日本人の98%がビタミンD不足と判定されており、医療職に限っても9割超が不足・欠乏状態にあると報告されています。
医療従事者の間では「食事摂取基準を満たせばOK」という認識を持っている人が少なくありません。しかし実際は、基準値を満たしているつもりでもビタミンD欠乏状態に陥っているケースが非常に多いのです。
基準値と臨床充足量のギャップ
| 基準 | 摂取量 |
|------|--------|
| 日本 食事摂取基準(2025年版)目安量(成人) | 9.0μg(360IU)/日 |
| 日本 食事摂取基準 耐容上限量(成人) | 100μg(4,000IU)/日 |
| 内分泌学会推奨(血清30ng/mL以上を維持) | 37.5〜50μg(1,500〜2,000IU)/日以上 |
| ハーバード大学教授が自身で実践している量 | 100μg(4,000IU)/日 |
日本の食事摂取基準で定められた目安量9.0μg(360IU)は、骨粗鬆症などの重篤な欠乏症を防ぐ「最低ライン」に近い設定です。これを守っているからといって、血中濃度が免疫・抗炎症・がん予防効果が期待できるレベル(30ng/mL以上)を満たしているとは限りません。つまり、9.0μgは「欠乏しない量」であって「最適量」ではないということですね。
内分泌学会は血清25(OH)D濃度を30ng/mL以上に維持するためには、成人で少なくとも1,500〜2,000IU/日のサプリメント補充が必要になる可能性があると述べています。これは日本の目安量のおよそ4〜5倍の数字です。実際の患者への指導においても、この乖離を念頭に置くことが大切です。
参考:厚生労働省eJIM「ビタミンD(医療者向けファクトシート)」でも、世界的なガイドラインの違いについて詳述されています。
サプリの量を「何IU飲めばいい?」と数字だけで考えるのは危険です。個人差があるため、血中濃度を確認して調整するのが原則です。
血清25(OH)D濃度の判定基準
| 血清25(OH)D濃度 | 状態 |
|----------------|------|
| 30ng/mL未満 | ビタミンD欠乏・不足(補充を検討) |
| 30ng/mL以上 | 一般的に充足(骨・全身の健康に十分) |
| 40〜60ng/mL | 理想値(自己免疫疾患の抑制・抗がん作用を期待する場合) |
| 50ng/mL超 | 潜在的有害域に近づくケースあり(要モニタリング) |
| 60ng/mL(150nmol/L)超 | 有害作用のリスクが上昇 |
例えば、血清濃度が20ng/mLの患者が40ng/mLを目標とする場合、1日5,000IUのサプリメントを継続投与するという目安が示されています(日本オーソモレキュラー医学会)。一方で、同量の補充でも体格や腸管の脂質吸収能によって実際の濃度上昇幅は異なります。肥満のある患者は1日800IU超のビタミンD+カルシウムが血圧を上昇させるという報告もあり、一律の処方は適切ではないケースもあります。血中濃度測定が条件です。
国立国際医療研究センターが医療従事者2,543人を対象に行った調査では、ビタミンD不足(20〜29ng/mL)が44.9%、欠乏(20ng/mL未満)が45.9%を占め、充足者(30ng/mL以上)は全体のわずか9.3%にすぎませんでした。平均値は21.5±6.9ng/mLと、欠乏判定値(20ng/mL)ぎりぎりの水準です。これは意外な数字ですね。
参考:医療従事者の9割超がビタミンD不足/欠乏という調査報告の詳細
SNDJ|医療従事者の9割超がビタミンD不足/欠乏(国立国際医療研究センター調査)
ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、水溶性ビタミンと異なり体内に蓄積されます。そのため過剰摂取による健康被害リスクは、他のビタミンと比べて格段に高い点を忘れてはなりません。
過剰摂取時の主な症状の進行
| ステージ | 症状 |
|----------|------|
| 初期 | 食欲不振・吐き気・嘔吐・便秘 |
| 中期 | 倦怠感・多飲・多尿・体重減少 |
| 重症 | 腎石灰化症・腎機能障害・不整脈・血管石灰化 |
耐容上限量は成人で4,000IU(100μg)/日と設定されています。これは長期的に継続した場合に健康への悪影響が出始める可能性があるラインです。サプリメントにはこれを超えた配合量の製品も市場に存在するため、患者への指導時に注意が必要です。
