「セラミド濃度が高いほど、肌への刺激リスクも比例して高くなります。」
トゥヴェールのナノエマルジョンシリーズで最も注目すべき違いは、セラミドの「濃度」と「種類の豊富さ」です。医療従事者として患者さんのスキンケアを指導する立場から見ても、この2点は製剤の実力を決定づける核心といえます。
通常の「ナノエマルジョン」は、セラミド類似成分(疑似セラミド)を10%配合し、そこにヒト型セラミド(セラミド3)を1種類加えた構成です。これだけでも一般的な化粧品では珍しい高配合水準ですが、「ナノエマルジョン ディープ」ではさらに一段上のアプローチが取られています。
ディープのセラミド類似成分配合率は12%。さらに、セラミドEOP・セラミドNG・セラミドNP・セラミドAG・セラミドAPという5種類のヒト型セラミドを配合し、加えて醬油の醸造発酵粕から精製した天然ヒト型セラミドまで含まれています。合計で類似セラミド3種+ヒト型セラミド5種という、多層的な保湿構成です。これは使えます。
| 項目 | ナノエマルジョン | ナノエマルジョン ディープ |
|---|---|---|
| セラミド類似成分配合率 | 10% | 12% |
| ヒト型セラミド種類 | 1種(セラミド3) | 5種(EOP・NG・NP・AG・AP)+天然ヒト型 |
| グリセリン | 含有 | 非含有 |
| 香り | なし(ローズマリー系) | ラベンダーローズ |
| 価格(税込) | 3,060円 / 60mL | 3,060円 / 60mL |
特筆すべきは、両製品の価格と容量がまったく同じ(3,060円・60mL)という点です。成分のボリュームを考えると、ディープの方がコストパフォーマンスは高いといえます。価格が同じです。
皮膚科の視点でセラミド種類の意義を考えると、皮膚の角層細胞間脂質(ラメラ構造)には複数のセラミドが協調して機能しています。セラミド1(EOP)・2(NS/NG)・3(NP)・5(AP)・6(AP/AG)などが揃って初めてラメラの完全なバリア構造が維持されます。
ヒト型セラミドは酵母を使って生合成された成分で、疑似セラミドと比べて保水力が約3倍とも言われています。一方、疑似セラミドはヤシ油とアミノ酸から作られる植物系成分で安定性・コスト面に優れ、ヒト型セラミドと同等のバリア力をもつという特性があります。
つまりディープは、「ヒト型セラミドの高い保水力」と「疑似セラミドの安定したバリア力」を高濃度で組み合わせた製剤設計になっています。
トゥヴェール公式 ナノエマルジョン ディープ・ナノエマルジョン 製品詳細・全成分はこちら(公式サイト)
ナノエマルジョン ディープの最大の技術的差別化ポイントが、この「多重膜ナノカプセル構造」です。成分が良くても、皮膚の角層への届け方が不十分では意味がありません。
通常の「ナノエマルジョン」では、セラミドをリン脂質(大豆・ヤシ油由来の植物性乳化剤)で包み、超高圧乳化装置でナノ乳化する技術を採用しています。これにより、従来のセラミド乳液と比べてさらっとしたテクスチャーで高濃度セラミドを配合できるようになっています。
一方、「ナノエマルジョン ディープ」では同じ超高圧乳化に加えて、リン脂質が玉ねぎ状に何層にも重なる「多重膜(多重ラメラ構造)」を形成するナノカプセル化を採用しています。これが見た目にも現れており、超高圧乳化によって粒子径が非常に細かくなることで、ディープの乳液はやや青白い外観(青白い透け感)を呈します。
多重膜構造の機能的メリットを具体的に考えると次のようになります。
- 🔵 保護機能:セラミドや美容成分が多重の膜で包まれているため、製剤の保存中も酸化や分解から守られます。
- 🔵 徐放機能:肌に触れると膜が一層一層はがれながらセラミドが放出されるため、一度に全部放出されず、長時間にわたって角層に成分が届き続けます。
