ユーパスタコーワ軟膏販売中止後の代替品と対応策

ユーパスタコーワ軟膏の販売中止に伴い、テイカ製薬のユーパスタ軟膏への移管や後発品の選択肢はどう変わったのか?医療従事者が知っておくべき対応策とは?

ユーパスタコーワ軟膏販売中止の経緯と代替品・対応策

「ユーパスタコーワ軟膏」と記載した処方箋を出し続けると、薬局で保険算定エラーになり患者さんに迷惑がかかります。


この記事の3ポイント要約
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販売移管+名称変更

ユーパスタコーワ軟膏は2024年4月1日付で興和からテイカ製薬へ製造販売承認が承継され、品名が「ユーパスタ軟膏」に変更されました。経過措置期間は2025年3月31日までで、同年4月に薬価削除済みです。

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GS1コード・薬価コードが全規格で変更

処方・調剤システムへの登録コードがすべて変わっています。旧コードのままの運用はレセプト査定リスクに直結するため、早期にマスタ更新が必要です。

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後発品・同効薬が複数あり選択肢は豊富

スクロードパスタ(9.7円/g)・ネオヨジンシュガーパスタ軟膏(7.5円/g)など後発品が存在します。また2024年10月からユーパスタ軟膏自体が長期収載品選定療養の対象となり、患者負担への影響も確認が必要です。


ユーパスタコーワ軟膏が販売中止になった理由と移管の経緯

ユーパスタコーワ軟膏は、興和株式会社が長年製造販売してきた褥瘡・皮膚潰瘍治療剤です。2024年1月17日、同社は突如「他社製品の供給問題による需要増」を理由に<strong>限定出荷の開始を発表しました。わずか9日後の1月26日には、製造販売承認をテイカ製薬株式会社(富山市)へ承継する正式通知が出され、医療現場に大きな混乱をもたらしました。


移管の背景には、当時の後発品(ジェネリック医薬品)供給不安の連鎖があります。他社後発品の出荷停止や限定出荷が相次いだことで、ユーパスタコーワ軟膏への需要が急増し、安定供給に支障が生じたと興和は説明しています。つまり単純な「廃番」ではなく、製品そのものはテイカ製薬に引き継がれ、販売名だけが変わった形です。


移管スケジュールのまとめは以下の通りです。











時期 内容
2024年1月17日 興和が限定出荷を発表
2024年1月26日 テイカ製薬への製造販売承認承継・販売移管を発表
2024年4月1日 承継日・移管日(テイカ製薬より「ユーパスタ軟膏」として発売)
2024年4月中旬 「ユーパスタ軟膏」の薬価収載(保険適用開始)
2025年3月31日 旧名「ユーパスタコーワ軟膏」の経過措置期間満了
2025年4月 「ユーパスタコーワ軟膏」の薬価削除


経過措置期間中は「ユーパスタコーワ軟膏」の名称でも保険調剤が可能でしたが、2025年4月をもってその名称での薬価が削除されています。つまり今後は「ユーパスタ軟膏(テイカ製薬)」として処方・調剤することが原則です。


なお、流通在庫の関係上、2024年4月以降もしばらく興和名義の旧パッケージが市場に残っていましたが、内容物(有効成分・製剤設計)はまったく同一です。これが「販売中止」という言葉で混乱を招いた一因でもあります。


興和株式会社 公式:ユーパスタコーワ軟膏の製造販売承認承継および販売移管について(PDF)


ユーパスタコーワ軟膏販売中止後のGS1コード変更と処方・調剤システム対応

見落としがちな落とし穴がここにあります。テイカ製薬は「包装形態・デザインは旧製品を踏襲する」と明記しています。外見がほぼそのままのため、コードが変わったことに気づきにくいのです。


具体的には、販売名・製造販売元・GS1コード(バーコード)の3点がすべての包装規格で変更されています。ボトル100g・ボトル500g・チューブ30g×10・チューブ100g・チューブ100g×10の全5規格において、統一商品コード・販売包装単位コード・調剤包装単位コードが新たに割り当てられました。


旧コードのまま薬局システムや電子カルテのマスタが更新されていない場合、以下のリスクが発生します。



  • 📌 保険請求でのレセプト査定:薬価削除後の旧コードで算定すると返戻・減点の対象になります。

  • 📌 在庫管理の混乱:バーコードスキャンで製品認識ができず、誤って二重発注・在庫過多になるケースがあります。

  • 📌 医薬品追跡(GS1活用)の不整合:病院・薬局での医薬品トレーサビリティ管理に誤りが生じます。


システム更新が必要です。薬局・院内薬剤部では、取引先卸担当者またはテイカ製薬営業部(TEL:076-431-1717)に問い合わせて、新GS1コードへの切り替えを確認することをお勧めします。


また、承継日(2024年4月1日)翌日からテイカ製薬からの出荷は可能でしたが、「ユーパスタ軟膏」として薬価収載(官報告示)された翌日からでないと保険適用されなかった点にも注意が必要でした。この数日間のタイムラグを見落とし、保険請求上のトラブルが発生したケースもあったとされています。


テイカ製薬 公式:ユーパスタ軟膏 製造販売承認承継品 発売のご案内(PDF)


ユーパスタコーワ軟膏の有効成分と褥瘡・皮膚潰瘍への作用機序

ユーパスタコーワ軟膏(現:ユーパスタ軟膏)の有効成分は、100g中に精製白糖70.0gとポビドンヨード3.0gを含む外用軟膏です。水溶性基剤に属します。


この製剤が興味深いのは、もともとは院内製剤として現場の薬剤師が手作りしていたという歴史です。1981年にKnutsonらが創傷に対する有効性を報告して以来、製剤的に安定した市販品が求められ、商品化されました。院内調製のレシピは今も活用されており、たとえばイソジンゲル90g・白糖(局方品)200g・単シロップ(局方品)60gを練合する方法が知られています。ただし、製菓用粉糖には2〜5%のデンプンが混入しており、有効ヨウ素量が低値になるため、必ず局方品の白糖を使用しなければなりません。


