すすぎを2回やっても、白衣の繊維には洗剤成分が10〜15%残ったまま肌に触れ続けています。
「すすぎ1回でOK」という洗剤の表示を見て、そのまま設定している方は少なくありません。しかし、「すすぎ1回OK」の洗剤は、あくまで特定の条件下での話であり、すべての状況に当てはまるわけではありません。
すすぎ回数と洗剤残留量の関係は、実際の数字で見るとかなり明確です。洗濯のすすぎを「2回」行っても、衣類の繊維に残る洗剤成分は全体の10〜15%とされています。これを「3回」に増やすと残留率は5%以下に下がるとされており、回数が洗浄効果に直結します。つまり、回数が少ないほど洗剤が繊維に残りやすいということです。
一般的に推奨されるすすぎ回数の目安は下記のようになっています。
| 洗剤の種類・状況 | 推奨すすぎ回数 | 理由 |
|---|---|---|
| 「すすぎ1回OK」の液体洗剤(通常の汚れ) | 1回 | 泡立ちが少なく泡切れが早い |
| 液体洗剤(柔軟剤を同時使用) | 2回以上 | 柔軟剤は最後のすすぎ水に投入されるため |
| 粉末洗剤 | 2回 | 泡立ちが強く、1回では落ちきらない |
| 汚れがひどいとき・洗剤を多く入れたとき | 2〜3回 | 洗剤と汚れの残留リスクが高い |
| 敏感肌・アトピー傾向のある人の衣類 | 3回 | 皮膚への刺激を最小限にするため |
| 白衣・スクラブ(医療従事者) | 2〜3回 | 毎日着用・感染リスクへの対応が必要 |
注目すべき点は、柔軟剤を使う場合です。柔軟剤は最終すすぎの水に自動投入される仕組みになっています。すすぎが1回だと、洗剤や汚れが残ったままの繊維の上に柔軟剤がコーティングされる状態になり、汚れの蓄積・黒ずみ・臭いの原因になります。柔軟剤使用時のすすぎは必ず2回以上が基本です。
洗濯専門家(洗濯王子として知られる中村祐一氏)によると、「すすぎは3回が基本」とされており、色が濃い衣類は2回、白や淡色で特に清潔さを重視したいものは4回に調整するのが理想とされています。
北ガスTagTag「洗濯機のすすぎとは?洗いとの違いやすすぎの適正回数も解説!」
「回数」だけでなく「すすぎ方の種類」も、洗剤の落ちに大きな差を生みます。意外ですね。
洗濯機のすすぎには主に2種類があります。「ためすすぎ」は洗濯槽に設定水位まで水をためて衣類を攪拌する方法で、節水効果が高いのが特徴です。一方「注水すすぎ」は、水を流し続けながらすすぐ方法で、常に新鮮な水が供給されるため洗剤をより多く落とせます。
では、どちらが優れているのでしょうか?
実は、同量の水を使った場合、ためすすぎの方が洗剤除去率は高いとされています。注水すすぎは水を垂れ流す分、水量が多くなる代わりに薄め方が少し非効率になる面があります。「注水すすぎ1回」と「ためすすぎ2回」を比べると、ためすすぎ2回の方が節水しつつ同等の洗浄効果が得られることが多いです。
それが条件です。同等の洗浄力を保ちながら節水するなら「ためすすぎ2回」が有効な選択肢になります。
また、洗濯機メーカーによっては「ナイアガラすすぎ」「滝すすぎ」「節水すすぎ」などの独自機能を搭載しているモデルもあります。いずれも設定方法は機種によって異なるため、取扱説明書での確認が必要です。
白衣やスクラブを自宅で洗う医療従事者の場合、節水も大切ですが、衛生面を優先するのであれば「注水すすぎ+ためすすぎの組み合わせで2回以上」または「ためすすぎ3回」が安心です。これが原則です。
| すすぎ方法 | 特徴 | 適した場面 |
|---|---|---|
| ためすすぎ | 水をためて攪拌。節水効果が高い | 日常の洗濯、軽い汚れ |
| 注水すすぎ | 水を流しながらすすぐ。洗剤除去力が高い | 汚れがひどいとき、白衣洗濯 |
| 節水すすぎ | ためすすぎより少ない水量で行う | 軽い日常洗濯での節水 |
医療従事者が日々着用する白衣やスクラブは、ただ「清潔に見える」だけでは不十分です。すすぎが足りない状態で着用を続けると、繊維に残った洗剤成分が汗で再溶出し、肌に直接触れ続けることになります。