- 🔵 浸透効率:粒子径が小さいほど皮膚の表面積あたりの接触面積が増え、角層への浸透効率が上がります。これは医薬品のDDS(ドラッグデリバリーシステム)と共通の原理です。
皮膚のバリア機能という観点から見れば、この技術は「正しい場所に、正しい量を、時間をかけて届ける」という理想的な設計です。医療現場での外用薬の基剤設計と発想が近いところが、医療従事者として興味深い点です。面白い技術ですね。
テクスチャーの違いについても触れておきます。ナノエマルジョンはとろみのある白濁した化粧水のような質感で、ディープはそれよりさらにサラサラしており、ハトムギ化粧水に近い水感があります。肌に乗せた後の保湿感はディープの方が顕著で、肌表面がわずかにぬるっとするほどの高保湿です。
ナノエマルジョン ディープが通常のナノエマルジョンと最も大きく異なるもう一つのポイントが、セラミド以外の追加配合成分の充実ぶりです。医療従事者として各成分の機序を理解しておくと、患者への説明にも活かせます。
エクトイン(0.5%高配合)は、塩分濃度が高い塩湖や砂漠の微生物が極限環境に適応するために産生する天然アミノ酸誘導体です。水分子を強力に引き寄せて保持する「水和殻」を形成し、高い保水力を発揮します。0.5%という配合量は市場平均と比べても高水準です。資生堂HAKUやアルティミューンにも採用されるなど、エビデンスが蓄積されている注目成分です。これは必須です。
グリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)は、甘草(カンゾウ)由来の成分で、抗炎症・肌荒れ防止の有効成分として医薬部外品にも広く用いられています。炎症性サイトカインの産生を抑える作用があり、乾燥に伴う皮膚バリア破綻後の炎症反応を穏やかにする役割が期待できます。
ツボクサエキス(CICA)は近年皮膚科学領域でも注目されている植物エキスで、マデカソサイドやアジアチコサイドなどの成分が肌の修復・バリア強化に関与するとされています。医療現場でもアトピー性皮膚炎の補助的スキンケアとして言及されることがあります。
スイゼンジノリ細胞外多糖体(サクラン)は国内の水前寺海苔から抽出される多糖体で、ヒアルロン酸の約1,800倍ともいわれる保水力をもちます。ポリクオタニウム-51(リピジュア)との相乗効果でバリア膜を強化します。
その他、3種のヒアルロン酸(加水分解・アセチル化・通常)、14種のアミノ酸、ペンタバイティン(異性化糖由来の長時間保湿成分)なども配合されており、保湿・バリア・抗炎症という3方向から角層環境を整える構成になっています。つまり乳液1本に美容液の機能が凝縮されています。
一方でナノエマルジョン ディープにはグリセリンが非含有である点も特徴です。グリセリンは優秀な保湿剤ですが、サティス製薬の研究でアクネ菌の栄養源になり得るという報告もあり、ニキビを気にする肌にはグリセリンフリーの方が適することがあります。通常のナノエマルジョンにはグリセリンが含まれるため、ニキビ肌・混合肌の患者さんへの指導にも参考になる差異です。
日比谷ヒフ科クリニック コラム:セラミドの種類・効果・他成分との組み合わせについての解説(セラミドの医学的な種類と機序を確認する際に参考)
ここまでの成分・技術の違いをふまえると、どちらを選ぶべきかは明確になります。結論はシンプルです。
ナノエマルジョン ディープが向く肌質・状況としては、まず一年中乾燥が続くインナードライ肌(角層内乾燥)です。次に、エアコンや換気による乾燥環境に長時間いる方。医療施設はまさにその典型で、空調が終日稼働する環境での長時間勤務では角層の水分蒸散が起こりやすいです。さらに、乾燥をきっかけとした肌荒れ・ゆらぎを繰り返す方にも、グリチルリチン酸2KやCICAを含むディープは有効です。
通常のナノエマルジョンが向く状況は、比較的乾燥が軽度でセラミドを基礎的に補いたい方、またはアミノ酸主体の天然保湿因子(NMF)サポートを優先したい場合です。成分構成がシンプルなため、初めてセラミド乳液を試す方の導入としても選びやすいです。
