滲出液が「多い」と判断してアルギン酸塩を貼り続けると、ゲル化しすぎて創面が過乾燥になり、治癒が遅延することがあります。
アルギン酸塩ドレッシングは、昆布などの海藻から抽出したアルギン酸を不織布状に加工したドレッシング材です。 自重の約15〜20倍という高い吸収力を持ち、滲出液を吸収するとゲル化して創面に湿潤環境を形成します。 これは一般的なガーゼと比較して圧倒的な吸収量であり、はがきの横幅程度(約10cm角)のシート1枚で、ティースプーン約3〜4杯分の滲出液を保持できる計算になります。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/2560/)
この吸収のメカニズムには、イオン交換が深く関わっています。アルギン酸塩(カルシウム塩)が滲出液中のナトリウムイオンと接触すると、カルシウムイオンが放出されてゲル化が進みます。 放出されたカルシウムイオンは濃度勾配によって毛細血管内に拡散し、局所の止血作用を発揮します。つまり吸水とゲル化と止血が同時に起きる、という設計になっています。 japanknowledge(https://japanknowledge.com/contents/nipponica/sample_koumoku.html?entryid=1544)
代表的な製品としては、カルトスタット®(アルギン酸カルシウム)やソーブサン®があり、シート状・ロープ状・リボン状など創の形状に応じて選べる形態が揃っています。 二次ドレッシング材(ポリウレタンフィルムやハイドロコロイドなど)で固定して使用するのが原則です。 jp.winnermedical(https://jp.winnermedical.com/alginate-dressing.html)
吸収能の高さが最も活きるのは、中等量〜多量の滲出液を伴う創です。 具体的には、皮下組織に達する深い褥瘡(ステージ3・4)で滲出液が多い状態、デブリードメント後の出血傾向がある創、ポケットを伴う創などが主な適応になります。 msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E8%A4%A5%E7%98%A1%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E%E8%82%A2)
滲出液量の判断は視覚的・定量的に行います。二次ドレッシング材に滲出液の「にじみ」が確認できる段階で、すでに交換のサインです。 「多量」の目安は、24時間で二次ドレッシングが完全に飽和する状態とされており、その場合はアルギン酸塩単独よりも、ポリウレタンフォームとの組み合わせ使用が推奨されます。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/2560/)
ポケット創や空洞創に充填する際は、ゲル化時に膨張することを考慮して、創腔の容積より少し余裕をもたせた充填量にする必要があります。 ぴったり詰め込みすぎると内圧が高まり、周辺組織への影響が出ることがあります。余裕をもたせるのが条件です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/2560/)
参考リンク(アルギン酸塩を含む褥瘡ドレッシング材の適応と選択基準について、日本褥瘡学会公認情報)。
ナースセンカ|ドレッシング材の種類・特徴と使い分け(アルギン酸塩の項目あり)
吸収能の上限を超えて使い続けることには、明確なリスクがあります。これは見落とされがちな落とし穴です。
吸収限界を超えた状態(飽和状態)では、ゲルが創周囲の正常皮膚にまで広がり、皮膚の浸軟(ふやけ)が起きます。 浸軟が起きた皮膚は機械的刺激に弱く、ドレッシング交換時の軽い接触でも皮膚剥離が生じやすくなります。特に高齢者や糖尿病患者では回復が遅く、新たな創傷面を作る結果になります。 vn.astelsupport.co(https://vn.astelsupport.co.jp/2026/01/09/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%A1%A9%E6%9D%90%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E6%9D%90%EF%BC%89/)
一方、滲出液が減少してきた時期(肉芽形成後期〜上皮化期)に吸収能の高いアルギン酸塩を継続使用すると、今度は創面が乾燥しすぎる問題が発生します。 乾燥によってドレッシング材が創面に固着し、剥がす際に新生上皮を巻き込んで損傷させてしまうことがあります。こうした「剥離損傷」は、特に在宅ケアや訪問看護の現場で報告されています。 yogokyoyu-kyoiku-gakkai(https://yogokyoyu-kyoiku-gakkai.jp/wp-content/uploads/hp_gakkaishi_12-1.pdf)
交換頻度の判断基準は「創の状態の変化」に合わせます。二次ドレッシングへの滲出液の染み出し、貼付後48〜72時間の経過、感染徴候の有無——この3点を確認する習慣が重要です。 vn.astelsupport.co(https://vn.astelsupport.co.jp/2026/01/09/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%A1%A9%E6%9D%90%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E6%9D%90%EF%BC%89/)
臨床でよく混同されるのが、アルギン酸塩とハイドロファイバー(アクアセル®)です。どちらも高吸収性ですが、性質が異なります。
| 項目 | アルギン酸塩(カルトスタット®) | ハイドロファイバー(アクアセル®) |
|---|---|---|
| 吸収倍率 | 自重の15〜20倍 | 自重の25倍 |
| 止血効果 | あり(カルシウムイオン放出) | なし(主目的は吸収) |
| 感染創への使用 | 銀含有製品(アルジサイト銀)で対応 | アクアセルAg(銀含有)で対応 |
| ゲル保持 | ゲルが崩れやすい(ゆるめ) | ゲルを繊維内に保持(かたまり) |
| 主な適応創 | 出血傾向あり・中等度〜多量滲出 | 多量滲出・感染リスク創 |
kango-roo(https://www.kango-roo.com/kq/archive/130)
参考リンク(急性創傷におけるドレッシング材の選択に関する診療ガイドライン・日本形成外科学会作成)。
日本形成外科学会|急性創傷診療ガイドライン(PDF)
現場でよく使われる創傷評価ツール「DESIGN-R®2020」では、滲出液量をe1(少量)・E3(中等量)・E6(多量)のスコアで評価します。このスコアとドレッシング選択を連動させることが、吸収能を適切に活かす実践的な方法になります。
E3〜E6(中等量〜多量)のスコアがついた創がアルギン酸塩の主な適応域です。E1(少量)になってきたら切り替えのサインであり、ハイドロコロイドや薄型フォームへの移行を検討します。 「DESIGN-Rのスコアが下がってきたら、ドレッシングも変える」という意識を持つことが、創傷の回復段階に合った管理につながります。 kirishima-mc(https://kirishima-mc.jp/data/wp-content/uploads/2023/04/b53ecf1a3a962aae9c5647c7b90b60b8.pdf)
在宅ケアや訪問看護の現場では、毎回のアセスメントが難しいケースもあります。そのような場面では、創傷部位の写真(スマートフォン撮影)を経時的に記録して変化を比較する方法が実用的です。 写真記録は「前回と比べてゲルの量が増えているか・減っているか」という視覚的判断を可能にし、交換タイミングの根拠として多職種間での情報共有にも役立ちます。 vn.astelsupport.co(https://vn.astelsupport.co.jp/2026/01/09/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%A1%A9%E6%9D%90%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E6%9D%90%EF%BC%89/)
なお、アルギン酸塩を含む創傷被覆材の多くは健康保険の適用対象です。カルトスタット®(アルギン酸カルシウム)は保険区分「Ⅱ」に分類され、在宅療養指導管理料の算定時に材料費として請求可能です。コスト管理の観点から、適切な使用量と交換頻度の設定は医療経済にも直結します。
参考リンク(在宅ケアを含む褥瘡ドレッシング選択と滲出液管理の解説)。
湘南在宅クリニック|褥瘡を科学する29〜滲出液が"多い"場合のドレッシング材選び
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