残留した洗剤成分が皮膚に繰り返し触れると、赤み・チクチク感・かゆみ・ニキビ様のぶつぶつが出ることがあります。これは特に敏感肌や乾燥肌の方に顕著で、「なんとなく肌荒れが続く」という状態の原因になっていることがあります。医療の現場で頻繁に手洗いやアルコール消毒を行う方は、もともと肌のバリア機能が低下しやすい環境にあります。そこに洗剤残留が加わると、肌トラブルが起きやすくなります。
厳しいところですね。
また、すすぎ不足のユニフォームは「見た目は白く清潔に見えても、繊維の奥に蓄積汚れが進行している」という状態になりがちです。これが黄ばみや黒ずみの原因となり、白衣の寿命を縮める要因にもなります。医療の現場では白衣・スクラブの清潔感が患者への印象にも関わるため、「洗っているのに汚れが蓄積する」状態は避けたいところです。
皮膚科医の観点からも、肌荒れが気になる時期は無香料の洗剤に切り替え、すすぎを1回追加することで残留を減らし、肌への負担を下げることが推奨されています。
白衣やナース服を自宅で洗う場合は、菌やウイルスの感染を防ぐ観点から私物の衣類とは別に洗うことも重要です。洗濯前に酵素系漂白剤での漬け置き(40℃以下のお湯で30〜60分)を行うと、汚れが落ちやすくなり、その後のすすぎでの残留量も少なくなります。
0th clinic「洗濯洗剤・柔軟剤で肌が荒れる?原因と対処|皮膚科医が教える正しい洗濯方法」
白衣やスクラブを毎日洗う医療従事者にとって、「すすぎを増やすと水道代と時間がかかる」という現実的な問題があります。これは使えそうです。
まず水量の目安を整理します。一般的な全自動洗濯機(7kg)で「ためすすぎ1回」に使う水量はおよそ30〜40リットル程度です。これを「ためすすぎ2回」に増やすとプラス30〜40リットル、「3回」ではさらに増えます。月に20〜25回洗濯する場合、すすぎを1回増やすだけで月に約600〜1,000リットルの水を追加で使う計算になります。水道代に換算すると月100〜150円程度の増加であり、健康リスクや衣類の寿命と比べると非常に小さなコストです。
時間の面では、すすぎを1回増やすと洗濯時間が10〜15分程度伸びます。夜に洗濯機を回してタイマーを使う場合には、ほとんど影響がないと言えます。
効率よく清潔を保つための実践ポイントをまとめます。
「節水したいけれど清潔も保ちたい」という場合には、ためすすぎ2回の組み合わせが最も現実的です。注水すすぎに比べて水の使用量を抑えながら、洗剤除去の効果は維持できます。
また、ドラム式洗濯機を使っている方は、機種によっては「すすぎ1回」設定での泡残りが出やすい場合があります。メーカー推奨のすすぎ設定を確認しておくと安心です。
「なんとなく白衣が黄ばんできた」「洗っても臭いが取れない」という状態は、単なる汚れではなくすすぎ不足による蓄積汚れが原因のケースが少なくありません。これは意外ですね。
洗剤や柔軟剤の成分、皮脂や体臭の原因となるタンパク質汚れが繊維の奥に積み重なっていくと、通常の洗濯では落とせない「根深い汚れ層」が形成されます。この状態になると、どれだけすすぎを増やしても完全な除去は難しく、白衣本来の白さや機能性(防汚加工、吸湿性など)も低下していきます。
医療の現場で使う白衣・スクラブは「患者からの視覚的な清潔感への信頼」にも直結します。1枚の白衣を長く使い続けることよりも、蓄積汚れが進行した段階で早めに買い替えることが、衛生面・印象面ともに有利になることがあります。
以下の状態が続く場合は、すすぎ回数を見直すとともに、白衣の買い替えも検討する目安になります。
蓄積汚れを起こさないためには、日々の洗濯でのすすぎ回数の管理と、定期的な洗濯槽のクリーニングが欠かせません。洗濯槽自体に黒カビや柔軟剤の塊が蓄積すると、洗うたびに汚れが衣類に移ってしまうため、月1回程度の洗濯槽クリーナーの使用も習慣にすることをおすすめします。
結論はすすぎ不足の蓄積に早めに気づくことです。「洗濯しているのに白衣が汚れていく」という状況は、日常の洗い方を少し見直すだけで改善できる場合がほとんどです。
CLIUS「看護師の白衣やナース服は自分で洗う際の注意点は?理想の洗濯頻度や方法を解説」