医療機器クラス分類一覧と承認・届出の全手順

医療機器のクラス分類は、リスクに応じてクラスⅠ〜Ⅳに分けられます。分類ごとに必要な承認・認証・届出の手続きが異なり、間違えると法的リスクに直結します。あなたの担当機器は正しく分類できていますか?

医療機器クラス分類一覧と承認・認証・届出の正しい理解

クラスⅡでも「認証」ではなく「承認」が必要な機器が存在し、間違えると薬機法違反になります。


📋 この記事の3ポイント要約
🏷️
クラス分類はリスクで決まる

医療機器はクラスⅠ〜Ⅳの4段階に分類され、患者・使用者へのリスクの高さが基準となります。クラスが上がるほど行政手続きが厳格になります。

⚠️
承認・認証・届出は分類で異なる

クラスⅠは届出、クラスⅡは第三者認証(一部は承認)、クラスⅢ・Ⅳは国の承認が必要です。この区別を誤ると薬機法違反となりリスクが生じます。

📌
分類は「クラス名」だけでは判断できない

一般的名称・設計・使用目的によって同じ種類の機器でもクラスが変わることがあります。PMDAのデータベースで必ず確認することが原則です。


医療機器クラス分類の基本:4段階のリスク区分とは


医療機器のクラス分類は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいて定められた制度です。その目的は、機器が患者・使用者・第三者に与えるリスクの大きさに応じて、適切な行政管理を実現することにあります。


日本における分類体系は、クラスⅠからクラスⅣまでの4段階で構成されています。この枠組みはGHTF(Global Harmonization Task Force)の国際的なルールを参考に設計されており、日本独自の要素も加えられています。


クラスの具体的な定義は以下のとおりです。


クラス リスクレベル 具体例 行政手続き
クラスⅠ 低リスク(不具合が生じても人体への影響が軽微) 外科用メス、体外診断用機器の一部 届出(製造販売届出)
クラスⅡ 中リスク(不具合が生じると人体への影響が考えられる) 電子体温計、消化器用内視鏡、家庭用電気治療器 第三者認証(一部は国の承認)
クラスⅢ 高リスク(不具合が生じると生命の危険や重大な機能障害につながるおそれ) 人工透析器、人工骨、整形外科用インプラント 国(PMDA経由)の承認
クラスⅣ 最高リスク(不具合が生じると生命の危険に直結) 心臓弁、ペースメーカー、冠動脈ステント 国(PMDA経由)の承認


つまり、クラスが高いほど審査が厳しく、時間とコストがかかります。


重要なのは、クラス分類は「機器の種類」だけで決まるわけではないという点です。同じ「カテーテル」という名称でも、使用部位や侵襲の程度によってクラスⅡになる場合もクラスⅣになる場合もあります。これが後述するトラブルの温床になることがあります。


分類の基準として参照すべき公式文書は、厚生労働省が定める「医療機器の一般的名称データベース(J-MDDIS)」と、PMDAが管理する医療機器データベースです。これが基本です。


PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構):医療機器の審査に関する基本情報


医療機器クラス分類一覧:代表的な機器と分類の具体的な対応表

現場で実際に使われている機器がどのクラスに該当するかを把握しておくことは、医療従事者にとって法的リスク管理の第一歩です。以下に、よく使われる機器の分類例を示します。


クラスⅠの主な機器例


クラスⅠに分類されるのは、主に患者の体に直接侵入しない、または影響が限定的な機器です。


- 外科用ピンセット・鑷子(非侵襲的)
- 手術用手袋(非滅菌)
- 医療用ガーゼ・包帯
- X線用カセッテ
- 一般的なリハビリ補助具


これらは届出のみで販売可能です。ただし「届出のみだから審査不要」という認識は危険です。製造管理・品質管理(QMS省令)の遵守は義務として残ります。


クラスⅡの主な機器例


クラスⅡは最も種類が多く、日常臨床で頻繁に目にします。


- 電子体温計・自動血圧計
- 超音波診断装置(体外式)
- 消化器系内視鏡(硬性)
- 歯科用ユニット
- 家庭用電気治療器・低周波治療器
- 一部のコンタクトレンズ(1日使い捨て含む)