さらにシリーズ内には「ナノエマルジョン プラス」(セラミド8%、乳化剤フリーのシンプル設計)もあり、多成分に反応しやすい超敏感肌や接触皮膚炎の既往がある方にはこちらが適します。医療現場で処置後の皮膚ケアや、アトピー性皮膚炎患者のスキンケア指導で選択肢として挙げる場合は、成分数の少なさという観点からプラスも検討に値します。
使用する順番は、化粧水の後に乳液として使用します。公式推奨量は「10円玉サイズ」で、両手で包み込むように軽くプレスして浸透させる方法が基本です。乾燥が強い部位には重ね塗りも可能で、さらに唇や毛髪のトリートメントにも応用できる設計です。これは覚えておけばOKです。
医療従事者として覚えておきたいのは、「保湿力が高い=刺激が強い」ではない、という点です。ディープは高配合ではありますが、セラミド自体は角層の本来の構成成分であり、植物由来の乳化剤を使用しており、防腐剤もフェノキシエタノールが少量配合されるのみの設計です。実使用上の忍容性は高く、アットコスメでの評価は★5.6という高水準が継続しています。厳しいところですが、すべての肌に100%合うという保証はないため、初回は少量からの使用確認を勧めることが原則です。
一般の美容記事ではほとんど触れられない視点ですが、ナノエマルジョン技術は医薬品のDDS(ドラッグデリバリーシステム)と構造的に非常に近い発想に基づいています。
医薬品のDDSでは、リポソームやナノ粒子に有効成分を内包することで、①安定性向上、②標的組織への選択的送達、③徐放性制御の3点を実現します。化粧品に適用されるナノエマルジョン技術も同じ3点を目指しており、特にディープの多重膜ナノカプセルはリポソームDDSの設計原理と重なります。
トゥヴェールが使用する「超高圧乳化法」は、産業機器として高圧ホモジナイザー(圧力100~200MPa超)を使う技術で、深海の水圧(約100MPa)に匹敵する圧力をかけて乳化します。この処理によって乳化粒子の粒径が均一かつ超微細になり、普通の乳化剤では実現できない安定した分散状態が生まれます。意外ですね。
製品の化粧品としての浸透範囲は「角層まで」に限定されることは、薬事法上の化粧品の定義(真皮以深への浸透は医薬品・医薬部外品の領域)の観点からも理解しておく必要があります。ナノエマルジョン ディープの公式表記でも「浸透(角層まで)」と明記されており、この点は医療従事者として患者さんへ説明する際に正確に伝えるべきポイントです。角層ターゲットの保湿強化という用途として考えれば、その設計はきわめて整合的です。
また、セラミドの種類について改めて整理すると、ヒトの正常な皮膚の細胞間脂質はセラミド類が約50%を占め、残りを遊離脂肪酸・コレステロール・コレステロールエステルで構成しています。加齢とともにセラミド量は低下し、特に40代以降は20代比で約半分程度になるという報告があります。インナードライが年齢とともに深刻化しやすいのはこのためです。
医療従事者として患者さんのスキンケアに関与する機会があれば、「高濃度セラミド補給」というアプローチは、処方外用薬の補助として積極的に推薦できる根拠のある選択肢です。特にバリア機能が低下した状態では外来刺激に対する感受性が高まり、かゆみ・湿疹・感染リスクが上昇することが知られているため、バリア機能の早期修復は医療ケアの一環として位置付けることができます。
大正製薬 セラミドの基本解説:アンチエイジング・皮膚保湿の観点からセラミドの機能を確認するための参考リンク

【美白ケア】トゥヴェール 薬用美白・ホワイトニング4点セット 薬用ホワイトニングローションαEX 120mL 薬用美白化粧水 ブライトニングセラム 30mL 美容液 ナノエマルジョン ディープ 60mL 乳液 エッセンスセレクトゲル モイスト 100g オールインワンジェル ビタミンC誘導体 セラミド シミ 乾燥 保湿