IL-17阻害薬やTNF阻害薬に代表される生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした一方で、感染症リスクという重大な副作用を抱えています。 特にTNF阻害薬(インフリキシマブなど)は潜在性結核の再活性化を引き起こすリスクが高く、日本皮膚科学会のガイダンスでは生物学的製剤開始3週間前よりイソニアジド200〜300mg/日を6〜9カ月間予防投与することを推奨しています。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/news/J20190307_gaid.pdf)
乾癬患者における潜在性結核感染症(LTBI)の有病率は、生物学的製剤治療開始前で24.6%にのぼるという報告があります。 これは一般人口と比べても相当高い数値です。意外ですね。 academia.carenet(https://academia.carenet.com/share/news/5dc838c3-130a-4f55-bcca-37b995ddb853)
さらに注目すべき点として、乾癬患者全体での結核発症率は一般人口の約3倍以上であることが18年間の追跡調査で明らかになっています。 特にインフリキシマブの使用は肺外結核の発症と関連していると報告されており、投与前・投与中の感染症スクリーニングを徹底することが患者安全に直結します。 academia.carenet(https://academia.carenet.com/share/news/81cf59c8-5c1b-49b8-87f6-6b4c6edc9746)
一方で、IL-17阻害薬やIL-23阻害薬については、潜在性結核感染があっても予防投与なしで使用した場合の再活性化率が、IL-17阻害薬で0.78%(256例中3例)、IL-23阻害薬で0.17%(581例中1例)にとどまったという系統的レビューもあり、TNF阻害薬と比較してリスクが低い可能性が示されています。 つまり、薬剤クラスによってリスク層別化が必要です。 hokuto(https://hokuto.app/post/tQDxfp3ob1SBjKF7byoT)
医療現場での対応として、生物学的製剤導入前には血液検査・胸部X線・必要に応じて胸部CTを実施し、治療中も定期的な結核関連検査を継続することが原則です。 ohno-clinic.or(https://ohno-clinic.or.jp/jyoujousei-kansen/)
参考:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(日本皮膚科学会)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/news/J20190307_gaid.pdf
外用薬は「副作用が少なく安全」というイメージを持たれがちですが、実際には量と部位によって重篤な副作用が生じます。これが基本です。
ビタミンD3外用薬(マキサカルシトール製剤など)は、1日の使用量が10gを超えると高カルシウム血症や急性腎障害のリスクが顕著に高まるため、使用量の上限が1日10g(1本)と定められています。 腎機能に不安のある患者では、1日10g未満でも副作用が出る可能性があり、定期的な血液検査が必要です。 「外用薬だから全身に影響はない」という思い込みは危険です。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/marduox.html)
高カルシウム血症の初期症状は、だるさ・食欲低下・吐き気など非特異的なもので見逃しやすい点も注意が必要です。 腎不全が疑われる場合はむくみや尿量減少にも目を向けてください。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/kansen-treatment.html)
一方でステロイド外用薬は長期使用により皮膚萎縮・毛細血管拡張といった局所副作用のほか、ビタミンD3外用薬と配合された製剤(マーデュオックスなど)では配合による相乗リスクにも注意が必要です。 また、顔面・皮膚の薄い部位への塗布は少量でも副作用が出やすく、塗布禁止部位の適切な指導が不可欠です。 maruho.co(https://www.maruho.co.jp/kanja/kansen/diagnosis/medicine/)
| 外用薬の種類 | 主な副作用 | 注意すべき上限・条件 |
|---|---|---|
| ビタミンD3外用薬 | 高カルシウム血症、急性腎障害、刺激感 | 1日10g以下(腎機能低下時は特に注意) |
| ステロイド外用薬 | 皮膚萎縮、毛細血管拡張、易感染性 | 長期使用・顔面・皮膚の薄い部位への使用を避ける |
| 配合外用薬(マーデュオックスなど) | 皮膚剥脱、高カルシウム血症 | 1日1本(10g)厳守 |
参考:ビタミンD3配合外用薬の副作用詳細(すがも千石皮膚科)
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/marduox.html
内服薬の中でもメトトレキサート(MTX)とシクロスポリンは、乾癬の中等度〜重症例に広く使われますが、いずれも重篤な副作用リスクを持ちます。重篤な副作用は必須の知識です。