クラスⅡのうち、厚生労働大臣が指定する「指定管理医療機器」は第三者認証機関(登録認証機関)での認証が必要です。認証が基本です。


クラスⅢの主な機器例


- 人工透析器(血液透析用)
- 整形外科用インプラント(非吸収性骨固定スクリュー等)
- 人工気道(長期留置型)
- 輸液ポンプ
- 硬膜外カテーテル


クラスⅢは国の承認が必要です。しかしクラスⅢの中でも「特定保守管理医療機器」に指定されているものは、保守管理に関してさらに厳格な記録義務が発生します。


クラスⅣの主な機器例


- ペースメーカー(埋め込み型)
- 植込み型除細動器(ICD)
- 冠動脈ステント
- 人工心臓弁
- 脳深部刺激装置(DBS)
- 人工内耳


クラスⅣは最も厳格な審査を受け、承認取得後も市販後調査(PMS)や副作用報告が義務付けられます。ペースメーカー1件の承認取得コストは数億円規模になることもあります。これは意外ですね。


厚生労働省:医療機器の承認・認証・届出制度の概要ページ


医療機器クラス分類の承認・認証・届出の違いと法的リスク

クラス分類を正しく理解することと、それに対応した手続きを選ぶことは別の問題です。多くのトラブルは「分類は知っていたが、手続きを間違えた」というケースから生まれます。


手続きは3種類に分かれます。


まず「届出」はクラスⅠに適用され、厚生労働大臣への届出のみで製造販売が可能です。ただし、前述のとおりQMS省令(製造管理・品質管理基準)は遵守が必要です。


次に「第三者認証」はクラスⅡの指定管理医療機器に適用されます。国が指定した登録認証機関(日本品質保証機構・JQA等)が審査を行います。国の審査が不要なぶん、承認より短期間で取得できる点がメリットです。


そして「国の承認」はクラスⅢ・Ⅳ、およびクラスⅡの一部(指定管理医療機器に該当しない機器や、高度管理医療機器に指定された一部のクラスⅡ機器)に適用されます。PMDAが審査を行い、厚生労働大臣が承認します。


間違えた場合の法的リスクは深刻です。


薬機法第23条の2の5に基づき、承認が必要な機器を無承認で製造販売した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)が科される可能性があります。罰金だけで終わりません。社名の公表・業務停止命令・回収措置と、実務上の損害は計り知れないレベルになります。


クラスⅡでも「承認」が必要なケースがある、という点は現場でしばしば見落とされます。具体的には、新規性が高くまだ指定管理医療機器に登録されていない機器や、高度管理医療機器として追加指定された機器がこれに該当します。法的リスクに注意すれば大丈夫です。


担当機器が「指定管理医療機器」に該当するかどうかは、厚生労働省告示の最新版を必ず確認することが条件です。


PMDA:医療機器の認証・承認申請の手順と必要書類一覧


医療機器クラス分類でよくある誤認と現場トラブル事例

実際の現場では、どのような誤認が起きているのでしょうか? 代表的なパターンを整理します。


誤認パターン①:「輸入品だから審査が免除される」


外国で承認された医療機器でも、日本での製造販売承認は別途必要です。これは基本です。CEマークやFDA認可を取得していても、日本では独自の承認申請が必要で、免除されるのは「外国製造業者認定」の一部手続きのみです。実際に2022年以降、海外製クラスⅢ機器を「外国承認があるため日本で届出のみ行えばよい」と誤解し、無承認販売状態となったケースが複数、PMDA報告事例に記録されています。