作用機序は2つの成分が役割分担しています。



  • 🧪 精製白糖:局所の浸透圧を高めて浮腫を軽減し、線維芽細胞の遊走を促進することで肉芽形成・表皮再生を後押しします。

  • 🧪 ポビドンヨード:広域スペクトルの殺菌作用で創部の細菌を除去し、感染を抑制します。


両者の相乗効果により、臨床試験では褥瘡患者327例中66.1%(216例)で有効以上の評価が得られています。褥瘡面積の50%以上縮小が確認されたのは59.1%(192例)、肉芽形成改善率は73.4%、表皮形成改善率は70.0%という数字が示されています。


用法は1日1〜2回、潰瘍面を清拭後にガーゼにのばして貼付するか、患部に直接塗布してガーゼで保護します。ただし、本剤はあくまで保存的治療であり、症状改善傾向がみられない場合は外科的療法の検討が必要です。


KEGG Medicus:医療用医薬品「ユーパスタ」 作用機序・臨床成績の詳細


ユーパスタコーワ軟膏販売中止後の代替品・後発品の選択肢と薬価比較

代替品の選択に迷っている医療従事者は少なくありません。整理しましょう。


現在、精製白糖・ポビドンヨード配合軟膏(薬効分類2699)として保険適用されている主な製品は以下の通りです。












販売名 製造販売元 先発・後発 薬価(/g)
ユーパスタ軟膏 テイカ製薬 先発品 11.40円
ソアナース軟膏 テイカ製薬 先発品 12.40円
スクロードパスタ 日興製薬/丸石製薬 後発品 9.70円
ネグミンシュガー軟膏 ヴィアトリス製薬 後発品 7.50円
ネオヨジンシュガーパスタ軟膏 岩城製薬 後発品 7.50円
ポビシュガーパスタ軟膏 健栄製薬 後発品 7.50円
ポビドリンパスタ軟膏 各社 後発品 7.50円


この数字が示すことは明確です。後発品の最低薬価(7.50円/g)と先発品のユーパスタ軟膏(11.40円/g)の差は1gあたり約3.9円です。たとえば一度に500g処方した場合、先発品と後発品の薬剤費の差は約1,950円になります。これが患者自己負担(3割)ベースで見ると約585円の差です。


なお、2025年12月にはイソジンシュガーパスタ軟膏(塩野義製薬)の販売中止も発表されました(出荷終了予定:2026年5月)。代替品として健栄製薬の「ポビシュガーパスタ軟膏」が2026年2月20日に販売開始されており、同一製剤で有効性・安全性に変わりはないとされています。


このように、同一成分系統の製品でも各社の事情で供給状況が変化し続けています。医薬品供給状況データベース(DSJP:https://drugshortage.jp/)を定期的にチェックして、代替品確保の準備を怠らないことが重要です。


データインデックス:ユーパスタコーワ軟膏の先発品・後発品(ジェネリック)一覧


ユーパスタ軟膏の長期収載品選定療養と患者説明・処方対応の実務ポイント

医療従事者にとってもっとも見落とされやすい変化がここにあります。2024年10月1日より開始された長期収載品の選定療養制度において、テイカ製薬の「ユーパスタ軟膏」が対象医薬品に追加されました(9月24日付 厚生労働省事務連絡)。


これが原則です。後発医薬品が存在する先発品を、医療上の必要性なく患者が希望して選択した場合、後発品最高価格との差額の4分の1が患者の自己負担(選定療養費)として上乗せされます。


具体的に計算してみましょう。ユーパスタ軟膏(先発)の薬価は11.40円/g、後発品最高価格(スクロードパスタ)は9.70円/gです。差額は1gあたり1.70円です。この4分の1は約0.43円/gとなります。100gチューブで処方した場合、選定療養費は約43円が追加となります。


これは小さい金額に見えますが、長期療養患者では毎回の処方ごとに積み重なります。在宅患者や褥瘡を抱えた長期入院患者が処方の対象であるケースが多い本剤では、事前の患者説明が必要です。


実務で押さえておくべきポイントをまとめます。



  • 処方箋への記載名称:現在は「ユーパスタ軟膏」として処方するのが正しい形です。旧名称「ユーパスタコーワ軟膏」は薬価削除済みのため、保険請求できません。

  • 後発品への変更可否の確認:後発品変更不可の指示がない限り、薬局での後発品調剤が可能です。変更不可の場合は、その医療上の必要性を記録に残すことが推奨されます。

  • 患者への説明タイミング:選定療養は患者の希望が前提です。「後発品でよいか」を事前に確認し、同意を得た上で処方・調剤するフローを院内・薬局内で統一しておきましょう。

  • 院外処方箋の記載漏れチェック:旧品名のままの処方箋テンプレートが電子カルテに残っていないか、定期的に確認が必要です。


これは使えそうです。2024年10月以降に処方履歴がある施設では、レセプト点検の際に選定療養費の取り扱いが正しかったかを振り返ることも推奨されます。


なお、「医療上の必要性」として先発品を処方せざるを得ない根拠がある場合(例:後発品で過去に有害反応が生じた、後発品が入手困難など)は、選定療養の適用外となります。その場合は処方箋の「変更不可」欄に医師の署名と理由の付記が必要です。


GemMed(医療法人グローバルヘルスコンサルティング):ユーパスタ軟膏と長期収載品選定療養制度の解説