ステロイド緑内障の最も危険な特徴は、初期段階で自覚症状がほぼ存在しないことです。患者が何も異常を感じないまま眼圧が上昇し、視神経が徐々にダメージを受けていきます。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1o05.pdf)
症状が現れる場合でも、充血、虹輪視、羞明、霧視、軽度の眼痛、頭痛といった非特異的なものに限られます。これらの症状は日常的な眼精疲労やドライアイと区別がつきにくく、患者自身が緑内障を疑うことは困難です。 takanohara-ch.or(https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/04/di201904.pdf)
進行すると視野欠損や視力低下が生じますが、この段階では既に視神経に不可逆的な障害が起きている可能性があります。特に幼児の場合は流涙、角膜混濁、角膜径拡大などの所見を認めることがあり、成人とは異なる症状パターンを示します。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1o05.pdf)
痛みはなく、視力も初期には低下しないため、日常生活への負担がないことが発見の遅れにつながります。つまり症状での早期発見は困難です。 ganka-doc(https://ganka-doc.com/glaucoma/steroid-glaucoma/)
ステロイド薬は房水の排出に関わる線維柱帯組織の働きを低下させます。房水は眼球内を循環する液体で、通常は前房隅角から眼外へ排出されますが、ステロイドの影響でこの流出が障害されると眼内に房水が蓄積します。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410901975)
その結果として眼圧が上昇し、視神経が圧迫されて緑内障性の視神経障害が進行します。病態としては原発性開放隅角緑内障と同様であり、隅角が開いているにもかかわらず房水流出抵抗が増加している状態です。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410907871)
発症機序の詳細は完全には解明されていませんが、ステロイドが線維柱帯の細胞外マトリックスの蓄積を促進し、房水流出路を物理的に狭めることが関与していると考えられています。通常は可逆性で、ステロイドの中止により眼圧は正常化します。 webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410907871)
しかし休薬が遅れると非可逆性の眼圧上昇となり、視神経障害が残存するリスクがあります。流出路の機能が完全に失われるということですね。 kashima-ganka(https://kashima-ganka.com/blog/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%A8%E7%9B%AE%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82)
ステロイドにより眼圧が上昇しやすい体質の人を「ステロイドレスポンダー」と呼びます。成人の約3分の1がこの体質に該当し、0.1%デキサメタゾン点眼薬の使用で眼圧が6mmHg以上上昇する人が29%、16mmHg以上上昇する人が5%存在するという報告があります。 ikec(https://www.ikec.jp/disease/ikec-glaucoma/types/disease08/)
小児では発症頻度がさらに高く、3~4割がステロイドレスポンダーとされています。若年ほどリスクが高いという年齢依存性があり、春季カタルなどで長期にステロイド点眼を使用した小児が、気づかないうちに末期緑内障に至った症例も報告されています。 ganka.gr(https://www.ganka.gr.jp/wp-content/uploads/2009/06/news08-02.pdf)
ステロイド緑内障のリスク因子として以下が知られています。
- 原発開放隅角緑内障の患者とその近親者
- 糖尿病患者
- 強度近視患者
- 膠原病患者
- 小児 katsuragi-ganka(https://katsuragi-ganka.com/kintetsu-ikoma/%E7%B6%9A%E7%99%BA%E7%B7%91%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89/)
緑内障患者では正常成人の5%に対し、さらに多くの割合で眼圧上昇が報告されています。この体質は遺伝的要因が関与していると考えられています。 katsuragi-ganka(https://katsuragi-ganka.com/kintetsu-ikoma/%E7%B6%9A%E7%99%BA%E7%B7%91%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89/)
ステロイド点眼の場合、眼圧上昇は数週間以内に起きることが多いです。強いステロイドを1日4回2週間続けると、2~3%の人では眼圧が上昇し始め、1ヶ月以内で眼圧が50mmHg(正常は10~20mmHg前後)に達することもあります。 avis.ne(http://www.avis.ne.jp/~hakuaith/sinbun123.html)
ステロイドレスポンダーの場合、強いステロイド点眼を1~2週間続けただけで眼圧が高くなることがあります。ただし、レスポンダーでなくても長期使用は眼圧上昇の危険があります。 ikec(https://www.ikec.jp/eye_disease/075/)
全身投与では投薬開始から発現までの期間が1週間~数年間と一定していません。内服薬、注射薬、皮膚に塗る外用薬を含むすべてのステロイド製剤で眼圧上昇のリスクがあります。 eye-itami(https://www.eye-itami.jp/index/blog-detail?id=877)
通常は投薬中止で眼圧は元に戻りますが、休薬せずに長期間続けると、たとえ休薬しても眼圧が戻らなくなります。早期対応が重要ということです。 kashima-ganka(https://kashima-ganka.com/blog/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%A8%E7%9B%AE%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82)
ステロイド点眼開始後2週間での眼圧検査が必須とされています。これは多くのステロイドレスポンダーで2週間以内に眼圧上昇が始まるためです。 avis.ne(http://www.avis.ne.jp/~hakuaith/sinbun123.html)
必要な検査項目は以下の通りです。
- 細隙灯顕微鏡検査:前眼部の炎症や角膜の状態を評価
- 眼圧検査:眼圧値の測定と経時的変化の追跡
- 隅角検査:房水流出路の開放度を確認
- 視野検査:視神経障害の程度を評価
- 眼底検査:視神経乳頭の形状変化を観察 gankaikai.or(https://www.gankaikai.or.jp/info/20250401_steroid.pdf)
強いステロイドほど、点眼回数が多いほど、継続期間が長いほど眼圧が上がりやすくなるため、使用状況に応じて検査頻度を調整します。アレルギー性結膜炎の重症度によってステロイドの種類と点眼回数を決定し、漫然とした長期高濃度ステロイド点眼の継続使用は避けるべきです。 gankaikai.or(https://www.gankaikai.or.jp/info/20190520_steroidv3.pdf)
副腎皮質ステロイド薬を使用している患者には定期的な眼科受診を勧めることが重要です。自覚症状に頼らず、定期検査で発見するのが原則です。 gankaikai.or(https://www.gankaikai.or.jp/info/20250401_steroid.pdf)