βカロテンのサプリを飲み続けると、喫煙者の肺がんリスクが18%も上昇します。
抗酸化食品を正確に理解するためには、まず「酸化ストレス」の仕組みを押さえる必要があります。人間が呼吸をするだけで体内には活性酸素が発生し、細胞レベルでのダメージが蓄積されていきます。これはナビタスクリニック川崎医師の谷本哲也氏が「呼吸するだけでも活性酸素が発生し、体の酸化が進んでいる」と説明する通りです。
活性酸素そのものは免疫機能の一部として必要な物質でもありますが、過剰に産生されると「酸化ストレス」状態を引き起こします。この状態が続くと、動脈硬化、免疫力の低下、がんなど多くの慢性疾患のリスクを高めると考えられています。つまり大切なのは過剰な活性酸素を中和することです。
抗酸化食品に含まれる主な栄養素・成分は以下の通りです。
| 成分カテゴリ | 代表的な物質 | 主な食品源 |
|---|---|---|
| 抗酸化ビタミン | ビタミンA・C・E | 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 |
| カロテノイド | βカロテン、アスタキサンチン、リコピン | 鮭、トマト、にんじん |
| ポリフェノール | アントシアニン、イソフラボン、クロロゲン酸 | ブルーベリー、大豆、梅干し |
| 硫黄化合物 | スルフォラファン、アホエン | ブロッコリー、にんにく |
| 特殊アミノ酸 | エルゴチオネイン | たもぎたけ |
これらは単独でなく、互いに連携して働きます。たとえばビタミンEが活性酸素と反応して消耗された後、ビタミンCがビタミンEを再生・還元するという協調関係が知られています。つまり「組み合わせ」が基本です。
健康長寿のためには、抗酸化作用が期待できる食品を組み合わせた食事が最も有効であるというのが、現在の科学的コンセンサスです。単一成分を大量摂取するよりも、多様な食品から多種類の抗酸化物質を摂るほうが体への恩恵が大きいとされています。
厚生労働省eJIM(医療関係者向け):抗酸化物質の研究エビデンスと安全性に関する詳細情報
食と健康の専門家20人が「体のさびを取る最強食品」を選んで集計した結果、1位に選ばれたのは断然「鮭(サーモン)」でした。2位のかぼちゃに対してダブルスコアとなる34ポイントを獲得しています。
鮭がこれほど高い評価を得た理由は、含まれる「アスタキサンチン」という色素成分にあります。アスタキサンチンの抗酸化力は非常に強力で、ビタミンAの5倍・コエンザイムQ10の800倍・ビタミンEの1000倍・ビタミンCの6000倍という数値が報告されています。
ランキング上位の食品を一覧で確認してみましょう。
赤パプリカはトマト比約2倍、赤ピーマン比約2倍のビタミンCを含んでいます。加熱しても成分が失われにくいため、調理の幅が広がる利点があります。意外ですね。
また、注目すべき食材として「たもぎたけ」があります。含有する「エルゴチオネイン」というアミノ酸の抗酸化力は、なんとビタミンEの7000倍とも言われています。認知機能低下の予防効果も報告されており、医療現場での患者指導に取り入れる価値があります。
週刊ポストSeven:食と健康の専門家20人が判定した抗酸化食品ランキング詳細(鮭が1位の理由と各食材の解説)
抗酸化食品の中でも特に研究が進んでいる成分が「アスタキサンチン」と「スルフォラファン」です。それぞれの特徴と臨床的な意義を理解しておくことは、患者への食事指導において大きな武器になります。
アスタキサンチンの特性
鮭の身が鮮やかなオレンジ色をしているのは、天然色素「カロテノイド」の一種であるアスタキサンチンによるものです。この成分は、毒性の強い「一重項酸素」と呼ばれる活性酸素に対して、βカロテンの約40倍、ビタミンEの約550倍もの抗酸化力があるとされています(富士フイルム研究データより)。
アスタキサンチンは脂溶性であるため、朝食として摂る際に油とともに食べることで吸収率が高まります。胆汁酸が朝に分泌されやすい性質を利用するためです。鮭のムニエルや鮭フライは、実は理にかなった食べ方だということです。これは使えそうです。
スルフォラファンの特性
ブロッコリースプラウトに豊富に含まれるスルフォラファンは、抗酸化作用に加えて、体内の解毒酵素を活性化する働きを持ちます。東京大学や金沢大学の研究においても、がんや糖尿病・肥満のリスク低減への関与が示されています。
ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽にあたり、βカロテンやスルフォラファンの含有量は成熟した株よりも豊富です。ただし、スルフォラファンは熱に弱い性質があります。生のまま、またはさっと加熱する程度にとどめることが有効摂取のポイントです。
さらに量子科学技術研究開発機構(QST)の研究では、スルフォラファンに放射線増感作用があることも確認されています。がん治療の補助的役割としての可能性が注目されており、今後の臨床展開が期待されます。
量子科学技術研究開発機構(QST):スルフォラファンに放射線増感作用があることを発見(がん治療との併用療法の可能性)
どれだけ優れた抗酸化食品を選んでも、調理の仕方によって栄養素の吸収率は大きく変わります。正しい調理法の知識は、患者への栄養指導の質を高める上でも重要です。
脂溶性成分は油と一緒に
βカロテン・リコピン・アスタキサンチンなどのカロテノイドは脂溶性です。油と組み合わせることで腸管での吸収率が顕著に向上します。
水溶性成分は加熱・水に注意
ビタミンCは水溶性かつ熱に弱い栄養素です。ゆで加熱や長時間の煮込みでは、ゆで汁に溶け出してしまいます。電子レンジによる加熱や蒸し調理は、ビタミンC流出を抑える有効な調理法として知られています。いちごやキウイは生食が最も効率的な摂取方法です。
ビタミンCとEの相乗効果
ビタミンEが活性酸素を消去した後に不活性化すると、ビタミンCがビタミンEを再生・還元します。つまり両者を一緒に摂ることで、抗酸化の連鎖が長続きします。かぼちゃ(ビタミンA・C・E含有)が専門家に高く評価された理由がここにあります。
避けるべき組み合わせ
ある研究では、ビタミンE・ビタミンC・セレン・βカロテンを同時に大量補給すると、スタチンとニコチン酸の組み合わせによるコレステロール低下作用を減弱させる可能性が報告されています。サプリメントを複数服用している患者では、相互作用の確認が必要です。
ミンテンテック:食品の抗酸化作用を失わない調理法(電子レンジ vs ゆで加熱の比較データ)
抗酸化サプリメントは「体に良いはず」という印象が広く根付いています。しかし米国予防サービス専門委員会(USPSTF)が2022年に出した勧告は、医療従事者として見逃せない内容です。
UPSTFは9万例以上を対象とした研究データに基づき、がん予防・心血管疾患予防目的でのβカロテンおよびビタミンEサプリメント使用を推奨しないと明確に勧告しています。さらに重要なのは、βカロテンサプリが一定条件下でリスクを高める可能性が示された点です。
βカロテンサプリと肺がんリスク
フィンランドで行われたATBCスタディ(喫煙者対象)では、βカロテン(20mg/日)を投与したグループの肺がん罹患率が、プラセボ群と比較して18%も高くなりました。さらに死亡率も上昇したことが確認されています。喫煙者がβカロテンを1日20~30mg摂取すると、肺がんリスクが20〜30%増加するとする研究もあります。
これだけでも驚きですね。
なぜ「食品」と「サプリ」は違うのか
同じ成分なのに、なぜ食品とサプリで結果が異なるのでしょうか?考えられる理由は以下の通りです。
2017年の200万例超を含む95件の観察研究レビューでは、「野菜・果物を多く食べる人ほど心血管疾患とがんのリスクが低い」というエビデンスが示されています。ところが抗酸化サプリではこの効果が再現されないのです。つまり食品を食べることが条件です。
また、金沢大学の研究グループは2022年に「抗酸化ホルモンが過剰に働くと基礎代謝の低下につながる可能性」を発見しています。同ホルモンは2型糖尿病患者で高値を示す傾向があり、過剰な抗酸化サプリの常用が糖尿病・肥満症のリスクにつながる可能性も示唆されています。
患者がサプリメントを自己判断で服用している場合、医療従事者として服用内容の確認・情報共有が不可欠です。厚生労働省のデータによれば、病者がサプリを服用していても医療関係者に伝えないケースが多く報告されています。問診時の聞き取り項目に「サプリメント・健康食品の使用有無」を加えることが、医療安全上の重要事項といえます。
厚生労働省eJIM(医療関係者向け):抗酸化サプリメントの安全性・がん予防・心血管疾患予防への効果に関するエビデンス総括

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