誤認パターン②:「クラスⅡだから認証で統一できる」


前述のとおり、クラスⅡ機器の中には国の承認が必要なものが含まれます。特に「高度管理医療機器」に分類されたクラスⅡ機器(一部のコンタクトレンズ、超音波診断装置の特定タイプ等)は、認証ではなく承認が必要です。担当者が製品ラインナップを一括して「クラスⅡだから認証」と処理してしまうことで、手続き漏れが起きるケースがあります。


誤認パターン③:「仕様変更しても同じ承認番号が使える」


医療機器の仕様変更(材質・構造・機能の変更)を行った場合、変更内容によっては一部変更承認申請が必要になります。軽微変更に該当するかどうかは、変更内容ごとに判断が必要です。これを怠ると、変更後の機器は承認を受けていない別製品として扱われるリスクがあります。


誤認パターン④:「ソフトウェアは医療機器に該当しない」


2014年の薬機法改正以降、単独プログラムも医療機器として規制対象になりました。診断支援AIや電子カルテの特定機能などが該当します。2023年時点でPMDAへのソフトウェア医療機器(SaMD)の申請件数は年間50件を超えており、この分野での誤認トラブルは増加傾向にあります。意外ですね。


現場でトラブルを避けるための具体的な行動として、PMDAの「医療機器一般的名称データベース(JMDN)」を使った分類確認を定期的に実施することが有効です。担当者が変わるタイミングでの引き継ぎチェックリストに「クラス分類と手続き区分の確認」を必ず加えることも、現場での損害防止につながります。


PMDA:医療機器一般的名称データベース(JMDN)検索ページ


医療機器クラス分類を現場で正確に確認するための実践的な手順

クラス分類を「確認するべきだ」と知っていても、実際の調査手順が曖昧なままでは現場での活用につながりません。ここでは、実務で使える確認フローを整理します。


ステップ1:一般的名称の特定


医療機器は「一般的名称」を軸に分類されています。製品名(商品名)ではなく、PMDAのJMDNデータベースに登録された一般的名称で検索することが出発点です。検索時は部分一致でも候補が表示されるため、まず使用目的・構造・材質をキーワードとして入力するのが効率的です。


ステップ2:クラス分類と管理区分の確認


JMDNで一般的名称が特定できたら、その名称に紐付く「クラス分類」「管理区分(高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器)」「指定管理医療機器の該当有無」を確認します。この3点セットが確認できれば、必要な行政手続きが決まります。


ステップ3:最新の告示・通知との照合


厚生労働省の告示は随時改正されます。年に複数回、指定管理医療機器リストの更新が行われているため、過去に確認した情報をそのまま使い続けることは危険です。厚労省の医療機器関連ページをブックマークし、少なくとも年に1回は更新内容を確認することを習慣化することが原則です。


ステップ4:不明点はPMDAまたは都道府県薬務担当窓口へ相談


分類が不明確な場合や、新規性の高い機器を扱う場合は、PMDAの相談窓口(薬事戦略相談)を活用することができます。事前相談制度を使えば、承認申請前に必要なデータ・試験の方向性を確認できます。相談は有料ですが、方向性のズレによる申請やり直しのコストを考えると、費用対効果は高いです。これは使えそうです。


クラス分類確認チェックリスト(実務用)


- ✅ 一般的名称をJMDNで特定した
- ✅ クラス分類(Ⅰ〜Ⅳ)を確認した
- ✅ 管理区分(一般・管理・高度管理)を確認した
- ✅ 指定管理医療機器に該当するか確認した
- ✅ 必要な手続き(届出・認証・承認)を特定した
- ✅ 最新の告示・通知との照合を行った
- ✅ 仕様変更がある場合は変更手続きの要否を確認した


このチェックリストを担当者間で共有し、年次レビューに組み込むことで、ヒューマンエラーによる法的リスクを大幅に下げることができます。担当者が変わっても判断がブレない仕組みづくりが条件です。


PMDA:薬事戦略相談(医療機器)の概要と申し込み方法




【医療機関使用モデル】パルスオキシメーター LUKLA2800m/PK(ピンク) 乳幼児・小児用プローブ付