特に看護師や医師など、1日に何十回も手洗いと消毒を繰り返す職種での発症が目立ちます。 手洗い・消毒の頻度が増すほど、皮膚を守る「バリア機能」が削られていきます。
参考)https://iwakura-kibo-clinic.com/teare/
手湿疹は単なる乾燥にとどまらず、放置すると赤み・ひび割れ・小水疱・かゆみへと進行します。 症状が軽いうちは気づかないことも多い。
参考)https://hc.mochida.co.jp/skincare/basic/basic5.html
一生のうちに約15%の人が手湿疹を経験すると言われており、医療現場では決して「対岸の火事」ではありません。 「自分は大丈夫」という油断が症状悪化を招きます。
歯科医療従事者に絞った調査では、手湿疹の有病率が36.2%という報告もあります。 職種を問わず、手を多く使う医療従事者全員に関係する問題です。
参考)https://www.carenet.com/news/general/carenet/42627
皮膚は「内臓の鏡」とも呼ばれます。 手のひらの乾燥が実は糖尿病・腎疾患・肝疾患の初期サインである場合があり、これを見落とすと診断が大幅に遅れます。
参考)https://kyoto-derma.org/hifudis/831/
糖尿病患者の30〜70%が何らかの皮膚トラブルを抱えると報告されており、そのなかでも皮膚の乾燥は代表的な症状です。 高血糖状態が続くと、体内の水分が尿として排出される多尿が起き、皮膚が乾燥しやすくなります。
さらに、糖尿病神経障害(自律神経障害)により発汗が低下すると、皮膚の水分保持力が大きく損なわれます。 この発汗低下は自覚しにくい。
参考)https://www.club-dm.jp/novocare_all_in/concierge/concierge4.html
重要なのは、糖尿病神経障害は網膜症・腎症よりも早期から発症することが多く、皮膚乾燥が糖尿病の最初の身体サインになりうる点です。 つまり「手が乾燥するだけ」という自己判断は危険です。
参考)https://www.club-dm.jp/novocare_all_in/concierge/concierge4.html
腎不全の患者には皮膚のかゆみや乾燥が見られることがあり、体内の毒素が適切に排出されないことが原因とされています。 肝機能が低下した場合も、手掌紅斑など皮膚症状が現れることがあります。
参考)https://kyoto-derma.org/hifudis/831/
医療従事者として患者の皮膚を観察するときと同じ目線で、自分自身の手のひらの変化も評価することが大切です。
| 疾患 | 手のひら・皮膚に現れる主なサイン | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 糖尿病 | 乾燥・かゆみ・傷の治りが遅い | 神経障害が早期から起こる |
| 腎疾患(腎不全) | かゆみ・乾燥・皮膚の変色 | 毒素排出不全による |
| 肝疾患 | 黄疸・手掌紅斑・くも状血管腫 | 肝機能低下の指標 |
| 膠原病(強皮症など) | 皮膚の硬化・乾燥・変色 | 自己免疫疾患のサイン |
| 内臓悪性腫瘍 | 腫瘍随伴皮膚症状 | 早期診断の手がかりになる |
参考:皮膚に現れる内臓疾患のサインについて(京都皮膚科医会)
https://kyoto-derma.org/hifudis/831/
手湿疹にはいくつかの種類があり、それぞれ原因も見た目も異なります。 正確に見極めることが、適切な対処への近道です。
参考)https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/eczemaknowledge/handeczema/
主な分類は以下のとおりです。
参考)https://ebinahifu.com/adult/case_hand_eczema/
参考)https://www.maruho.co.jp/kanja/dryskin/rough-hand/
慢性刺激性接触皮膚炎では小水疱は伴わず、乾燥と亀裂が主体です。 一方、アレルギー性の場合は急性炎症をともなうことが多い。
参考)https://ebinahifu.com/adult/case_hand_eczema/
進行性指掌角皮症は、主に利き手の親指・人差し指から始まり、放置するとすべての指・手のひら全体に広がります。 「指紋がなくなる」という状態まで進行すると日常生活にも支障が出ます。
参考)https://www.maruho.co.jp/kanja/dryskin/rough-hand/
これが基本です。病名を把握することで、患者への説明にも活かせます。
参考:手湿疹の種類・症状・治療(丸帆コーポレーション)
https://hc.mochida.co.jp/skincare/basic/basic5.html
手湿疹・手のひら乾燥の治療において、保湿は治療の柱です。 ただし、保湿剤の種類を間違えると効果が出ないばかりか、症状が悪化することもあります。
参考)https://tokyoderm.com/list/5/5.htm
保湿剤には大きく3種類あります。
参考)https://www.kenei-pharm.com/healmild/use/
保湿剤は1日3回(手洗いのたびと就寝前)を目安に塗るのが基本です。 症状が落ち着いた後も継続が大切です。
参考)https://tokyoderm.com/list/5/5.htm
糖尿病のある方は症状が治まっても保湿をやめないことが特に重要で、乾燥が再発すると感染リスクが高まります。 これは患者指導にも直結する知識です。
参考)https://www.club-dm.jp/novocare_all_in/concierge/concierge4.html
強くすりこむと刺激になるため、指先や手のひらを使って「置くように塗る」のが正しい塗り方です。 丁寧なケアが条件です。
参考)https://www.kenei-pharm.com/healmild/use/
医療現場では「手袋をすれば皮膚を守れる」という認識が広まっています。しかし、ラテックス手袋はそれ自体がアレルゲンとなり、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす原因になる場合があります。 手袋の素材選びは重要です。
参考)https://nakano-ekimae-clinic.jp/dermatology/hand_eczema/
現在は、ラテックスアレルギーのリスクを避けるためにニトリル手袋が推奨されています。 ラテックスに比べてアレルゲン性が低く、フィット感も優れています。
参考)https://nakano-ekimae-clinic.jp/dermatology/hand_eczema/
消毒剤についても注意が必要です。エタノール系消毒剤は脱脂力が強く、頻繁に使用することで皮脂膜を破壊し、乾燥・ひび割れを加速します。 消毒後は必ず保湿をセットで行う流れが鉄則です。
参考)https://tokyoderm.com/list/5/5.htm
水仕事で温水を使う場合は、35度以下の温度が目安とされています。 熱いお湯は皮脂を大量に奪います。
参考)https://mediplus-orders.jp/media/115backofthehand_dry/
手のひら乾燥が改善しない場合や、症状が悪化する場合は単なる手荒れでない可能性があります。 糖尿病などの内臓疾患との鑑別を含め、早めに皮膚科または内科を受診することが大切です。
参考)https://goodlifeclinic.co.jp/post-3589/
参考:医療従事者の手湿疹有病率(Medical Tribune)
参考:糖尿病が引き起こす皮膚症状(グッドライフクリニック)
https://goodlifeclinic.co.jp/post-3589/