重曹で洗濯槽を掃除すると、カビが故障の原因になって修理費が数万円かかることがあります。
洗濯が終わっても「なぜか衣類が臭い」「黒いカスが付く」という経験はありませんか。その原因の多くは、洗濯槽の裏側に繁殖した黒カビです。
洗濯槽の表面はきれいに見えても、槽の裏側には洗剤カス・皮脂・ホコリが蓄積しており、湿気の多い環境がカビの温床になります。黒カビは一気に黒くなるのではなく、黄色→茶褐色→黒色という段階を経て変化していくのが一般的です。
医療従事者にとって、この問題は特に深刻です。ケアネットが2025年に紹介した研究によれば、医療者が自宅で仕事着を家庭用洗濯機で洗うと、抗菌薬耐性菌(MRSAなど)を院内で気づかずに広めてしまうリスクがあることが指摘されています。つまり、洗濯槽が汚染されている状態で仕事着を洗っても、衣類が十分に除菌されていない可能性があります。
洗濯槽の汚れは衣類の衛生に直結します。特にスクラブや白衣などを自宅で洗濯している医療従事者は、洗濯槽のカビを放置することがそのまま感染リスクにつながる点を認識しておく必要があります。
洗濯槽の裏側に繁殖したカビは目視では確認できません。意識的なメンテナンスが必要です。
ケアネット:家庭用洗濯機の病原菌除染は不十分かもしれない(医療者の自宅洗濯と感染リスクについて解説)
「ナチュラルクリーニングで環境にやさしく」という意識から、重曹や酢を洗濯槽の掃除に使っている方は少なくありません。しかし実際には、重曹は洗濯槽掃除には推奨されていません。これは意外かもしれませんが、重要な話です。
重曹は弱アルカリ性で軽い皮脂汚れへの効果はありますが、カビを分解・除菌する力は非常に低いとされています。さらに、水に溶けにくいため縦型洗濯機ではパルセーター(底の回転板)の下に溶け残りが生じやすく、最悪の場合は故障の原因になります。
クエン酸や酢は酸性のため、洗濯槽内の金属パーツを酸化させサビを引き起こす可能性があります。パナソニックも公式サイトで「酢やクエン酸は洗濯槽の掃除に使わない方が安全」と明示しています。
では何を使えばいいのでしょうか。洗濯槽クリーナーには大きく分けて「塩素系」と「酸素系」の2種類があります。
| 種類 | 特徴 | 対応機種 |
|------|------|----------|
| 塩素系 | 強力な殺菌・除菌力。カビを分解して溶かす | 縦型・ドラム式 両方OK |
| 酸素系 | 発泡力で汚れを浮かして剥がし落とす | 縦型のみ(ドラム式はNG) |
| 重曹 | 消臭効果はあるがカビ除去力は低い | 推奨しない |
特に注意が必要なのは、ドラム式洗濯機には酸素系クリーナーを使ってはいけないという点です。泡が大量に発生して排水異常や泡漏れを引き起こし、故障の原因になります。ドラム式には必ず塩素系クリーナーを選びましょう。
つまり、まずは自分の洗濯機が縦型かドラム式かを確認することが条件です。
パナソニック:洗濯機から出る黒いカス(黒カビ)の対処法と洗濯槽の予防・お手入れ方法
クリーナーが決まったら、正しい手順で掃除することが重要です。方法を間違えると効果が半減するだけでなく、洗濯機の故障につながるケースもあります。
🧴 塩素系クリーナーの手順(縦型・ドラム式共通)
1. 糸くずフィルターを外す
2. クリーナーの中身を洗濯槽に直接投入する(洗剤投入口に入れないこと)
3. 高水位まで水を溜める
4. 「槽洗浄コース」または標準コースで洗い→すすぎ→脱水の1サイクルを運転する
5. 内側に汚れが残っていればもう一度すすぎ・脱水を追加する
塩素系は基本的につけ置き不要で、操作も手軽なのが特長です。初めて使う場合や汚れがひどい場合は約3時間つけ置きするとより効果的です。
🫧 酸素系クリーナーの手順(縦型洗濯機のみ)
1. 洗濯槽に40〜50℃のお湯を高水位まで溜める(熱湯はNG。洗濯機を傷める)
2. 酸素系クリーナーを500g以上投入し、5分ほど撹拌する
3. そのまま3時間以上つけ置き(寝る前に撹拌して一晩置いても良い)
4. つけ置き後に浮き上がった黒いカス(通称「ピロピロワカメ」)を網ですくい取る
