリングすることで、効果の確認と過剰症の早期発見が可能になります。
厚生労働省eJIM(医療関係者向け):ビタミンDと医薬品の相互作用、活性型ビタミンDとの違い、各種疾患との関連エビデンスについての詳細情報が掲載されています。

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