市場に出回っている機能性表示食品のビタミンDサプリの中には、1日摂取目安量が1.65〜54μgと幅広く、栄養機能食品の上限量を超えた製品が多数あることも国立健康・栄養研究所が報告しています。患者が複数のサプリを重ねて摂取するケースでは、合計摂取量が4,000IUを超えることも珍しくありません。痛いですね。
Linus Pauling Instituteのデータによると、高カルシウム血症は50,000IU/日超の摂取後に見られますが、10,000IU/日未満ではビタミンDによる毒性は一般的に認められないとされています。ただし腎疾患・肉芽腫性疾患など基礎疾患のある患者では、はるかに低い量でも過剰症が生じる場合があります。これだけは例外です。
参考:健康食品の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
国立健康・栄養研究所|ビタミンDを含むサプリメント類の利用について
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるという基礎知識は共有されていますが、実際の吸収率の差を数値として把握している人は少ないようです。
研究(J Acad Nutr Diet. 2015)によれば、総カロリーの30%を脂質として含む食事の後にビタミンDサプリを摂取したグループは、脂質ゼロの食事後に摂取したグループと比較して、12時間後の血中ビタミンD濃度が32%高かったという結果が出ています。これは使えそうです。
脂質の種類(多価不飽和脂肪酸か否かなど)による吸収率の差は確認されておらず、重要なのは「脂質が含まれているかどうか」という点です。つまり、アボカド・ナッツ・オリーブオイルを含む昼食後や、魚を含む夕食後がサプリ服用のベストタイミングということになります。
⚠️ 避けるべき摂り方
- プロテインのみ(脂質ほぼゼロ)の後にビタミンDサプリを飲む
- 朝のおにぎりだけ食べてサプリを摂る
- 空腹時にサプリを服用する
医療従事者が患者にサプリの飲み方を指導する際、量だけでなく「何と一緒に摂るか」の情報も合わせて伝えることで、血中濃度の改善効率が大きく変わります。この一点だけは伝えておいたほうがよいですね。
参考:脂質を含む食事によってビタミンDサプリの吸収率が32%上がったデータの解説
VitaminJ.tokyo|ビタミンDサプリは脂質を含む食事のあとに摂ると吸収率が約30%上がる
市場に出回っているビタミンDサプリには「D2(エルゴカルシフェロール)」と「D3(コレカルシフェロール)」の2種類が存在します。それぞれの特性を整理しておくことは、患者指導において欠かせない知識です。
D2とD3の比較
| 項目 | ビタミンD2 | ビタミンD3 |
|------|-----------|-----------|
| 由来 | 植物・きのこ(紫外線照射) | 動物・ラノリン(羊毛脂)・魚肝油 |
| 血清25(OH)D上昇効果 | D3より緩やか | D2より持続的・効果的 |
| ビーガン対応 | ◯ | △(原料による) |
| 主な食品源 | 乾しいたけ、きくらげ | 紅鮭・しらす干し・卵黄 |
D3のほうがD2と比べて血清25(OH)D濃度を持続的に上昇させる効果が高いと複数の研究で示されています。日本人が日常的に摂りやすいきのこ類に含まれるのはD2ですが、D2の血中への移行効率はD3に劣ります。サプリ選びでは、D3(コレカルシフェロール)が記載された製品が優先候補になります。
また、ビタミンDは脂溶性であるため、サプリのカプセル内にオイル(中鎖脂肪酸やオリーブオイルなど)が含まれている製品のほうが吸収効率の安定性が期待できます。パウダータイプのサプリは食事の脂質依存性がより高くなる点を伝えておくとよいでしょう。
食品中に含まれるビタミンDの代謝物「25(OH)D3」は、前駆体のビタミンD3そのものよりも血清濃度を約5倍上昇させやすいことも研究で示されています。これは腸管での前変換が不要なためであり、サプリより食品(特に魚介類)のほうが効率的という側面もあります。
参考:慈恵医科大学によるビタミンDの基礎知識(がんとの関連)まとめ
慈恵医科大学附属柏病院|ビタミンDの基礎知識(がんとの関連)第2版

【美容皮膚科医監修】 高濃度 ビタミンD サプリ 脂溶性 ビタミンD3 2800IU & ビタミンE 【高吸収サポート】 MCTオイル 中鎖脂肪酸 ソフトカプセル 栄養機能食品 国内製造 60粒 ほっとナチュレ