メトトレキサートの主な重篤副作用は骨髄障害・間質性肺炎・感染症(肺炎・結核)・肝障害(B型肝炎ウイルス再活性化を含む)・リンパ増殖性疾患です。 投与量が増えるにつれ、葉酸阻害による口内炎・吐き気・下痢・肝機能異常も頻度が高まります。 間質性肺炎はまれとはいえ致命的になりうるため、投与中に乾いた咳や息切れが現れた場合は速やかに評価が必要です。 ryumachi-jp(https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2024/01/mtx_2024.pdf)
シクロスポリンについては腎機能低下と高血圧が主要副作用で、長期内服はリスクを伴うとの報告があります。 特に腎機能モニタリングを怠ると不可逆的な腎障害につながる危険性があります。これは見逃せません。 sapporo-shiroishi-hifuka(https://sapporo-shiroishi-hifuka.jp/psoriasis/)
また見落とされがちな注意点として、メトトレキサートには胚胎児毒性(催奇形性)があり、内服終了後も女性は2年間、男性は半年間の避妊が必要です。 生殖可能年齢の患者への処方時は、避妊指導の徹底が法的・倫理的責務となります。 yukami-hifuka(https://yukami-hifuka.com/blog/clinic_blog02/%E4%B9%BE%E7%99%AC/191.html)
参考:メトトレキサート使用の手引き(日本リウマチ学会)
https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2024/01/mtx_2024.pdf
アプレミラスト(オテズラ)はPDE4阻害薬として比較的安全なイメージがあります。しかし実際には注意すべき副作用が複数存在します。意外ですね。
投与開始初期(特に最初の2週間)に5%以上の確率で吐き気・下痢・頭痛が出現します。 これらは体が薬に慣れるにつれて改善することが多いですが、この初期副作用で患者が自己中断するケースがあります。服薬継続のためのカウンセリングが重要です。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/otezla.html)
さらに、一般にはあまり知られていませんが、アプレミラストは抑うつ症状・気分変動などの精神症状に注意が必要です。 重大な副作用として重篤な感染症(0.7%)、重篤な過敏症(0.1%未満)、重度の下痢も報告されています。 精神症状が現れた場合は投与中止を検討する必要があります。 ubie(https://ubie.app/byoki_qa/medicine-clinical-questions/8hjzl5c9bvn)
日民連の副作用モニター情報では、アプレミラストの市販直後調査(6カ月)において帯状疱疹4件・蜂巣炎4件・皮膚組織障害61件が報告されており、感染症と皮膚障害は特に早期発見が重要です。 また高齢者では非高齢者と比べ薬の曝露量が13%増加するとされ、再発性感染症の既往がある患者には特別な注意が必要です。 min-iren.gr(https://www.min-iren.gr.jp/news-press/shinbun/20180918_36092.html)
実務上のポイントとして、アプレミラストには催奇形性のあるサリドマイド誘導体と共通する化学構造(フタルイミド基)があり、胚胎児毒性への配慮も忘れてはなりません。 処方時には生殖に関するリスク説明を文書で残しておくことが望ましいです。 min-iren.gr(https://www.min-iren.gr.jp/news-press/shinbun/20180918_36092.html)
乾癬薬の副作用管理において、教科書的な知識だけでは不十分な「見落とし」が現場に潜んでいます。これは現場ならではの問題です。
たとえば、B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化は生物学的製剤・MTXの両方で起こりえますが、治療開始前にHBs抗原・HBc抗体・HBs抗体を必ず確認しなければなりません。 HBs抗原陰性でもHBc抗体陽性(既往感染)の場合、免疫抑制下でウイルスが再活性化し、劇症肝炎に至るケースがあります。見落とすと重篤です。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/news/J20190307_gaid.pdf)
次に、複数薬剤の併用時リスクがあります。ビタミンD3外用薬とカルシウム製剤・ビタミンD内服薬を同時に使用している患者では、高カルシウム血症のリスクが相乗的に高まります。 お薬手帳や持参薬確認の徹底が、この副作用を防ぐ第一歩です。これが条件です。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/marduox.html)
また、乾癬治療薬の副作用と疾患症状が混同されるケースも多いです。たとえばマーデュオックスの副作用の「皮膚剥脱」は乾癬の症状である鱗屑(うろこ状の皮膚)と見分けがつきにくいことがあります。 症状の変化パターンと発症時期を丁寧に問診し、薬剤性かどうかを鑑別する視点が欠かせません。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/marduox.html)
参考:全日本民医連 副作用モニター情報(乾癬治療薬)
https://www.min-iren.gr.jp/news-press/shinbun/20180918_36092.html
参考:乾癬における生物学的製剤の使用指針および安全対策マニュアル(日本皮膚科学会)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/1309834922_1.pdf