ノベルジンのジェネリック薬価と後発品切り替えの全知識

ノベルジンのジェネリック(酢酸亜鉛後発品)の薬価差や種類、切り替え時の注意点を医療従事者向けに詳しく解説。選定療養・AGの特徴も含め、知らないと損する情報を網羅しました。

ノベルジンのジェネリック薬価と後発品への切り替えで知るべきこと

ノベルジンの先発品を処方し続けると、患者さんが毎月数千円の「余分な自己負担」を払い続けることになります。


📋 この記事の3つのポイント
💊
薬価差は最大56%以上

ノベルジン錠25mg(201.1円)に対し、後発品(酢酸亜鉛錠25mg「サワイ」等)は88.6円と、先発品の約44%の薬価。錠剤・顆粒ともにジェネリックが揃っている。

⚠️
適応によって用法が異なる点に注意

ウィルソン病は「食間(食前1時間以上または食後2時間以上)」、低亜鉛血症は「食後」と用法が異なる。後発品に切り替えても、この違いはそのまま引き継がれる。

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選定療養制度で患者負担が変わる

2024年10月から長期収載品(先発品)を患者希望で継続する場合、後発品との差額の1/4が追加自己負担となる。ノベルジン錠25mgでは1錠あたり最大28円の追加負担が生じる計算。


ノベルジンのジェネリック(酢酸亜鉛後発品)の種類と薬価一覧


ノベルジン(一般名:酢酸亜鉛水和物)は、ノーベルファーマが製造・販売するウィルソン病(肝レンズ核変性症)および低亜鉛血症の治療薬です。2023年以降、複数の後発品が相次いで登場し、医療現場での選択肢が大きく広がりました。


現在、薬価収載されている酢酸亜鉛水和物製剤を以下の表にまとめます。

















































































販売名 規格 薬価 区分 メーカー
ノベルジン錠25mg 25mg1錠 201.1円 先発品 ノーベルファーマ
ノベルジン錠50mg 50mg1錠 321.6円 先発品 ノーベルファーマ
ノベルジン顆粒5% 5%1g 402.2円 先発品 ノーベルファーマ
酢酸亜鉛錠25mg「ノーベル」 25mg1錠 88.6円 後発品(AG) ダイト
酢酸亜鉛錠50mg「ノーベル」 50mg1錠 137.7円 後発品(AG) ダイト
酢酸亜鉛錠25mg「サワイ」 25mg1錠 88.6円 後発品(加算対象) 沢井製薬
酢酸亜鉛錠50mg「サワイ」 50mg1錠 137.7円 後発品(加算対象) 沢井製薬
酢酸亜鉛錠25mg「ケミファ」 25mg1錠 88.6円 後発品(加算対象) 富士化学工業
酢酸亜鉛錠50mg「ケミファ」 50mg1錠 137.7円 後発品(加算対象) 富士化学工業
酢酸亜鉛顆粒5%「サワイ」 5%1g 188.8円 後発品(加算対象) 沢井製薬


※2025年4月改定時点の薬価です。2026年4月以降は更新されますので、随時確認してください。


錠剤の25mg規格で比べると、先発品201.1円に対して後発品は88.6円。これは価格差112.5円、先発品比で約56%オフという大きな差になります。先発品が1カ月分(1日3回×30日=90錠)処方された場合、先発品の薬剤費だけで約18,099円、後発品なら約7,974円。差額は月に約10,000円を超えます。


これが原則です。後発品への切り替えによって、患者さんにとって非常に大きな経済的メリットが生まれることを、まず押さえておきましょう。


後発品の種類が増えた背景には、沢井製薬が2023年2月に後発品承認を取得し、同年8月に販売を開始したことが大きく影響しています。ただし、ノーベルファーマは沢井製薬に対して特許侵害訴訟を提起(2023年4月)しましたが、2024年9月に東京地裁は請求を棄却。現在も複数社の後発品が市場に流通しています。


日経メディカル処方薬事典|酢酸亜鉛水和物錠の薬価一覧(先発品・後発品の比較)


ノベルジンのジェネリックにおけるAG(オーソライズドジェネリック)とは何か

後発品の中でも特に注目すべきなのが、AG(オーソライズド・ジェネリック)に分類される「酢酸亜鉛錠「ノーベル」」(ダイト製造)です。AGとは少し特殊な存在です。


通常のジェネリック医薬品は、先発品の特許が切れた後に有効成分だけを同じにして製造されます。一方、AGは先発品メーカーから製造・販売の許諾を得て作られるため、原薬・添加剤の処方・製造方法・製造場所がすべて先発品と同一です。つまり「中身が先発品と同じジェネリック」と言えます。


酢酸亜鉛錠「ノーベル」は、ノーベルファーマが製造・販売するノベルジン錠のAGとして、ダイトが承認申請・販売しています。2023年12月にウィルソン病・低亜鉛血症の両適応で承認を受け、翌2024年より市場に登場しました。


AGは通常のジェネリックと薬価は同じですが、医療関係者や患者さんから「先発品と全く同じものか」という品質面の不安を受けにくい点が特徴です。これは使えそうです。ウィルソン病のような難病患者に対して後発品への切り替えを提案する際にも、AGであることを説明することで患者さんの不安軽減につながります。