5. 再び5分撹拌して2〜3時間置き、再度ゴミをすくい取る
6. すすぎ・脱水を行って完了
網ですくい取るのは必須作業です。怠ると浮いたカビが詰まって故障の原因になります。
汚れがひどい場合は手順を省略しないことが基本です。
なお、塩素系と酸素系は絶対に同時・混合使用しないでください。有害な塩素ガスが発生し、健康被害や機器の損傷につながります。酸素系使用後に塩素系を使う場合は、十分なすすぎを挟んでから行います。
「月1回やっている」という方もいれば、「半年に1回」「年に1回だけ」という方もいます。掃除の頻度によって、どのクリーナーを使えばよいかが変わってきます。これは使えそうです。
📋 汚れ具合に応じた掃除の目安
| 掃除頻度 | 汚れ状況 | 推奨手順 |
|----------|----------|----------|
| 月1回実施中 | 比較的きれい | 酸素系 or 重曹で1回 |
| 半年に1回程度 | やや蓄積あり | 酸素系1回+塩素系1回 |
| 年1回or初めて | かなり蓄積あり | 酸素系2回+塩素系1回 |
毎日洗濯するファミリー世帯や、医療従事者のように仕事着を頻繁に洗う方は、月1回の槽洗浄が理想です。
洗濯の使用頻度が高いほど、汚れの蓄積スピードも上がります。週5〜7回以上洗濯している場合は、2週間に1回のペースで槽洗浄を検討してもよいでしょう。特に梅雨・夏場(6〜9月)はカビの繁殖が最も活発になるため、頻度を上げるのが効果的です。
市販の洗濯槽クリーナーで何度掃除しても黒いカスが出続ける場合は、カビが洗濯槽の内部にこびり付いており、クリーナーでは対処できない段階に達している可能性があります。こうなった場合は専門業者による分解洗浄を検討する段階です。分解洗浄の費用は業者や機種によって異なりますが、縦型で1万5千円〜2万5千円前後が相場です。
月1回の習慣で分解洗浄の出費を防げます。
カジタク:カビだらけの洗濯槽をごっそり掃除!塩素系・酸素系クリーナーと重曹の使い分け解説
掃除は「事後対応」です。カビを根本から防ぐためには、日常の習慣が最も効果的な手段になります。
まず取り入れたいのが、洗濯後にフタを開けたままにする習慣です。洗濯後の槽内は非常に湿度が高く、フタを閉め切ったままにするとカビが一気に繁殖します。洗濯が終わったら衣類を速やかに取り出し、フタを数時間〜一晩開放しておくだけで湿気を大幅に逃がせます。
次に重要なのが、洗剤量を守ることです。「汚れが落ちやすいように」と洗剤を多く入れると、溶け残りが洗濯槽の裏に残着し、それがカビの栄養分になります。規定量を守ることが、一見地味でも最も効果的な予防策の一つです。
洗濯カゴを使う習慣も見直しポイントです。脱いだ衣類を直接洗濯機に入れておくと、汗・皮脂・雑菌が槽内の湿気と結びつき、カビの温床になります。洗濯直前まで衣類は洗濯カゴに保管しましょう。
乾燥機能付きの洗濯機を使っている場合、週1回の「槽乾燥コース」の活用もおすすめです。約60〜70分の運転で槽内をしっかり乾燥させられます。
🩺 医療従事者向けの追加ポイント
スクラブ・白衣などの仕事着は病院・施設内の細菌・ウイルスを持ち帰りやすい衣類です。以下の点を特に意識しましょう。
- 仕事着は帰宅直後に脱いで洗濯カゴへ。洗濯機に直接入れないこと
- 洗濯の際は60℃以上の熱水洗浄が推奨されているが、家庭用洗濯機では難しい場合は塩素系漂白剤(衣類用)を補助的に使用する
- 洗濯槽は少なくとも月1回の塩素系クリーナーで槽洗浄を行い、除菌・カビ除去率99.9%以上の状態を維持する
- 感染者の衣類(ノロウイルスや胃腸炎など)を洗濯した後は、すぐに槽洗浄を実施する
医療従事者は職業柄、衣類の衛生管理が自分だけでなく患者や家族の健康にも影響します。日常の洗濯槽ケアは感染予防の一環と考えましょう。
洗濯槽が清潔であることが、衣類除菌の前提条件です。
静岡県感染対策Q&A:医療従事者のユニホームを自宅で洗濯することの安全性についての見解

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