5gの小チューブで1FTU分を絞っても、成人基準の0.5gには届かず薬効が半分以下になります。
FTU(finger-tip unit)とは、1991年にC.C. Longらによって提唱された、外用薬の塗布量を示す実用的な単位です 。口径5mmのチューブから大人の人差し指の先端〜第一関節まで絞り出した量が1FTUで、重量にして約0.5gに相当します 。この1FTUで「大人の手のひら2枚分(体表面積の約2%)」を適切に塗布できるとされており、患者・医師双方が共通の尺度として使いやすい点が特徴です 。 iroha-hifuka(https://iroha-hifuka.com/column/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%A7%91%E3%81%AE%E5%A4%96%E7%94%A8%E8%96%AC%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%9F/)
重要な点があります。この基準はあくまで「大人の人差し指」で測るものです。小児に塗る場合でも、子どもの指ではなく保護者や医療従事者の人差し指で量を測ってから使用することが推奨されています 。 rebirth-clinic(https://rebirth-clinic.jp/blog/5504/)
つまり「FTUの基準は大人の指」が原則です。
小児への軟膏塗布量は年齢と部位によって細かく設定されています。以下の表は1FTU=0.5gを基準とした目安量です 。 erca.go(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/column/202310_1/)
| 年齢 | 顔・頸部 | 上肢片側 | 下肢片側 | 体幹(前面) | 体幹(背面) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3〜6か月 | 1 FTU(0.5g) | 1 FTU(0.5g) | 1.5 FTU(0.75g) | 1 FTU(0.5g) | 1.5 FTU(0.75g) |
| 1〜2歳 | 1.5 FTU(0.75g) | 1.5 FTU(0.75g) | 2 FTU(1.0g) | 2 FTU(1.0g) | 3 FTU(1.5g) |
| 3〜5歳 | 1.5 FTU(0.75g) | 2 FTU(1.0g) | 3 FTU(1.5g) | 3 FTU(1.5g) | 3.5 FTU(1.75g) |
| 6〜10歳 | 2 FTU(1.0g) | 2.5 FTU(1.25g) | 4.5 FTU(2.25g) | 3.5 FTU(1.75g) | 5 FTU(2.5g) |
この表を見ると、同じ「3〜6か月児の全身」に塗る場合でも部位によって0.5g〜0.75gと差があることがわかります。体幹背面・下肢は体幹前面より多くの量が必要になるため、一律で同じ量を塗ることは過不足につながります 。 erca.go(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/column/202310_1/)
年齢が上がるにつれ必要量が増えるのは当然ですが、注目すべきは体幹背面の増加幅です。1〜2歳では3 FTU(1.5g)、6〜10歳では5 FTU(2.5g)と、成長とともに急激に増加します 。体幹背面はお尻を含む広い面積であるため、不足しやすい部位として認識しておくことが大切です。 nihonatopy.join-us(https://www.nihonatopy.join-us.jp/padyna/chiryo/gaiyouyaku.html)
「1FTU=約0.5g」と覚えていても、使用するチューブのサイズによって実際の絞り出し量は大きく変わります。これは小児診療の現場で特に注意が必要な落とし穴です。
チューブのサイズ別の実際の1FTU量は以下の通りです 。 ochanomizu.yourclinic(https://ochanomizu.yourclinic.jp/atopic_dermatitis)
つまり小さいチューブで基準の指示通りに絞っても、必要量の半分以下しか塗れていない可能性があります。これは問題ですね。
小児科・皮膚科では小サイズのチューブを処方することも多いため、患者指導の際には「このチューブは5gチューブなので、第一関節までではなく2節分絞ってください」と伝えることが適切な塗布量確保につながります 。処方チューブのサイズを確認してから指導することが条件です。 ochanomizu.yourclinic(https://ochanomizu.yourclinic.jp/atopic_dermatitis)
小児にステロイド外用薬を使用する際、FTUを用いた管理は副作用リスクの低減にも直接関係します。アトピー性皮膚炎の診療においては、年齢・体重別に1回塗布量の上限が設定されています 。 maruho.co(https://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/suitable/external.html)
一方で、適切な量を使用した場合の安全性についても理解しておく必要があります。小児を対象とした長期研究では、適正使用範囲内でのステロイド外用薬は皮膚萎縮を起こさなかったとする報告があります 。1か月あたりの強力価ステロイドの平均使用量が79gに達する症例でも、偽薬群と比較して皮膚萎縮に差がなかったというデータは注目に値します。 onizawa-fc(https://onizawa-fc.com/blog/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%AE%E8%BB%9F%E8%86%8F%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E5%A1%97%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%8B%EF%BC%9F)
結論は「適切な量と強度の選択」が最重要です。
複数科にまたがって診療される小児の患者では、診療科ごとに指導内容が一致しないケースも起こりえます。これは厳しいところですね。
実際に医療現場で見落とされやすい指導ポイントをまとめます。
ja-aichiama(https://www.ja-aichiama.com/wp-content/uploads/amanokaze0402.pdf)
保湿剤については副作用リスクがほぼないため、FTU以上の量を塗ることが推奨されています 。ステロイド外用薬と保湿剤のFTU運用は区別して指導することが実臨床では重要です。 ja-aichiama(https://www.ja-aichiama.com/wp-content/uploads/amanokaze0402.pdf)
皮膚外用薬の適切な使い方についての詳細情報は、日本皮膚科学会・皮膚科Q&Aが信頼性の高い一次情報として参照できます。
皮膚科Q&A「軟膏やクリームを塗る量はどのくらい?」(日本皮膚科学会)
小児アトピー性皮膚炎のFTU基準量一覧(年齢別・部位別)を確認したい場合は、以下のページが図表でわかりやすくまとめられています。
外用薬について(年齢・患部別FTU使用量一覧)(日本アトピー協会)
小児ステロイド外用薬の塗布上限量とFTU換算の詳細は、以下のマルホ医療関係者向けページで確認できます。