なお、AGは薬価算定においては通常の後発品と同様に扱われ、後発医薬品調剤体制加算の加算対象となります。ただし、顆粒製剤については「酢酸亜鉛顆粒5%「ノーベル」」がAGとして存在し、こちらも薬価は188.8円と先発品(402.2円)の約47%にとどまります。


RareS.(レアズ)|酢酸亜鉛顆粒5%「ノーベル」の承認情報とAGの詳細解説


ノベルジンのジェネリック薬価と選定療養制度の関係──患者負担はどう変わるか

2024年10月から施行された「長期収載品の選定療養」制度は、ノベルジンを処方している医療従事者が必ず理解しておくべき仕組みです。


長期収載品(後発品のある先発品)を患者さんの希望で継続使用する場合、先発品と後発品の薬価差の4分の1を、通常の保険自己負担とは別に特別の料金として患者さんが支払う必要があります。これが選定療養の仕組みです。


具体的に計算してみます。ノベルジン錠25mgの先発品薬価は201.1円、後発品は88.6円です。差額は112.5円。この4分の1は約28円となります。1日3回服用(90錠/月)の場合、選定療養費だけで月に約2,520円の追加負担が生じます。年間では約30,240円にのぼります。意外ですね。


ただし、この制度には除外規定があります。「医師が医療上必要と判断して先発品を指定した場合」「変更不可の処方箋を発行した場合」「学会ガイドラインで先発品使用が推奨されている場合」などは、選定療養費の対象外となります。ウィルソン病のような希少難病の場合は、主治医の判断が重要です。


一方で、患者さんが後発品への切り替えを受け入れた場合は選定療養費はかかりません。「後発品に変更することで年間3万円以上の節約になる」という視点を患者さんへの情報提供に活かすことで、スムーズな同意につながります。後発品への切り替えが患者の実質的な利益になると伝えることが条件です。


厚生労働省|後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について


ノベルジンのジェネリックへの切り替えで注意すべき用法の違い

後発品への切り替えで最も見落とされやすいのが、適応症によって用法が異なる点です。後発品であっても先発品と用法・用量は同一のため、この違いを把握していないと指導ミスにつながります。


ノベルジンおよびその後発品の用法は以下のとおりです。



  • 🔴 <strong>ウィルソン病の場合:食間(食前1時間以上、または食後2時間以上あけて)服用。亜鉛の吸収率を最大化するため、食物による吸収阻害を徹底的に避けることが目的です。

  • 🟢 低亜鉛血症の場合:食後服用。消化器系副作用(嘔気・嘔吐など)のリスクを軽減するために、食後投与が設定されています。


同じ薬・同じ後発品でも、患者さんの病名によって指導内容が180度異なる点は非常に重要です。用法の確認が基本です。


例えば、ウィルソン病で入院していた患者さんが退院後に低亜鉛血症と診断された親族とともに服用時間を共有してしまうと、治療効果に大きな差が出ることになります。後発品に切り替えるタイミングで服薬指導を改めて行う機会と捉えることが賢明です。


また、低亜鉛血症においては投与開始時および用量変更時に血清亜鉛濃度の確認が必要です。採血のタイミングは「服薬前(トラフ値)」が望ましいとされており、この点も患者さんへの説明に盛り込む必要があります。


さらに低亜鉛血症患者に長期投与する際は、亜鉛の過剰摂取による銅欠乏が起こりえます。銅欠乏に伴う汎血球減少・貧血・神経障害が報告されているため、後発品であっても定期的な銅のモニタリングが不可欠です。「ジェネリックに変えたから問題ない」という過信は禁物です。


ノーベルファーマ医療関係者向けQ&A|ウィルソン病「食間」・低亜鉛血症「食後」の違いの理由


ノベルジンのジェネリック薬価が後発品調剤体制加算に与える影響と薬局運営上のポイント

後発品が豊富に揃ったノベルジンカテゴリは、薬局にとって「後発医薬品調剤体制加算」の算定維持に貢献しうる薬剤の一つです。ただし、ここには少し複雑な事情があります。


後発医薬品調剤体制加算は、調剤した後発品の数量シェアが一定以上であることが算定条件です(加算1:後発品置換率80%以上、カットオフ値50%以上など)。ノベルジンの後発品はすべてこの加算の対象となっています。


ただし、AGの中でも「酢酸亜鉛顆粒5%「ノーベル」」については注意が必要です。先発品であるノベルジン顆粒5%は2024年6月の後発品収載直後、急速に後発品への置換えが進んだとされています。それにより同年の薬価調査で後発品置換率が50%以上に達したことが確認されており、2025年4月の改定でノベルジン顆粒5%が選定療養対象品目となりました。選定療養の対象になったということです。


このような制度変更は随時発生するため、使用する薬剤の薬価区分・加算対象の有無を定期的に確認する体制を薬局としても整えておく必要があります。後発品への変更可の処方箋であっても、どのメーカーの後発品が加算対象かを正確に把握することが、算定ミス防止につながります。


また、後発品への変更を推進する中で「特定の後発品が安定供給されない」というリスクもあります。特にダイトのAGと沢井・ケミファの通常後発品が並立しているノベルジン系では、供給状況の変動に備えて複数の代替品情報を手元に持っておくことが実務的な備えとなります。これだけ覚えておけばOKです。


薬剤師.love|令和7年度薬価改定で算定から除外された後発品一覧とその理由




移植医 万波誠の真実