抗ヒスタミン薬を飲んでいると、パッチテストが「陰性」でも本物のアレルギーが隠れている可能性があります。
貼付試験(パッチテスト)は、アレルギー性接触皮膚炎や薬疹などの遅延型(IV型)アレルギーの原因物質を特定するための皮膚科的検査です。 即時型アレルギー(IgE依存性)とは機序が異なり、アレルゲンと皮膚が接触してから反応が出るまでに24〜96時間かかる点が特徴です。
参考)https://tomohifuka.clinic/allergy/patchtest/
適応となる主な疾患・状況は以下のとおりです。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa4/q08.html
つまり「かぶれの原因を探る」検査です。 原因が判明すれば、患者が日常生活の中で原因物質との接触を避けられるようになり、症状の再発防止につながります。
参考)https://tomohifuka.clinic/allergy/patchtest/
日本皮膚科学会が認定したパッチテストパネル®(S)は、日本人に陽性率の高い22種類のアレルゲンを2枚のパネルに配置しており、簡便に検査が実施できます。 皮膚科専門医だけでなく、一般内科や耳鼻科でも薬疹疑いの場面で活用される検査です。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa4/q08.html
参考:日本皮膚科学会による接触皮膚炎のパッチテストに関するQ&A(権威性の高い解説あり)
https://qa.dermatol.or.jp/qa4/q08.html
検査の基本手技は、疑われるアレルゲンをパッチテストユニット(絆創膏に小皿を載せたもの)に入れ、背部または上腕外側の健康な皮膚に48時間貼付するというものです。 貼付部位に湿疹・ニキビ・薬剤が付着している場合は貼付できません。
参考)https://gakken-mesh.jp/files/contents/693.pdf
手技上の重要なポイントを整理します。
参考)パッチテスト
参考)パッチテスト
参考)パッチテスト
参考)https://www.sakura-hif.jp/patch-test.pdf
マーキングが消えると判定そのものが不能になります。 貼付当日からの患者指導を徹底することが、正確な結果を得る前提条件です。
参考)パッチテスト
アパレル製品に対するパッチテストでは、クローズド式(閉塞法)では蒸れが生じやすく、オープン式では粘着性がない製品に対応できないため、両者の利点を組み合わせた半開放法が推奨されています。 皮膚に触れる下着類の安全性評価などで活用されている手法です。
参考)https://www.shoukaken.co.jp/service/test/functionality/organism/patch_test/
参考:消費科学研究所によるアパレル製品向けパッチテスト手法の解説
https://www.shoukaken.co.jp/service/test/functionality/organism/patch_test/
判定タイミングは1回では不十分です。 標準的なスケジュールは下記のとおりです。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa4/q08.html
| 判定回 | タイミング | 目的 |
|---|---|---|
| 1回目 | 貼付後48時間後にテープを除去し、1〜2時間後 | 初期反応の確認 |
| 2回目 | 貼付後72時間または96時間後 | 遅延反応の確認 |
| 3回目 | 貼付後1週間(7日)後 | 遅延型反応の最終確認 |
判定基準はICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の基準が用いられており、「+」以上を陽性と判定します。 具体的には次のようなスコアが使われます。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/8728/
陽性反応が強く出ると、貼付部位に水疱・びらん・色素沈着が生じることがあります。 これは検査のリスクとして事前に患者へ説明しておくべき事項です。
参考)https://ohada-cl.jp/care/index6.htm
また、テープ除去直後は刺激反応が残るため、少なくとも1〜2時間経過してから判定するのが原則です。 除去直後に判定してしまう誤りは、臨床現場で実際に起こりやすいミスです。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/8728/
参考:看護師向けに解説された判定基準と光パッチテストの手順(看護roo!)
https://www.kango-roo.com/learning/8728/
パッチテストで見落とされがちなのが「偽陰性」と「偽陽性」の問題です。 結果が陰性でも「アレルギーがない」とは断言できない場合があります。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa18/q07.html
偽陰性の主な原因は以下のとおりです。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/8728/
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa18/q07.html
慶應義塾大学病院では夏季は原則として外来でのパッチテストを休止しています。 これは汗による判定精度の低下と患者への刺激を防ぐためです。
参考)パッチテスト
偽陽性の主な原因には、試薬の過剰貼付量、圧迫・摩擦、すでに活動性の皮膚炎が貼付部位に存在することなどがあります。 判定は単独では行わず、他の検査所見・臨床症状と照合して総合的に評価することが鉄則です。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa18/q07.html
薬疹の原因薬剤を調べるパッチテストでは、「その薬剤が体内で代謝されて初めてアレルゲンになる場合」には、薬剤をそのまま皮膚に貼っても陽性にならないことがかなりある点に注意が必要です。 偽陰性の可能性を念頭に置いておくことが原則です。
参考)https://qa.dermatol.or.jp/qa18/q07.html
参考:日本皮膚科学会「薬疹 Q7」偽陰性・偽陽性の解説
https://qa.dermatol.or.jp/qa18/q07.html
パッチテストには明確な禁忌があります。見落とすと検査が無効になるだけでなく、患者に不必要なリスクを与えます。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/8728/
禁忌・注意事項
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 禁忌 | 妊婦への実施 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/8728/) |
| 禁忌 | 貼付部位に活動性の皮膚炎・ニキビがある場合 sakura-hif(https://www.sakura-hif.jp/patch-test.pdf) |
| 注意 | ステロイド・抗ヒスタミン薬内服中は休薬を検討 kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/exam/000357/) |
| 注意 | 夏季(高温・多汗期)の実施は判定精度が低下する kompas.hosp.keio.ac(https://kompas.hosp.keio.ac.jp/exam/000357/) |
| 注意 | 強陽性反応により感作が成立するリスクがある(稀) kojihifu(https://kojihifu.com/patchtest/) |
これだけ覚えておけばOKです。
患者説明では「なぜ2日間お風呂に入れないのか」「なぜ3回も受診が必要なのか」を丁寧に伝えることが、検査への協力を高めます。患者の中には「たかかぶれ調べ」と軽視する方もいます。 48時間の安静保持と複数回受診の必要性を初診時に明確に説明することが大切です。
参考)https://tomohifuka.clinic/allergy/patchtest/
また、稀ではあるものの、パッチテストの試薬によってかぶれが初めて引き起こされる「感作」が成立することがあります。 患者へのインフォームドコンセントに「検査自体が新たなアレルギーを引き起こす可能性(0.1%未満)がある」旨を含めるかどうかは、施設のポリシーに従って対応してください。
参考)パッチテスト
患者指導に使えるチェックリストとして、以下の内容を入院・外来問わず渡しておくと有用です。
検査スケジュールは施設によってやや異なりますが、大枠として「貼付日→2日後(除去+1回目判定)→3日後(2回目判定)→7日後(3回目判定)」が標準です。
参考)https://www.sakura-hif.jp/patch-test.pdf
参考:慶應義塾大学病院 KOMPAS「パッチテスト」患者向け詳細説明
パッチテスト